ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

授業設計に使うか、自分の勉強に使うか、生徒に薦めるか

Learning Centre_011

前にも少し紹介していたけど、結局、紹介の仕方に迷うので紹介してしまおう。

学習設計マニュアル: 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン

学習設計マニュアル: 「おとな」になるためのインストラクショナルデザイン

  • 作者: 鈴木克明,美馬のゆり,竹岡篤永,室田真男,渡辺雄貴,市川尚,冨永敦子,高橋暁子,根本淳子
  • 出版社/メーカー: 北大路書房
  • 発売日: 2018/03/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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学び方を学ぶための本

この本の根本的な方向性は、本書の冒頭に示されている。

私たちは最新の知識や考え方を知り身につけることなど、知識やスキルの更新を頻繁に行っていかなければなりません。つまり、生涯学び続けることが必要なのです。

そうして読者にこう問いかける。

みなさんは、自分の「学び方」ということに、どの程度真剣に向き合ってきましたか?(中略)これまえに膨大な時間をかけて学習してきて、さらにこれからも、長い時間、生涯をかけて、みなさんは学習していくことになります。これからも長い時間をかけていくわけですから、自分の学び方を今よりも、より効率よく効果的にできたら嬉しいと思いませんか。

まさに、これらの冒頭の文章で示されるように、「生涯にわたって学び続ける」ために、「どのように学び方を磨いていくか」ということのヒントをちりばめた一冊となっているのである。

そのために、大きくは「自分の学び方と向き合う」「学びの場を作る」「学び方を工夫する」「これからの学びを考える」という4部構成、そしてそれぞれの部を細かく章立てして、全部で19章から成り立っている。

何よりも、本書の大きな特徴としては、いずれの「技」もいずれのアドバイスも「学術論文」などに裏打ちされた信頼できる方法論が述べられていることです。アドバイスの根拠が学術論文ですから、その気になれば、自分で原著論文や参考文献に当たることができます。

「学び方」を学ぶ本でありながら、「学びのスタート地点」にもなるという本なのです。

さて、この本を読むべきなのは誰なのか…

この本の面白いところが、紹介された「学び」のモデルが「学び手」としても参考になる書き方がされているし、一方で「授業のデザイン」を考えるためのヒントもちりばめられて書かれているのです。

その証拠として、一つの章ごとに「学生」の立場を想定した感想の例と「チューター」すなわち「教える側」の立場の想定した感想の例を紹介しており、同じ理論について「学ぶこと」と「教えること」の両面から納得できるようにできているのです。

さて、こうなってくると、いったいこの本を誰が読むべきなのかということに興味が湧きます。

自分のようにブログを書いたり授業を練ったりするのが好きな人間にとっては、学ぶ側の立場としてこの本と付き合っていくと、やはり色々と学び方についての発見があり、すぐにでも試したくなります。

一方で、自分が学ぶということを離れて、ここに書かれているモデルをうまく授業に適応していくことによって、どんな授業が作れるのかということについて考えても面白いところです。

または、そもそも自分が読むのではなくて、高校生に教えているのであれば、高校生に読ませてみたいという気持ちもある。大学の勉強の仕方と高校の勉強の仕方の乖離が大きくて戸惑う生徒が多いということは、イマドキは言い古されたことではあるけど、決定的に解決法がある訳でもないのだから、こういう本で背伸びさせるのも大切だよなぁと思う。

さて、誰が読むべきなのでしょう。でも、学ぶことに興味がなければ面白くはないかもね。

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