読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

【書評】古典に親しむってどういうことだろう?

GWももうおしまいですね。明日が土曜日で休みだなんて何の御冗談でしょう?

今日は多少、読書もはかどりました。 

作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

作家と楽しむ古典 古事記 日本霊異記・発心集 竹取物語 宇治拾遺物語 百人一首

 

これも目を通してはあったけど、じっくりとは読んでいなかった一冊なので、ここで消化に成功。

「古典エッセイを書こう」という単元をやっていたので、古典に現代なりに親しむというあり方については、色々と考えてみたいのです。 

s-locarno.hatenablog.com

どうしても高校の古典と言えば訓詁注釈の講釈になりがちですからね……本当は古典に関する評論を取り上げたり、古典に関する近代以降の文章を取り扱ってよいとされているのに、ほとんどまともにそういうものを扱わない人が多いだけですから…

実際に古典の翻訳をした人たちの語り

この本で古典について語っている人たちは、現在、河出書房新社から刊行中の「日本文学全集」で古典を翻訳*1した人たちだ。

日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08)

日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集08)

 
竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03)

竹取物語/伊勢物語/堤中納言物語/土左日記/更級日記 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集03)

 
古事記 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集

古事記 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集

 

図書室に無理を言って全部入れてもらっているのだけど、あまり読まれていないのは悲しい……ライティングワークショップの時には大変お世話になりましたけどね!

ここで取り上げられている古典は、多くはこの全集のために新訳として書き下ろされたものであり、それだけでもかなり豪華だと思うし、学習材として使い道があるんじゃないかなぁとは思っている*2

もともとは書店でのトークイベントを編集したものだから、堅苦しい文学論というよりは、どのように作品と関わったのかということが自由にのびのびと語られている印象だ。

原作に誠実であっても自由に

どの語り手も翻訳に当たって「直訳」することなく、自分の個性や作品の個性を活かして、現代の作品として創りだそうとしている。

だから、本文にはないような言葉も必要とあれば臆することなく補って意訳するし、どんな思いを原文に読み取ったのか、また思いを込めたのかということを熱弁する。

この本の語り手が訳した作品が、比較的、自由奔放で生き生きとした空気の感じられるものであることは大きいかもしれないが、それでも、教室で行儀よく読むようなイメージの古典からは大きく離れている。

これだけ自由に読むことが許されるんだな…という雰囲気が伝わってくれれば、生徒の古典に対する嫌悪感も減らないかなあと思う。

ただ、賞味期限は短い気はする

何となく、上手くは言えないのだけど、この本が致命的に弱いと感じることがある。

それは、この本で語られている内容があまりに現代の感覚に近いからこそ、その空気感の賞味期限は短いような気がする。

自分は古典については全く知識はない。だから、文学的にどうのこうのと言えるものはない。

けれど、何となく、感覚的に非常に「ナマモノ」であるような感じを受けるため、それだけに賞味期限は短いような気がする。

五年くらいは持つかもしれない。でも、十年後にこの内容が上手く伝わるかと言われるとやや疑問な感じはする。

まあ、的外れであってくれればよいのですが。

*1:あえて翻訳という。口語訳しただけではないという訳者たちの心意気を尊重します。

*2:けれども、自分ではその上手い活かし方は現状はあまりなく…。前述のライティングワークショップの中で、生徒が資料として読むのにはよかったのだけど。

Copyright © 2017 ならずものになろう All rights reserved.