ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

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変えるべきは「やり方」ではない

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本日で一学期の授業終了。

今年度は四月から「質問づくり」(QFT)に取り組んできました。 

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どこまで成果が出ているのかということに苦しんでいたのですが、アメリカのRQIの方と話す機会があり、自分の頭の中で悩んでいたことを整理することができ、改めて「質問づくり」の大切なことが何かを考えました。 

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」

 

ノウハウとして実践してはいけない

どうしても「質問づくり」という名称から受ける印象が、授業のノウハウ程度の内容に思われやすいが、自分がこの「質問づくり」に注目している一番の理由は、これがノウハウとして優れているからではない。

むしろ、20年の歴史の中で手法を洗練させてきた、その背景にある「考え方」や「理念」にこそ共感と可能性を感じているのだ。 

本書がこのような方法を提案する背景には、この方法論が「さまざまな地域の市民活動に教育者として関わり続けてきた経験によるところが大きい」(P.12)と著者が述べるように、「人々が日々遭遇している問題の深刻さが明らかになるとともに、重要な思考と自分を主張するためのスキルを教える」(P.15)ことの必要性から開発されたものであり、最終的には「よく考えて行動する民主的な市民になれる」(P.25)ということを目指して考えられた方法である。

【書評】「質問」が「社会に開かれた教育課程」につながるか? - ならずものになろう

以前にこのように紹介した、まさにこの部分をこそ重く受け止めなければいけない。

例えば、質問づくりの四つのルールをなぜ守らなければいけないのかと言えば、「よく考えて行動する」ということを保障するためであり、その前提として「安心できる相互関係」を作るためである。

一つ一つのルールが非常に合理的に洗練されており、勝手にアレンジしてしまうことや手順を省略してしまうことで、本質を損ないかねないのである。もしアレンジするのであれば、このQFTの本質的な価値観をきちんと理解し、それを実現するために手順を丁寧に検討しなければいけない。

しかし、どうしても目に入ってくることがノウハウであるので、質問づくりを実践する前の「ルールについて話し合うこと」や「ルールを丁寧に守ること」などを改変しがちなのだ。それによって損なわれてしまうものがあまりに大きい。

自分は四月の授業でルールの説明をし、生徒に質問づくりの手順を理解してもらうまでに3時間かかった。「時間がないから」という理由で省略してはいけないものは多いけど、いざ3時間は準備にかかると言われたら躊躇してしまう人は多いのではないだろうか。

継続していかないと身につかない

ノウハウではないからこそ継続的な取り組みが必要である。もっと言うのであれば、自分一人が一教科でやっていても生徒の力となっているのかは悩ましい。

しかし、「ノウハウ」ではないからこそ、「子どもの思考の習慣」として質問づくりの考え方が浸透していかないといけないと思う。質問書かせて分類させるくらいのことであれば、生徒はすぐにできるようになる。

でも、そうした形だけの質問づくりで、どんな力が付くのだろう?やはり「その場は盛り上がるけど、力としてはついていない」ということを否定できない。

「立場を変えて考える」「問いを持つことで主体的になる」「問いの言葉を吟味してメタ言語能力を育てる」などの思考プロセス、思考の習慣は、ノウハウ的に一回質問づくりをしてもできるようにはならない。

一学期間で4回くらいやりましたが、まだ生徒のなかで自分の思考の習慣として定着している感じはない。

たぶん、十回くらい、丁寧に形を守ってやれば変わるんじゃないかなぁ……その意味だと孤軍奮闘している現状はやはり厳しい。

社会とのつながりを忘れてはいけない

今日の会話の中で当ブログでも紹介した『Q思考』の話題が出てきた。 

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Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法

 

この本の説明の方がもしかしたらQFTの本質に近いかもしれない。

というのも、この本は社会の中でどうしてQ思考が必要なのかという観点で紹介されているからこそ、「問うこと」の社会の中での意味の説明がわかりやすいのではないだろうか。

質問づくりはノウハウの側面が強く印象として受け取られやすい。しかし、ノウハウ以上に、理念の部分をきちんと煮詰めて継続する必要があるのではないか。 

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