ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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【書評】生徒との面談に使える?『フィードバック入門』

気分を変えてちょっとビジネス的な本を読んでみた。

教員って考えてみれば、管理職みたいなものですよね。

一人一人の生徒をきちんと動かしていかなければいけないのですから。

生徒指導と部下育成は似ている?

生徒と過ごす毎日は楽しく安寧に過ごすだけでは済まない。

どうしても生徒を成長させなければいけないからこそ、見過ごせないことは多いし、どうしても小言は多くなりがちだ。

そんな小言の多さにうんざりして「いや、生徒の自主性が大事だ!」なんて思って、生徒が気づくまであえて放任してみたり……でも、そんなことをしていると生徒の方がやらかさなくてもいいことをやってくれて、大激怒してみたり…(´;ω;`)

まあ、それは冗談としても「何を伝えるか」そして「どうやって伝えるか」という生徒指導ということは、百家争鳴、色々な人が好き勝手に経験則と勘ピューターでやっているような印象があります。

でも、それは生徒指導に限らず、世の中の中間管理職の皆様もマネジメントという観点で、色々と思い悩んでいることらしいですね。

「気づかせるのか? それとも教え込むのか?」という二項対立の状況に終止符をうち、これらのバランスをとりながら、部下育成を行う必要があります。かくして注目されているのが、これら二つを大きく包含する概念であるフィードバックです

上の引用部のうち、「部下」を「生徒」に置き換えると、まさに生徒指導の考え方と同じですよね。

生徒にきちんと「伝えて」いますか

フィードバックとは、「成果のあがらない部下に、耳の痛いことを伝えて仕事を立て直す」部下指導の技術のこと。

と紹介されているように、フィードバックの基本は「耳の痛いこと」を伝えることにある。

生徒指導の場面も生徒の良くないことについてはしっかりと伝えなければいけない。まあ、話を聞いてくれる生徒ばかりなら気楽なものであるけど、困ったことに反抗期真っただ中のお年頃の生徒たちはなかなか耳の痛い話は聞いてくれない。

それでも人格が完成しきってしまっている大人に対するフィードバックよりは楽な気がする。本書を読んでいて繰り返し「大人に対するフィードバックは痛みが伴う」ということや「変わらないときは諦める」ということが書いてある(笑)

生徒指導も妥協は必要かもしれないけど、簡単にはあきらめることはできないのです。

実際に、きちんと耳の痛い話を伝えるために必要なこととして、根本的なこととして挙げているのが「客観的」に話すことだ。

相手に刺さるようなフィードバックをするためには「できるだけ具体的に相手の問題行動の事実を指摘すること」が必要だからです。よって、私たちはフィードバックを行うために必要なデータを、事前に部下の行動を観察することで徹底的に収集していくことが求められます。

事実を指摘することも感情的になるのではなく、自分が相手にとっての「鏡」の役割を果たすことだという。

「私には、先日のあなたの行動は、こういうふうに見えるけど、どう思う?」というように、「~のように見える」と話すことです。英語で言えば「It seems」(~のように見える)の感覚です。すると、相手も、自分の言い分を主張する余地があるので追い詰められることがなく、あなたの指摘を素直に受け止めてくれる可能性が高まります。

その他にも「一対一で伝える」ということや「余計なことで褒めない」などのコツも書かれていますが、教員が生徒指導でやっていることであるよなぁとしみじみと思います。

指導する方も頑張りすぎないのも大切です。

この本を読むと、フィードバックが決して経験則や根性論でないと分かります。

どうしても、ナイーブな指導になるだけに感情論になりやすいのだけど、熱意の押し売りになって、お互いに心を閉ざすようなことにならないようにしたい。

そのための心構えとして、本書の言葉を最後に引用しておこう。

若い部下が育たないのは、あなたのせいではありません。過剰に自分自身を責めないでください。それは、 職場環境の変化によって構造として生まれている現象 なのです

自分は何を変えられるのかを冷静に考えて、人を育てることと付き合っていきましょう?

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