ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

生徒のICTスキルは高いのか、低いのか。

ipad

授業で今回はスマホも活用させながら授業してもらっています。

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授業で使わせてみて、その様子を見ていると気づくことが数多くあります。

実はできないことの方が多い

よく年配の(失礼)先生はICTについて「生徒のほうがよく分かっているから、もう勝手に使いこなせちゃうよー」と自分が使いこなせないことを卑下したような言い方をするのだけど、この言い方が果たして本当に正しいかどうかということは疑ったほうがいいかもしれない。

授業でBYODの形でスマホで資料を参照させたり授業記録をアップさせたりしてみると、生徒が意外とスマホを使いこなせていないということが分かる。

例えば、「QRコード」でURLを読み取ってクラウド上のファイルにアクセスしてほしいときに、スマホをQRコードにかざしてサッと読み取れる生徒は、体感的には5割くらいである。iOS11やandroidではカメラをかざすだけで読み取れるのだけど、そういうことを知らないために、わざわざアプリをダウンロードしてみたり、そもそもどうやってQRコードを使えばよいか分からなかったり……人によってできることのレベルは様々だ。

今回はDropboxを使っているのだけど、スマホからアクセスすると、Dropboxのアプリでファイルを開くのか、ダウンロードして別のアプリで開くのかを選ぶことになるのだけど、そのあたりの煩雑さにリタイアしてしまい、結局、ファイルの中身を見られないという生徒は相当数いる。

また、例えば以下の記事で紹介している通り、GoogleKeepやGoogleドキュメントの音声入力の精度の高さは非常に高い。

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しかし、生徒はこういうツールがあることは全く知らないし、もちろん、使ったこともないという。また、ネットで同時に協働してファイル編集をすることができることを知らなかったりと、世の中に便利なツールがあることを知らない生徒は非常に多い。

こうなってくると、「知らない」という意味では別に生徒であっても年配の先生であっても大差はない。「教えられていないものは知らない」し「慣れていると言っても生徒の使い方はLINEとソシャゲだけ」ということだ。別にこのあたりの事情は大人も同じでしょう。仕事などでGoogleドキュメントやDropboxを使いこなしている人は決して多くない……よね?教員だけ?

知らないからこそ学校で使うべきでは?

生徒が意外とスマホを使いこなせていないということから思うのは、「これほど便利な道具があるのに使い方を知らないのはもったいない」ということだ。それこそ、学び方の質を大きく変える。例えば、GoogleKeepに話合いの音声メモを残したり、Googleドキュメントで放課後でも協働的に学習を進めたり……という派手なことだけでなく、単純にノートを写真で記録しておくことやちょっと分からない内容をネットで調べることができることも十分に学びの質を変える。スマホがあれば極端な話、学術論文だって読めるのだから。

しかし、こういう「ネットで協働編集をする」ということや「音声入力で原稿を作る」ということを経験しないで歳を取っていったら、結局、今の大人と別に変らないICTスキルの大人ができるだけである。

無料で、しかも簡単に使えることなのだから、授業でも積極的に使ってもらって、慣れていくことにも意味はあるのではないかと思うのです。大人たちが無責任にいうほど「ハイテクなおもちゃを使いこなしている」わけではないのです。

教室が変わることまで考えて

よく、ICT機器を「筆記用具の一種」という言い方をすることがあるけど、本質を突き詰めて考えるとこの言い方は不十分である気はする。道具として使いこなせることはもちろん重要なのだけど、道具として使えることによって授業の方法や学びの構造が激変する可能性があるように感じる。「道具として使えればいい」のは間違いないが、道具として使いこなせるようになったときに、教室の変化が非常に大きいのではないか。その変化まで見通さないで「筆記用具と同じ」と役割を小さくしてしまわないほうがよいと思うのです。

たとえば、今教えている生徒は「LINE」には慣れているせいもあって、何か学校の課題が終わらないときに家に帰ってから夜な夜なLINEのグループ通話で話し合いを続けていたという話を聞いている。ね、こうなると学校でなくたって協働的な学習はできるわけだし、自分たちがやりたいときに時間を決めて柔軟に好きなように勉強だってできる。

逆に大人でSkypeなどを使って勉強をしたことがある人ってどのくらいいるだろう?ごくわずかだと思う。子どもたちが上手く使っているのとは好対照だと思う。

子どもの方が得意なんて言わないで

教えられないとできないことはあるし、大人が使ったことのないこともできるのが子どものICTスキルだろう。非常に当たり前のことしか言っていないのだけど、こういう捉え方をして、教員は自分自身のICTスキルについて考えてみる必要はあるのではないかな。

つまり、ICTが必要になりつつ、なおかつ便利に使える道具である以上、教員は少しでもICTスキルを勉強する必要はあるのではないかと。無責任に「子どもの方が得意」といって、自分が新しいものを勉強することを後回しにしていませんか?ということである。

まずは、Skypeで勉強会してみたりDropboxでファイルを管理してみたりと、授業でもすぐに使えそうなことから始めてみませんか?

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