ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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高校におけるリーディング・ワークショップ実践~振り返りその2・ミニ・レッスン~

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昨日に引き続き、リーディング・ワークショップの振り返り。 

s-locarno.hatenablog.com

生徒の活動の成果の分析を書く前に、自分の振る舞いを振り返ってみよう。

実は……というか、やはり手探りで始めたので苦労したのが「ミニ・レッスン」と「カンファランス」だ。

今回は「ミニ・レッスン」についての振り返りを書いてみる。

一応、参考文献の内容を参考にやってみたけれども、まだまだ改善の余地が多いと思っています。今回の記事で感じたことを公開しておきますので、ぜひご意見をお聞かせください。

ミニ・レッスンやカンファランスで参考にした書籍

これまでの記事で何度も紹介はしているけど、自分が参考にした書籍を挙げておくと… 

読書家の時間: 自立した読み手を育てる教え方・学び方【実践編】 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

読書家の時間: 自立した読み手を育てる教え方・学び方【実践編】 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

 
リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)

リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)

  • 作者: ルーシー・カルキンズ,吉田新一郎・小坂敦子
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2010/07/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 10人 クリック: 53回
  • この商品を含むブログ (23件) を見る
 

基本中の基本といったところかな。こちらの内容をベースにしながらも、実際のカンファランスや生徒の活動として取り入れたことはアトウェルのリーディング・ワークショップだ。 

The Reading Zone, Second Edition: How to Help Kids Become Skilled, Passionate, Habitual, Critical Readers

The Reading Zone, Second Edition: How to Help Kids Become Skilled, Passionate, Habitual, Critical Readers

 

本当は”In the Middle”を読まないとダメだろうと自分でも思うんだけど、いかんせん即座に決断したので読んでいる暇もなく……そのうち読みます(たぶん)。

今回の自分のリーディング・ワークショップは「選書を生徒に委ねる」ことと「余計な作業はしないでひたすら本を読む」ことの2点を強調して実践したわけだけど、その背景にはアトウェルのこの本を読んで影響されたということが大きい。

普段の授業で協働が多いだけに、少し「個人」の学びを取り戻していくことも必要かなぁと思っていたので「個人の読書」だけできればいいと思っていた。まあ、結果的には「個人」の問題ではないと気づいたのだけど、それはまた別の機会に書こう。

また、リーディング・ワークショップに関連する本として 

理解するってどういうこと?: 「わかる」ための方法と「わかる」ことで得られる宝物

理解するってどういうこと?: 「わかる」ための方法と「わかる」ことで得られる宝物

 

はかなり有益。この値段でこれだけの情報量が手に入るのであるからお得である。

特に「優れた読書家がやっていること」の解説がリーディング・ワークショップのミニ・レッスンやカンファランスでは特に有効だったと感じる。

ミニ・レッスンで伝えたこと

全7回しかないため、ミニ・レッスンで何かを継続的に指導できたわけではない。ミニ・レッスンをやってみて思うが、ミニ・レッスンで教えたことがすぐに読書に反映されるわけではないので、継続的にやっていかないと中途半端な感じがする。生徒にとっては普段聞いたことのない話を聞けたのは少し参考になったようだけど、それでも「習慣」として読書の態度に繋げていくためには、もっと半年や一年といった長いスパンで繰り返し取り上げていかないとダメなんだろうなぁと感じる。

何はともあれ自分がミニ・レッスンで生徒に話したのは以下の内容。

  • 読者の権利十か条
  • 精読以外の読書の仕方
  • 自分に「適する」本を選ぶ方法
  • 日本十進分類法(NDC)
  • 本の種類と内容の特徴
  • 司書さんの役割
  • 読書記録の付け方
  • 並行読書の勧め
  • 積ん読の勧め
  • 優れた読書家の技法

列挙してみると盛だくさんだけど、やっているときの感覚としては「本当にこれでいいのかなぁ…」とか「生徒の反応がないからこれは失敗したかな…」とか焦ることが多かった。

一応、一つ一つの内容を紹介しておくと…

読者の権利十か条

有名なダニエル・ペナックの「読者の権利十か条」の紹介。

特に「読むのをやめる権利」については機を見て何度も強調して説明した。

精読以外の読書の仕方

上の「読者の権利」とも関係するけど、読書の仕方として「流し読み」や「拾い読み」をしてもよいことなどを伝えた。ちょうど、普通の授業ではディベートをやっていたこともあり、その調べ学習として資料を探すということも生徒はやっていたので、「自分にとって必要な本を探す」ということを強調してみた。

