ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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意外と面白いかも?文語がセリフの漫画!?

たまたま図書室で見つけた面白い本。 

たけくらべ

たけくらべ

 

どういう本なのかというと、絵は普通の千明初美さんの漫画なのですが、セリフがすべて文語(!)という漫画なのです。

イロモノなのかと思って興味本位で手に取ってみたのだけど、これがなかなか面白かった!

イメージが分かると文語への抵抗が減る?

まず、一番、意外に思ったのが絵が付くことで文語の理解度が全然異なるということだ。もちろん、自分は国語の教員なんてやっているから「たけくらべ」くらいであれば、さすがに何度も読んでいるので内容はよく知っているのだけど、それでも絵がついていることで、より作品のイメージが膨らんだ気がする。

少なくとも一から原文を読み直すときに感じるような負担感はかなり少ない。

生徒が古典を読むときに理解が難しいことには、言葉の難しさやその言葉が意味しているものの具体的なイメージが浮かばないことなどがある。

漫画になることで、生徒にとってなじみがなくてイメージしにくいものが分かりやすくなっているし、言葉の難しさについても絵が補助になって推測して読めるようになっている。

セリフだけ文語である意味はあるのか?

一番、イロモノかなぁと感じた理由がまさにこれ。セリフだけが文語になっている意味があるのかということ。

だったら、たけくらべのような有名作品であれば、いくらでも普通の漫画はある。 

新装版文芸まんがシリーズ  樋口一葉:たけくらべ

新装版文芸まんがシリーズ 樋口一葉:たけくらべ

  • 作者: 樋口一葉,中島昌利,木崎さと子
  • 出版社/メーカー: ぎょうせい
  • 発売日: 2010/04/13
  • メディア: 単行本
  • クリック: 5回
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しかし、意外とセリフだけ文語にした漫画を読んでみると、すべてを口語に書き換えてしまっている漫画よりも面白さがある。

例えば、セリフが文語に縛られることによって、漫画の描かれ方がかなり原文に忠実に描かれようとしているし、作品の解釈や印象に大きくかかわる登場人物のセリフに訳者の解釈が紛れ込まないのも、作品の雰囲気をそのまま味わうにはあつらえ向きだ。

絵が雰囲気が出ていて文語に似合ってるというのもあるが、必要以上に生徒に先入観を与えてしまうことがないのもいいなぁと感じる。源氏物語はあさきゆめみしが漫画で有名だけど、結構、いろいろアレだからねぇ……それに比べるとかなりわかりやすいのに原作の雰囲気がよくわかるのがいいですね。

解説も豪華です

話が短いので、漫画だけでは商品にならなかったと見えて、豪華な解説つき(ついでに原文も)です。

武蔵野大学の三田誠広先生による作者解説や作品解説は漫画だけでは伝わりにくいことや理解しにくいことを補完するのに便利。

値段がそこそこするだけあって、この解説がなければ手を出すのがためらわれるなぁと(笑)

図書室に忍ばせておくとよさげな本

たぶん、積極的に授業で使ったり生徒に薦めたりするような類の本ではないと思う。

学級文庫や図書室に紛れ込ませておくと、興味ある子がひっかかってくるような本ではないだろうか。

こういう本から興味が広がるといいなぁと思います。

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