ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

毎回のことながら考査に悩む

7 June

そろそろ考査です。今は作問に頭を悩ませています。

よくある質問ですが、アクティブ・ラーニングをやっていて、どうやって考査をしているのかということを言われます。

例えば、今であればポスターセッションをして、その後にレポートを書くという単元になっていますが、それで一体、何を考査するのかということです。

ごめんなさい

一番最初に言わなければいけないのは「授業と考査が本当に一体化しているか証拠は何もない」のが現状だということです。はっきり言ってしまえば、全然、授業と関係ないことを聞いていると言われてしまう可能性はあります。生徒に対しては「ごめんなさい」と謝るしかないかもしれない。

理屈と膏薬はどこにでもつくといいますから、いくらでも強弁することは出来るのですが、その強弁が本当に何かエビデンスベースになっているかは怪しいとしか言えません。だから、常に同じことを繰り返すのではなく、苦しくても毎回いろいろなことを試してみる……ということくらいしかできません。

指導と評価の一体化……。いや、形成的評価という意味では、自分が授業の間に自由になっている分だけ、多く生徒にフィードバックできているのでよいとは思うのですが、考査は……ごめんなさい。

授業に真剣に取り組むからこそ解けて欲しい…

本当であれば、生徒に与える負担感が大きいアクティブ・ラーニング型の授業だからこそ、授業できちんと真剣に取り組んだ生徒にこそ解けて欲しいと思う……けど、それもよく考えると自家撞着している部分もあるよなあと思うわけで。

結局、「考査」という仕組み自体が「ここまで必ずやりなさい」という線引きになっているから、難しいのかもしれない。その時期に、その子が必ずそれをやらなければいけないという必然性はやっぱりあるようには思えないわけで。

でも、授業でやったことがちゃんと繋がっているという感覚は持ってほしい。自由にやってほしいと思う一方で訓練したほうが効率がいいことであれば、そういう手段を取ればいいわけだし。残念ながら大学入試も生徒にはリアリティのある課題である以上は、そういうことを訓練することは授業に組み込まれているし、考査にもそれは反映されている。

ただ、厄介なのは、「覚えればいい」というものではなく、訓練自体も抽象的な指示になりやすいし、指示通りやっても例外が多すぎてすぐにできるようになるものでもないのが、国語の問題だよなあ…と思う。

前年ながら真面目に課題をやった子よりも、センスのいい子が悠々と好成績を取ることもあるのが国語である。

自分がもっと勉強しますよ……今は、やっぱりごめんなさい。

基本方針として

こんな中途半端な状況ではあるのだけど、基本方針はある。

それは、例えば「基本的には初見の文章を出して場所を覚えるのが国語ではないとはっきり理解してもらう」とか「できるだけ記述問題を出して書くことを準備してきてもらう」とかね。

どうしても苦手な子がいるのが分かるので、知識問題を減らせないというのが、授業設計からして課題が残るのですけどね…。

周囲のクラスとの足並みということもあるので、思い切って全部小論文で…という訳にもいかないし、まだまだ模索しているところです。

ちなみにPBLの一つでは…

もっと「評価」ということで困りそうな探究学習ですが、実はミネソタニューカントリースクール型のPBLではこの辺りはかなりシビアにやっている。

学びの情熱を呼び覚ますプロジェクト・ベース学習

学びの情熱を呼び覚ますプロジェクト・ベース学習

 
プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち―日米18人の学びの履歴

プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち―日米18人の学びの履歴

 

詳しくは上の本を読んでもらいたいところだけど、プロジェクトごとに企画書の段階で「何を達成するのか」「どう評価するのか」ということをかなり厳しく練り上げるし、プロジェクト終了時点で開かれる「評価委員会」は大人が徹底的に子どもに対して成果を尋問する。また、卒業のためにはあらかじめ渡されている要件をすべてクリアしなければいけない。

結果的に、学ぶ順序や方法は子どもに委ねられながらも、達成水準はかなり厳しく担保されている。というのも、ミネソタニューカントリースクールがチャータースクールということもあり、州の統一テストなども学校評価として厳しく問われていることもあり、よほど日本の学校よりも生徒の達成にはシビアだ。

何を評価してほしいか、いつ評価してほしいかということを生徒に委ねたって良いってことは、画一的な定期考査に慣れてしまった私たちは知っていてよいことだと思うのです。

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