自分に「適する」本を選ぶ方法

これはやや眉唾なところがある。アトウェルの本だと一ページに指折り数えていって分からない語数が上限を超えたらその本は難しいと判断するという方法が紹介されていたが、日本語と英語だと状況がやや異なるのが困ったところ。

自分の授業では「指折り数えて5か所くらい概念をイメージできない本は自分に合っていない」という話をしてみたが、はたして適当だったかはやや疑問が残る。

日本語の本で「自分に合っている本」という基準を作るのは結構難しいかもしれない

日本十進分類法(NDC)・本の種類と内容の特徴・司書さんの役割

この辺りは図書室の利用率向上を狙い、図書室が非常に便利にできているんだよということを狙ってのミニ・レッスン。

意外と「単行本・新書・文庫の違い」だとか「本についている番号の意味」だとか知らない。また、司書さんを本を貸してくれるだけだと思っていたのも残念だった。でも、司書さんが本の専門家だということを教えたら、司書さんから本を薦めてもらっている子が増えたのはよかった。

NDCについては、上述の通り、図書室で調べものをするという状況があったので、必然的にNDCを意識して本を探していたのは効果的だったかもしれない。

読書記録の付け方・並行読書の勧め・積ん読の勧め

このあたりは読書量を増やそうという話と関連して。

特に、時間がなくて本が読めないという子どもたちには「常に複数の本を持ち歩いたり自分の居場所においておくと本を読むようになる」ということを伝えた。

読みたい本が十分に準備されていないと、読書しようという気持ちは起こらないんだよということを伝えたつもりだ。読みたい本リストの作成や迷ったら買う/借りるということを強調したのもここ。

優れた読書家の技法

これはほぼ『理解するってどういうこと?: 「わかる」ための方法と「わかる」ことで得られる宝物』をなぞっている。つまり、教えたこととしては

  • 質問する
  • 推測する
  • 関連付ける
  • イメージを描く
  • 大切なところを見極める
  • 解釈する
  • 修正しながら意味を捉える

の7つだ。

結局、時間の都合もあって駆け足で抜粋したものの内容を、口頭で説明するだけになってしまった。

本来であれば、この内容について中・長期的に実践を組み立てていかないといけないのだなぁと強く感じる。

また、下世話な話ではあるが、「受験」ということが気になる生徒にとっては、この「技法」の内容、頭の動かし方をきちんと話して伝えることで、「自由読書」に対して安心して取り組めることを保障できるんじゃないかとも思う。

大きな失敗としては、「内容」を口頭で説明しても伝わらないということを軽く見すぎたことだ。

『教育科学国語教育3月号』で山元隆春先生が「深い学び」の文脈でこの七つの技について少し触れているけど、「実際に使って見せる」ということを強調していた。 

教育科学 国語教育 2017年 03月号

教育科学 国語教育 2017年 03月号

 

これを見て冷や汗をかいたのはいうまでもない。

ミニ・レッスンは効果があったか?

これから実践したいという人が一番気になるのは「ミニ・レッスンは効果があるのか」ということだろう。しかし、残念ながらこの観点については「短期的には評価できない」というのが自分の答えた。

ミニ・レッスンは短期的に効果を得るものではないし、むしろ、短期的に効果を期待して「活動」させてしまうと、おそらく「自由読書」というところの良さは減ってしまうように感じる。

ただ、ミニ・レッスンが不要かと言われると、それは違うのではないかと思う。

ミニ・レッスンは正直、稚拙なものであったので、ほとんど意味を伝えられたという感覚はない。しかし、それでも、継続的に色々なことを話し続けたことで、それが読書生活を支えているなぁと感じる部分も少なくない。例えば、本を持ち歩くようになったということや探し物の時に司書さんを頼るようになったとか、本当に些細なことだけど、それが積み重なることで読書への姿勢ができていくんじゃないかなぁということを感じる。

だからこそ、中・長期的に考えるべきであるし、長い目で語り続けていく必要があるんだろうなぁと感じている。

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