授業開きを終えて、粛々と授業を進めております。
何度も言っているけど、今年度は継続して「質問づくり」に取り組みます。
たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」
- 作者: ダンロスステイン,ルースサンタナ,Dan Rothstein,Luz Santana,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2015/09/04
- メディア: 単行本
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流石にThe Right Question Instituteが20年かけて作り上げてきたものだけはあって、非常に効果があるんだと感動しています。
まずは手順を丁寧に守っています。
この本で紹介されている手順は、20年に渡る研究の結果、洗練された方法だということで紹介されています。その方法について要約して紹介すると…
- 質問づくりの鍵となる、生徒たちが質問を考え出す起点となる言葉や文章などの「質問の焦点」を教員が設定する。
- 質問をつくる際の単純な四つのルールが提示し、生徒はそれを守って質問を出し合う。
- 生徒はルールを意識しながら短い時間でできるだけたくさんの質問をつくる。
- 生徒は「閉じた質問」と「開いた質問」の違いを理解し、それらを相互に書き換える。
- 優先順位の高い質問を一つ〜三つ選ぶ。
- 優先順位の高い質問を使って、課題解決に取り組む。
- 振り返りを行う。
というような単純な手順で実施できるものだ。
実際にどんな感じで授業をやっているのか……という様子は以下のブログに授業の様子が書かれているので参考になるかもしれない。
型にはめて実践することができるものであり、しかも効果としてはかなり高いものがある。
ノウハウだとか型だとかいうとあまりいいイメージを持たれない傾向にあるけど、日本のように裏付けもなく「型」を言っているのとは違って、「型」が必要となる背景や実践の分析に基づく洗練が行われているものであり、実際に授業でやってみるとわかるが、抜群に効果がある。
だからこそ、丁寧に書かれていることを付け足しもせず引き算もせずに徹底的に形を守ることに注意する。
メタ言語能力が刺激されているのが分かる
実際に質問づくりを国語の授業でやってみて感じることは、「質問を作る」という過程において、色々な言葉を使ったり表現を吟味したりという過程で、かなり自分たちの言葉について客観的に考えているということが分かる。
振り返りジャーナルに書いてくるコメントも、「自分の語彙力がないことに気づく」だとか「〇〇という表現は同じような意味で使っていたけど、質問で使ったら意図が変わってしまう」とか言ったように、自分の使っている言葉をかなり丁寧に分析し、自分の言語能力を実感しているのが分かる。
想像以上に質問を作れない
「質問を作るくらい簡単でしょ…」と思うのが大人であるし、生徒自身もそうやって感じている。
でも、実際にこれをやってみるとなかなか質問を作るという行為が難しいということが分かる。
もちろん、質問を作る過程において、かなり徹底したルールが課せられているので、それが難しくしている部分もあるのだけど、一方でルールを守って質問を作ることで焦点や狙いがボケない学習になっている。
名人と呼ばれるような授業は、生徒の「なぜなぜなんだろう」を引き出すのが上手いことが多い。板書を使わない授業だとか生徒が能動的に考えるだとかを売りにするタイプの授業だ。
そのような授業は「名人芸」だけあって、やはり素人が行うのは難しい。表面だけ真似してやると大失敗する。名人芸ができるからこそ名人と呼ばれるのだから。
しかし、この「質問づくり」の方法は、内容が洗練されている。だから、質問が上手く作れないことも織り込み済みであるし、どうやってそこから考えを深めていくのか…ということに道筋がある。
だからこそ、この方法がきちんと実践されて、よさを検証される意味があるように思う。
問うことを一年続けたらどこまでいけるだろうか
正しく問うことができれば答えはもうすぐそこにあるという感覚を生徒に伝えたい。
色々なことを素直に聞くことができる生徒は多いけど、それがただ聞いているだけになってしまっているのが、とても見ていて心配なのです。
別にひねくれろとは言っていないけど(笑)、言うことを正しく問うことができるようになることで、色々なことを見通せる人になってほしいのです。