ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

気ままに新年度

New Zealand 2007

泣いても泣いても新年度が本日から始まりました。また、新天地で頑張ろうと思います。いや、慣れ親しんだというかうんざりとした相変わらずの職場ですが。

会議と会議と会議と…

新年度は仕方ないけどひたすら会議である。

新任の方との顔合わせ(うちの学年団にフレッシュさがあるとは言っていない)や細々とした事務連絡だとかね…。

教育目標の説明なども聞くが、延々と大学入試の数字の話ばかり出てくるのにはあまり面白さは感じない。

溝上先生の言葉が頭の中で反復されるところである。

残念ながら、ただ合格することだけを目指して、競争的な、あるいは伝統的な大学をする生徒が少なからずいる。大学で何を学び、どのように成長したいかも十分に考えないで入学してくる学生が少なからずいる。高校のなかには、確信犯的な学校もある(中略)大学受験の実績にばかり目が行き、生徒の学びと成長を軽視することもある高校側には、改めて教育の意義を問いたださねばならない。(PP.4-5:下線強調は引用者)

 また

しかし、高校教員からは、「話はわかるが、結局大学受験が変わらないと、私たちは教育を変えられません」というコメントもたくさん受けてきた。私の頭をいつもこだましている。私はそれを聞いて、「そんなに大学受験が高校教育の目的というなら、先生の高校は〇〇予備校と名前を変えたらどうですか」と、そんな嫌味を繰り返したりもした

私は大学受験や、生徒が競争力の高い、あるいは伝統的な大学を目指すことを否定してはいない。(中略)しかし、である。大学生になってからの姿を見るだけでも、そんなことのため(引用者注:クラブ・サークル、アルバイト中心で授業に対しては受け身である姿)に、あんなに勉強して大学に入ってきたのかと問いたい気持ちが生じるのは正直な感想だ。高校教員はそこまで知って、生徒の合格時に見せるあの我が事のような喜びを見せるのか。(PP.89-90:下線強調は引用者)

 (引用元は以下)

高大接続の本質―「学校と社会をつなぐ調査」から見えてきた課題 (どんな高校生が大学、社会で成長するのか2)

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少し長くなりすぎた引用であるけど、まさにこの言葉を痛感させられるのである。

卒業生が仮面浪人して実績が出て喜んでいる姿や大学に行かなくなったことを本人の生活の性格だからと深く考えることもなく済ませてしまう様子を見ていると……頭が痛い。

特に私立高校として生き残っていくためには大学の合格数の持つ意味は大きい。誤魔化せない。いくら美麗字句で飾っても、募集にダメージが来る。もう、それはどうにもできない。学校が立ち行かなくなってしまえば、そもそも教育もできない。

しかし…しかしだ。

実績を出すのも必要でしょう。しかし、受験勉強を兼ねながらも、いくらでも溝上先生のいうところの「自律のエンジン」を育てることができるような教育のあり方は模索できるはずだ。はっきり言ってしまえば、色々という教員は、アクティブラーニングをやりたくないのではない、そもそも、生徒の高校卒業後の姿になんて興味ないのである。今の自分の仕事の効率化と生徒の厄介事を抱え込む覚悟もないのである。

なお、毒づいたついでももう一つ言っておくけど、先行研究の勉強や理論の勉強をしないで、なんちゃらワークショップに出たくらいでアクティブラーニングやキャリア教育を見切ったつもりになって、生徒にとりあえず活動させればいいというような安易なやり方も無責任である。そんな根幹が浮ついているような覚悟では、周囲の状況で日和見するに違いないのであるし、「卒業後」までという超長期の視野を持って考える必要がある授業の問い直しができるのか、甚だ疑問である。

おっと……毒を吐きすぎている?

まあ、忙しいのでイライラしているということで…

新学期が始まり、始業式までに行わなければいけない仕事をリスト化(GTDでね)すると、130個くらいになっています。

それを片っ端から片付けていくことに快感を覚える一方で、やれどもやれども仕事がなかなか減っていかないことにはイライラするよね!だから、苦情の一つも吐きたくなっただけです。

文句を言いながらも手を動かす、これが生産性を上げるライフハックですよ!

……新年度の初めですから、「ワタシ」という教員の性格をご理解していただくのもよいかと思いましてね。今年度は真正面から殴り合うことも必要かもしれない。

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