ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

アクティブラーニングの時代に学校は時代錯誤か

NO

こんな記事を見た。

www.huffingtonpost.jp

下着の色まで指定するような指導が未だにあるんだ……という印象。

「学校」なるものに対する世間一般の反発

「形の矯正」というと、歯並びの矯正をイメージしますが、子ども達の服装や振る舞いなどを、こうあるべきとして一律に何をどう矯正していきたいのか、その目的は何なのか?私には見えません。

「心の方向づけ」にしても、子どもたちがこれから様々な壁にぶつかったり、苦難な問題に直面したりといった局面で、それを乗り越える力や、心が折れた時でも自らを立て直せる力となるような、「生きる力」を支える心のものさしとなるものであるのならわかるのですが、下着を白に限定する等の教育が子ども達にどのような「心の方向」を与えるのか?、私には皆目見えてきません。

保護者としての視点からの指摘であるが、一字一句、反対することはありません。

さらに記事では、中一プロブレム*1について言及して、

 窮屈なルールによる息苦しさ、時には指導の理不尽さに戸惑い心を痛め、学校へ行きたくないと感じてしまう心のSOSに悩み苦しむ子どもがいても不思議ではない

とまで述べているが、この点についても教員はそろそろ真剣に考えなければいけないだろうと思う。

まあ、さすがに中一における生徒の混乱を生徒指導だけを槍玉にあげることはできないけれども、このように思われてしまうこと自体に大きな問題があるのではないか。

校則がないことで問題は起こる?

学校の教員が拘束で生徒を縛ろうとする理由の一つとしては「生徒指導」という面が大きいだろう。

生徒指導といってもどちらかと言えば、生徒の成長のためにということが本心というよりも、生徒の成長のためにという言葉を盾にして「周りからクレームを受けるような行動は縛っておこう」という発想のものが多いように感じる。

たとえば、上の記事で紹介されていた

弁当: 土曜など弁当が必要な場合は、登校途中に買って行くことは禁止。

のようなルールは、別に「食育」だとか規律だとかそういうことを生徒に身につけようというような意図があるというよりも、例えば、金銭を学校に持ち込むことで盗難などの事故が起こることを避けようという意図が働いているだろう。もっと邪推をするなら、買い食いなどされて近隣住民から余計なクレームをもらったりコンビニなどで万引きなどの悪ふざけをされたりすると非常に面倒なことになるので、まとめて禁止しておこうという発想である。

まあ、面倒ごとを未然に防ぐという意味では、それほど間違っていない手段なのかもしれないし、ちゃんとその意図を伝えて指導するなら、まだ理解をもらえる可能性はある。

でも、例えば「保護者がどうしてもその日はお弁当を用意できない」ような場合に、たまたまコンビニでお昼を買ったら、ありえないくらいに教員に怒られる…などのように、もはや意図がよく分かっていないのに、形だけ何でもかんでも禁止だといって取り上げるような指導を見直さないことに問題がある。

「中学生らしい」だとか「高校生らしい」だとか、客観的に評価できない大人が恣意的に運用している規準で生徒を縛り上げるのは非常に卑怯というものだ。

優先席はどこに作ればいい?

規律意識を子どもに考えさせる道徳の授業として「優先席をどこに作ればいいだろうか」ということを子どもに問う実践が次の本に紹介されている。 

道徳授業で育てる確かに「学ぶ力」 中学校編 (道徳教育充実策シリーズ)

道徳授業で育てる確かに「学ぶ力」 中学校編 (道徳教育充実策シリーズ)

 

説明するまでもないが「優先席」は、病人や高齢者や妊婦など座席を必要とする人に座席を優先的に譲ろうという席である。

この優先席を列車内の「どこに」「いくつ」作るのかを考えさせることでルールやマナーや相互扶助の感覚を育てる授業だが、この授業をやると子どもたちは「見慣れた優先席の配置」や「全部を優先席にしよう」という意見を多く出す。

しかし、この授業の最終的な教員からの揺さぶりは、「優先席をなくしてみるのはどうか」ということである。

つまり「ルールのようにお互いに助け合うことを縛るのではなく、お互いが考えてお互いを尊重できる社会を作ることが理想ではないか」ということを考えさせる授業だ。

果たして、この授業を臆面もなくできる教員はどれほどいるのだろうか。自分たちがルールで子どもを縛るというのに、子どもには「ルールではなく相手を尊重する心が大切だ」というのは、滑稽というものだろう。

*1:おそらく小1プロブレムと中一ギャップがごちゃ混ぜになっている

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