ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

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理解するまでの苦心

Blue Energy

ポストモダン的な文章を授業で扱っています。

さすがに生徒にとっては「わかったようなわからないような」という文章であって、かなり「自分の理解」として納得するのは難しい。授業としてはひたすら読んで書いて考えようというシンプルな授業だけど、それだけに近道もないので非常にしんどい。

なんとなくを乗り越えていけ

さすがに高校3年生ということもあって、これまでに様々な評論や資料を読んできたこともあって、徒手空拳に小難しい文章を読んでいるという訳ではない。

一つの文章の中から色々な文章とのつながりを「発掘」しながら読み進め、そして自分にとって一番よく分かる言葉でまとめていくという作業を求めている。当たり前であるけど、恐ろしいほどにそれは生徒にとって難しい。

第一に、「本文そのもの」の読み取りだって実は語彙や論理関係の確認という意味では難しい。書いていることを書いているように読む(ことができるかはわからないが)のも、語彙のレベルや抽象度のレベルによっては簡単な話ではないのだ。そして、ある意味、大学入試の半分くらいは、この「書いてあることを書いてあるように読む」ことのスキルが試されている部分がある訳で、100%の生徒が進学希望である以上は、しっかりできるように育てる必要はある。

第二に、「書いてあること」だけが分かっても「意味が分からない」という文章がいくらでもあるということだ。つまり、筆者の問題意識やその文章が書かれてくるような背景について、生徒自身が自分の中に問題意識がないと、「文字面以上」のことを見出せない。この「問題意識」を持てるかどうか、持っていないなら何とか分かろうとして色々と調べて考えてみることができるか、そういう我慢強さを育てていかなければいけない面もある。

第三に、何となく書かれていることがきちんと分かっているという状況であっても、自分の頭の中にある情報を構造化することができないで、文章として、アウトプットとして表現できないということもある。教員と対話の中で出てくる言葉の端々に、きちんとした問題意識が含まれているのが分かるのに、文章として構造化されたものが出力できないのである。

一人一人の生徒の抱えている苦労が全く違うだけに、授業はいつでもぶっつけ本番である。でも、ちゃんと何度も書き直して、話して、読み直して…と、愚直に理解しようという努力をしている生徒の考えは、段々と牛歩でもきちんと形になっていくのです。

どれだけ、普段の生徒の生活の中で、物事を明晰に考えて、誤解のない言葉を使っていないのかと感じるのである。まあ、普段からこんな面倒なことをやっていたらオーバーヒートしてしまうので、実際、こんな面倒な思考が必要になる場面は少ないだろうとは思う。

でも、それでも、大学で学び、そしてその先も社会で学び続ける力の基盤として、物事をじっくりと考える態度と方法を教室の中に準備しておきたいなと思う。

 また、こんな考え方もある。

ディープ・アクティブラーニング

ディープ・アクティブラーニング

 

「深いアプローチ」

  • これまで持っていた知識や経験に考えを関連付けること
  • パターンや重要な原理を探すこと
  • 根拠を持ち、それを結論に関連付けること
  • 論理や議論を注意深く、批判的に検討すること
  • 学びながら成長していることを自覚的に理解すること
  • コース内容に積極的に関心を持つこと
(P.45)

学習のあり方は「意味を求めての学習」である。

うん、「意味を求め」るかぁ……。一体、現代文で読んで理解できるようになるべき「意味」ってなんだろうなと。

やはり、「意味」自体を織りなすのが、文章の読み手である生徒一人一人であるべきなのだろうと思う。色々な知識を結び付けて、自分の言葉で再話される。そうして出てくる言葉にこそ意味があるのだと思うが……さて、そうなったときに「みんなちがってみんないい」方式の悪平等や教えることの放棄にならないかとは心配である。でも、やっていて思うけど、注意深く色々な資料や知識の間に関連性を見つけて意味を見つけていく過程を経れば、表現に差があっても、ある程度の枠組みで描き出される意味があるよなぁと感じる。

もう、やることはシンプルに

こうして、本当に考えて、本質的なことを生徒たち自身の言葉で語らせようと思った時に、やることはシンプルにしかならない。

  1. 足掛かりになる問いを投げる
  2. 生徒が自分の言葉で記述する
  3. 生徒が自分以外の考え(教員・友達・資料など)と対話する
  4. 自分の考えを書きなおす
  5. 分からないことを解決しようと考える
  6. 考えたことを書き記す
  7. また、考え直して書き直す…

……と、ひたすら読んで書いて考えて、ということを繰り返すしかありません。

考えるには時間が掛かるのです。授業のほとんどの時間を生徒に差し出すのがベターだろうなと思うのです。

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