毎週月曜日はリーディング・ワークショップの実施日です。今回で三学期のRWも折り返し地点。やってみるとやはり色々な分かったことや困ったことが出てきている。
せっかくなので折り返しのここまでの地点の内容をまとめておこう。
参考にしている本
RWをやるにあたって特に参考にしているのは次の本。
The Reading Zone: How to Help Kids Become Passionate, Skilled, Habitual, Critical Readers
- 作者: Nancie Atwell,Ann Atwell Merkel
- 出版社/メーカー: Scholastic Prof Book Div
- 発売日: 2016/11/16
- メディア: ペーパーバック
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参照にしているものの中では一番、出版が新しいことと、実際のワークショップの様子が動画で見られることもあって参照にしている割合が多い。In the Middle: A Lifetime of Learning About Writing, Reading, and Adolescentsを読まないといけないと思いながら、暇がないのと根性がないのでまだ手が出ず…。
リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)
- 作者: ルーシー・カルキンズ,吉田新一郎・小坂敦子
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2010/07/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 10人 クリック: 53回
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読書家の時間: 自立した読み手を育てる教え方・学び方【実践編】 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)
- 作者: プロジェクト・ワークショップ
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2014/04/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まあ、定番。基本中の基本というあたりでしょうか。
実際の内容が図表入りで解説されているのでイメージを作るのに参考にしました。
理解するってどういうこと?: 「わかる」ための方法と「わかる」ことで得られる宝物
- 作者: エリン・オリヴァーキーン,山元隆春,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2014/10/01
- メディア: 単行本
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ミニ・レッスンを毎回考えるために参考にしています。何のためのRWなのかを見失いがちになるし、やっぱり、どうしても無駄な時間にさせたくないという気持ちが出てきてしまうので……。
アトウェルの話などを含めて、色々と参考にして実践に活かそうとしています。記事を読んでいると本当に自分がやろうという勇気が湧いてきます。先達はあらまほしきことなり。
ミニ・レッスンをどうする?どうした?
まだ、回数は多くない(といっても半分なんだけど…)ので、それほど細かい話をしているわけではない。
ミニ・レッスンの目的としては決して「何かを教えてできるようにする」ということではない。つい、普段の授業のノリで何かを伝えて理解させようとしてしまう気持ちが出てくるのだけど、基本的に自由に本を選び、自由にひたすら読むということを基本線としているので、ミニ・レッスンで何かを強要する気はない。
口癖のように「〇〇という方法もあるけど、気になったら試してみてね」と繰り返している気がする。
なお、これまでのミニ・レッスンの内容の例としては…
- 読者の権利の紹介
- 日本十進分類法(NDC)の紹介
- 本の種類(単行本や新書など)や出版社の特徴の紹介
- 本を読むのをやめる基準
- 積読を持つことや同時期に複数の本を読むこと
- 同じテーマで関連する内容を拾い読みすること
などです。
どれも「先行実践がこうやっているから…」というよりも、自分自身が本を集めたり読書をしたりするときにしていることを伝えるようなつもりでやってみた。
上の中で特に強調したのが、やはり「読者の権利」だ。
この中でも特に「最後まで読まなくていい権利」と「(読んだことを)黙っている権利」を強調したつもりだ。
というのも、生徒たちがどちらの権利に関しても比較的嫌な思いをさせられてきたことだからだ。特に後者についてはビブリオバトルが悪いほうに作用して、「リーディングワークショップをやるよ!」と言った時に「何か最後に書かされたり発表させられたりするんじゃないか」とおびえた反応をされただけに、機を見て何度も説明している。
後述するけれども、カンファランスの段階では別に自分と仲良く会話してほしいわけではないから、読んでいるものを明らかにしたくなければ話さなくていいと言っている。そうやって安心できるような状況を整えるのが重要だなぁとは感じている。
RWの間は何をしている?
生徒に「ひたすら読む時間」を実践してもらっているときに、授業者である自分がやっていることは二つだ。
一つは、生徒と一緒にひたすら読むこと。これは最近はやっていないのだけど、最初の一、二回の授業では意識的に本を選ぶ姿や積読しておく姿や本を途中で読みやめる姿を見せるようにしていた。
もう一つが、いわゆるRWの要と考えられる「カンファランス」(アトウェルの言い方だとチェックイン)だ。
正直、こちらについてはどうしたものかということはやや迷いがある。上の記事であすこま先生も述べられているけど、「一生懸命読んでいる生徒に声をかけにくい」ということはある。特に、高校生が相手になると、一見するとかなりこだわりをもってしっかりとした態度で読めているし、読むことを邪魔されたくないという気配の生徒はいる。というか、自分自身が高校生だった時に果たして読書中に声をかけられたら機嫌悪くなったなと思う(笑)
だけど、ここ何回かカンファランスを継続してみて思うけど、たとえ高校生でしっかりしているように見える生徒であっても声をかけたほうがいいかもしれないという感触がある。
カンファランスについてはちょっと思うところがあるし、詳しく分析して振り返ってみたいから別の記事で書くことにする。
なお、カンファランスはかなりエネルギーを使う。だいたい一回の授業でクラスの半分くらいしか相手に出来ないのだけど、それは物理的な時間ということもあるがそれ以上に自分のほうの集中力が持たない。
自分がワークショップの間にしていることはこの二つだけ。非常にシンプル。
「え?本を読めと注意したりしないの?」と言われるかもしれないが、適切な本を見つけた生徒は放っておいても耳が痛くなるような静かさの中でじっくりと本を読んでいる。だから、本当にやることはない。
授業後は?
授業後は軽く大福帳を書いてもらっています。カンファランスのネタということや困っていることがないかというスクリーニングとして。もちろん、「話さない権利」があるので、普段の大福帳よりも無理に訴求することはないのだけど。
ただ、生徒の読書の状況を記述させてみると、どんな習慣の読書家なのかが結構分かるのは面白い。
また、今、リーディングワークショップをやっているクラスは、月曜日以外は普通の(といっても、周りから見ると異端なんだけど…)授業をしている。その授業ではレポートを課しているという関係もあって、生徒は足しげく図書室に通うことになっている。リーディングワークショップとは独立して動かしている授業ではあるけど、図書室の需要や必要性をリーディングワークショップと並行して持たせると、生徒が意識的に本を読んでいるなぁと感じる時間はある。
それに、リーディングワークショップが文学によりがちなので流し読みをしたりメモをしたり付箋を貼ったりという読み方があまりないので、評論の授業で資料となる本を読むとなるとそのような作業も意識的にするようになり、文学と論理的文章の読みわけを意識的にやるようになっているのでいいのかなぁとも感じる。
今後の予定は?
正直、あまりゴールは見えていない。見切り発車だからだ。
でも、読む本の幅が広がっていることをみると、生徒の力を信じて、「遊ばせて」おくのがいいのかなぁと感じている。
最後にアンケートはとったほうがいいのかな?どうでしょう?