ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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壊れかけた学校と外から見た学校

Smashed

今週の「週刊東洋経済」は、学校の先生はぜひとも買って読むべきだ。 

週刊東洋経済 2017年9/16号 [雑誌](学校が壊れる 学校は完全なブラック職場だ)
 

タイトルの通り、学校が「ブラック化」していることを「外側」から暴き出した特集号であり、同時に学校の教員の社会からの見られ方も書かれている。

単純に「仕事がきついことをわかってくれて溜飲が下がる」というレベルの話ではなく、バリバリの経済紙で「生産性のない学校」がどう見られているかを知るのによい一冊なのだ。

学校の外側からの指摘だからこそ意味がある

学校現場の労働条件の悪さは最近になって大いに盛り上がってきた部分はありますが、まだ、世の中に十分に認知されたとは言い難い。どんな中で学校とは無関係な世間一般から学校の異常な勤務実態や労働条件の悪さについて特集が組まれたことには大きな意義があると思う。

第一に、問題をきちんと多くの人に認識してもらうことによって、教員の立場を守ることにつながる。教員である自分がこれをいうと保身のように聞こえるかもしれないけど、衣食足りて礼節を知るというものである。教員に余裕がなくなって教育の質は担保できないのだから。そもそも、正規ならまだしも非常勤や臨時採用という悪質な雇用形態でさえ*1も「子どものために」という言葉一つで身を粉にして働いている教員が大勢いることからすれば、「正しく」教員の働き方が認知され、理解者が広まることには大きな意味があるだろうと思う。

第二に、外側からの指摘だということ自体に意味がある。つまり、教員が「生徒のために」という言葉で諦めてしまっていることを「生産性」や「ワークライフバランス」という観点から一刀両断にしていることにも意味がある。

このような特集が組まれるくらいにある意味で「異常な」状態であるのにも関わらず、声の大きい教員や管理職、著名な教員研修の講師の中には「生徒のためなのだから、ワークライフバランスなどと言ってはいけない」と豪語する教員や教育関係者がいる。そのような勢力に対しては、外側からの指摘によって徹底的に言説を相対化していかなければ、硬直した学校現場は変わらないだろう。

そもそも学校は「生徒のために」という言葉によって、無茶を押し通しやすい。バカみたいな話だが、「生徒のために」家庭を崩壊させる人や体を壊す人がいるのだから、冷静に考えれば正気の沙汰とは言えない。内部から「生徒のためにだけではダメだ」という自省ができない以上は、このように外側から指摘されることに意味があると感じる。

特集の書き方も好感が持てる

今回の特集記事は、もう少し面白おかしく見えるような「煽った」書き方になるかと思ったが、内容を見てみると比較的事実ベース、取材した事例の紹介を中心とした記事になっている。そのため、必要以上に煽るようなことも書いてなければ、比較的、学校の内部にいないとわからないようなこと(例えば、分掌のことや労務管理のずさんさ、部活動で教員間の意見対立があることなど)が書いてある。

ブラック部活動の内田先生や先生の働き方を書いた妹尾先生の書かれた記事がある。 

ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う

ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う

 
「先生が忙しすぎる」をあきらめない―半径3mからの本気の学校改善

「先生が忙しすぎる」をあきらめない―半径3mからの本気の学校改善

 

弱い立場の「非正規教員」の特集記事や迷走する全国学力調査のことも事実ベースで過剰に煽ることなく書いてあるのです。

「仕方ない」と思って諦めてしまっている教員は多くいるはずですが、その「仕方ない」が決して仕方ないではないということを主張してくれているのです。

揶揄されていることにも気づくべき

好感が持てるといったけど、ある意味で学校の外側からの記述なので、学校の内側の人々が気づいていないのか、当たり前になりすぎて鈍感になってしまっているのか、そういう視点を指摘してくれている。

例えば、一部を紹介すると、平均的な「先生」をモデル化して説明している部分(P.43)では…

  • 子どもが好きな「自称」まじめ

この「自称」というつけ方に悪意を感じる(笑)

性格

  • とてもまじめ
  • 「生徒のためなら!」とついつい頑張ってしまう
  • 自分のやり方にほかの先生から口を出されるのが苦手
  • 個人プレーが大好き

褒めているようでまったく褒めていないな(笑)。人のいうことを聞かない「まじめ」なんてビジネスの感覚から言えばタチが悪くってしかたないでしょう?

仕事のやり方

  • 仕事を増やすのは得意だけど、減らすのは苦手
  • 何でも紙に印刷したがる
  • 名簿、学級通信などは決まった書式がなく手作りする先生が多い
  • 仲のいい先生には秘伝のタレのように自身の作った書式を伝授する
  • 教員を長くやっている人ほど、生産性の概念がない

(以下略)

ありえない生産性のなさである。ここだけ見てしまうと、もう自業自得ような気がしてくる。

  • ワークライフ・バランスどころか、仕事と私生活が混ざっている

いやぁ…異常だね。今、もっとも嫌われるタイプのブラックさではないか?

  • 授業方針などのノウハウの共有がなく、「背中を見ろ」という方針

教科教育研究……。背中を見せるほど親切ならマシな気もするが。

こんな塩梅である。かなり揶揄されているでしょう?これに対して心の底から「本当にそうなんだよ!バカじゃないの!」と共感して怒るのか「何、人のことをバカにしてんだよ」とキレるのかで色々と職場のリトマス紙になりそう(笑)

重要なことは、こうやって外側から見たときに世間の常識からあまりに外れていることが揶揄されると知っておくことだ。そのことを分からないで「生徒のためだから世の中のブラック批判に惑わされてはいけない」というような正論に見えて無茶をいう言説を世の中の感覚からはズレて揶揄されるものだと相対化できることが大切だ。

全国学力調査についても書いてあります

この記事で順位表を47都道府県すべてを出したのはバカなことしやがってと思ったけど(笑)、面白いのが学力上位県の秋田が、学力上位であることを宣伝材料にして、ブランド化に躍起になっているとうい話である。

完全に学力調査が子どものためのものでなく、大人の順位競争意識になっていることを突き放して書いてあります。

そういえば、昨日、ひどい記事も見た。

教育に強い読売(笑)

このあまりに学力向上に移住しろなんて、暴論も暴論である。こんなことを指導する行政があることに憤りを覚える。

とりあえず、立ち読みでいいので…

内容としてとても充実していると思います。

買うのが嫌ならば立ち読みでもいいので(笑)

もしくはdマガジンの一か月無料を利用してみてみるとよいのでは?

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*1:一部の公立の場合。私立の場合はさらに悪質な雇用形態もあったりする。そもそも、私立は公立の先生とは異なり、本来はきちんと残業代の支払いなどもされるべきなのだが、実態は……。

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