あっという間に休みが消えた…。
表紙買いしたこの一冊をご紹介。
西洋哲学をコンパクトに紹介
生徒の興味を引ける本はないかなぁ…という観点で週末は本屋で表紙買いをしているのですが、この本もその一冊。
入口のハードルが低くて、それなりに楽しく読んでもらえるような本を探すのだけど、やっぱりそういう本を見つけるのは難しい。意外とビジネス向けの本にそういう本があったりもするのは面白いところ。
この本はべつにビジネス向きというようなものではないけど、一般向けに平易に内容をまとめて紹介してくれている一冊だ。著者も1986年生まれと若いことも心理的なハードルを下げてくれている(笑)
表紙の煽情的な雰囲気に対して内容は非常に真面目(笑)実際に「哲学書を読む前に知っておきたい5つの心得」として「あきらめずに、粘り強く、自分の頭で読む」というような内容を挙げているように、時間をかけてじっくりと哲学と向き合うことを説いている。
代表作を俯瞰する
この本の構成は「〇〇は◇◇を述べた」というような形でお手軽な哲学の紹介をするのではなく、哲学者の著書のエッセンスを引用しつつ、少しずつ考え方を紹介してくれている。
お手軽に「デカルトは方法的懐疑を唱えた!」のような紹介の仕方ではなく、少しずつ読む側に考える余白を残している。この本がスタート地点となって色々なことを考えることに誘おうとしているのだと感じる。
難しい言い方をしたけど、内容はとても平易で気軽に読めます。倫理を勉強し始めた高校生が実際に少しずつ哲学者の考えに触れるためにはよい一冊であるように感じる。
表紙の見た目よりはたぶん高校生には難しいけど(笑)
大人が本格的に同じようなことをやろうと思うなら以下の一冊が個人的には好み。
- 作者: 岡崎文明,谷徹,杉田正樹,榊原哲也,中釜浩一,日下部吉信,竹田純郎,服部健二
- 出版社/メーカー: 昭和堂
- 発売日: 2002/06
- メディア: 単行本
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こちらは本気でやりたい人向けですね(笑)同じコンセプトであることを考えると『読まずに死ねない…』の方が色々な人が手に取って理解できると感じます。そちらで足りなければ『西洋哲学史』の方を読めばいいのではないかなと……ちょっと間が飛躍しすぎかな(笑)
はたして現代文の守備範囲とは…
哲学的な本を読むのは趣味です。専門に出来るほど頭がよくないのでつまみ食いでしかやれない。
しかし、現代文の授業をやっているとどうしても「哲学的な」話は多く出てくるし、直接的ではないとしても文章の背景には哲学があることもあるので、生徒に対して哲学的な話をしなければいけなかったりもする。
どうもその似非専門家的な振る舞い方が自分の中でしっくりこない部分はあるのだけど、生徒にはそういう知的な考え方があることを触れてもらうのもいいよなぁ…と思うので、やめるにやめられない。
現代文の守備範囲ってどこまでなのだろうかという問題はいつでもつきまとう。指導要領の目標だとか指導内容だとかは一応目安としてはあるけど、何をもって「高校生の教養」とでもいうものを示せるのだろう?
先哲の考えに触れること、そしてそれらの考えを考えることは高校生にしてもらいたいけれども、生徒に対して似非専門家的な知識を振りまくことは決して哲学的な振る舞いではないのだろうと思うし、現代文の仕事でもないと感じる。
話がだいぶずれましたが、本書は倫理を学んだあとの生徒に薦めてあげて良い一冊だと感じます。果たして現代文ではどんなタイミングで話せるのか自分が分からないのですが…