ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

なぜ極限状態でも本を読むのか

シリアの秘密図書館 (瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々)

シリアの秘密図書館 (瓦礫から取り出した本で図書館を作った人々)

 

GWももうすぐ終わり。順調に本をのんびりと読めています。

これほどのんびりと本が読めるのは精神的に非常に充実しているような気持ちにはなります。時間と気持ちに余裕があるからこそ、本を読むことができると思うわけです。

しかし、今日、紹介するこの本の中の読書は、そんな自分のお気楽な読書とは全く違う意味を持つ行為なのです。

混沌からの自由

「秘密図書館」という言葉を見ると、なんだか穏やかではない雰囲気を感じる。

それもそのはずで、「シリアの秘密図書館」とは、アサド政権の攻撃を受けてボロボロになって苦しんでいる「ダリヤ」という都市で市民たちが自分たちの尊厳と自由のために、迫害と困窮という極限状態に置かれながらも、自主的に作り出した図書館なのです。

そもそも本が簡単には手にいられないようなダリヤの街で、図書館を作り上げることは簡単なことではない。秘密図書館に置かれる本は、攻撃で破壊された街の瓦礫の中から掘り起こして集めたものだという。

自分たちの頭上に日常的に爆弾が降り注ぐ中にあっても、図書館で本を読むことで、様々な知識を得て、自分たちの自由を確信して生きていこうとする姿には感動を覚える。この秘密図書館が紛争に苦しむ人々の慰めになりつつ、それでいて闘うための勇気の源泉にすらなっているのである。

ダリヤの街は一言で説明できるほど、単純なものではなく「しっちゃかめっちゃか」(混沌)そのもので、すぐ側に死が待ち構えているような有様である。そのような極限状態に対して、人間らしい言葉と理性で対抗しようとする姿に深く感銘を覚える。

この本はルポルタージュであり、すなわち紛れもない現実での出来事である。現実だからこそ、この図書館には残酷な最期が待ち構えている。

しかし、それであっても本が、図書館が、知識が残した自由への決意は、本質的には決して揺るぐことがないのである。

知識を享受できる幸せ

日本はやはり平和であり、いくらでも自由な学びが保証されている。

相対的なものではあるけど、その幸福は非常に大きい。

知識があるからこそ、自由に考えることができる。

そのような感覚を伝えることができるかは、教育の仕事して大きいのではないか。

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