きちんとした感想は後日まとめるので、とりあえずの感想を。
一日目のプログラムは、大学での実践の話や理論についての話です。
一人目は、関西大学の森朋子先生から「反転授業」についての理論と実践についてのお話でした。
生徒の「わかる」ということについて突き詰めて考えた言った結果の「反転授業」という形のアクティブラーニングということでした。
「わかる」という認知プロセスについて考えていくと、「わかり方」は個々人によって異なるということであり、個々人によってわかり方が差がある以上は、一斉授業で教え込もうとしてもうまく行かない部分が出てくるのも当然のことであり、よりよく「わかる」ためには、アクティブラーニングが合理的。
知識獲得と能力の育成の両立、つまり、よりよい授業を成立するためには、第一に「内化」と「外化」の往還を授業で保証すること。第二に、個人の学びを保証するために、個人と集団を往還する必要があるということ。
反転授業のように内化を前提としている活動はすぐに深い議論が可能であり、上の二点を保証するのにも合理的である。
森先生のお話は、反転授業だけではなく、なぜアクティブラーニングという授業デザインが必要なのか、どうすれば、アクティブラーニングで失敗に陥らないのかということについての説明が非常に多かったです。
二人目は成蹊大学の平野多恵先生の「アクティブラーニングでまなぶ日本の古典」というお話でした。
これは、平野先生がご自分の経験から、専門の学びとキャリアを繋げていくときに、アクティブラーニングという形態にたどり着いたというご自身の経験からのお話でした。
今回紹介されていた実践例としては、『今昔物語集』の表題と話末評語をグループワークで考えさせることや『枕草子』の類聚的章段を例としてお話していました。
アクティブラーニングに適した教材の収集・開発の必要性やアクティブラーニングで古典の普遍性を気づけることなどをお話されていました。
……この話については どこかでたぶんきっちり書きます。国語なので。
先に結論からいっておくと、国語科教育の実践から検討できるのではないか、すでにここで話されたことよりもかなり進んだ実践も存在しているのではないかということです。
三人目は大阪府立大学の高橋哲也先生による「数学的リテラシーの観点から高大接続と大学入試を考える」というお話でした。
専門外かつ資料とお話が多かったので、ちょっとまとまりませんが、大枠としては日本の「数学的リテラシー」の教育が低調であることに問題提起をなさっています。
印象的だったのが、「入試段階の数学は得意 だという生徒に大学で問題解決のための数学をやらせてみるとまったくできないことに愕然とした」というお話です。
数学に限った話ではなく、様々な教育が、高校と大学で断絶してしまっており、しかもそれが改善されないという状況に厳しさを感じます。
四人目 が京都大学の溝上慎一先生の「エビデンスベースで生徒の学習と成長を可視化する」というお話でした。
今回のお話は、溝上先生が今まで行ってきた調査や研究の成果について、様々な統計資料を用いて、大きな方向性を示されるようなものでした。
今回のお話は、溝上先生が以前から提唱している「トランジション」という観点の重要性を改めて認識させらるようなものでした。
これもかなり重要な話なので、後日、きちんと整理していこうと思いますが、大まかな結論としては「能力・資質」については、キャリア・対人関係・学習の三つの要因が影響を強く及ぼし、また、それらの要因は中学や高校の早い時期から始まっている可能性があるということです 。
恐ろしいことに、京都大学・河合塾の「通称10年トランジション調査」によると、高校から大学にかけて「資質・能力」は変わらない傾向にあるということです。
つまり、より早い時期からのキャリア教育が重要であるといえますし、もっとキツい言い方をするならば、キャリアについての教育を生徒にすることを先送りにすればするほど、子どもたちが不利益になる可能性が極めて高いと言うことです。
「入試でよりよい大学に入れれば責任は果たしただろう」という詭弁で、キャリア意識の形成などを先送りするような無責任な指導は我々中等教育の人間には許されていないのだと改めて感じました。
とりあえず、箇条書き程度に速報まで。
また、そのうち、整理をしていきます。