とりあえず、一般的に目に付きそうなことをメモ。
詳細なことは正式なものが出てから論じようと思います。
【総則との関連で】
○国語科の全科目で「言葉による見方・考え方」を働かせることと「資質・能力」を育成することが謳われている。
○「生涯にわたる社会生活における他者との関わりの中で」ということが明示され、強調されている。「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の具現化。
○「情報」に関わる取り扱いがかなり強調される。
○指導事項の提示の仕方が各科目すべて「知識および技能」と「思考・判断・表現」の二段構えとなっており、「思考・判断・表現」の中に「A話すこと・聞くこと」「B書くこと」「C読むこと」という三領域を示し、それぞれの事項については必ず「言語活動を通して指導」することが求められている(現行学習指導要領でも同じなのですが改めて確認)。
○また、指導事項の記述の仕方が「…指導する」から「…できるように指導する」へと変化しており、かなりパフォーマンスとして「何が出来るのか」ということを強く保証することが求められている。
【科目編成について】
○予告通り、必修科目として「現代の国語」「言語文化」(=いわゆる古典に近い)、選択科目として「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」として立てられている。
○「現代文」「古典」という分け方にはなっていない。特に「言語文化」や「古典探究」の授業で、明治文語文を扱うことや古典を題材とした近代以降の文章を扱うことなどが求められている。現代文・古典の分業制はできなくなる?
○「論理国語」「文学国語」「古典探究」はいずれも4単位科目である。そのため、入試を考えるとおそらく「論理国語」を選択させることになると思われる。
○しかしながら、「論理国語」を選択すると「文学」については高校2年以降扱わないことになる。端的に言えば、高校二年生の授業から「山月記」や「こころ」が消える可能性がある?
【授業時間数について】
○「読むこと」の時間数が明示された。これは初めて。どちらかと言えば「上限規制」の意味合いか。「読むこと」ばかりに偏っている高校国語に業を煮やした形か。
○「話すこと・聞くこと」については、「現代の国語」で20~30時間の指導が求められている。
○「書くこと」については、「現代の国語」で30~40単位時間、「言語文化」で5~10時間(つまり、1年生で50時間程度)、「論理国語」では50~60時間が求められている。つまり、三年間で100時間程度は「書くこと」を実施するということである(実は、現行の指導要領から大幅に変更はありません。今が有名無実なだけで。
○「読むこと」については、「現代の国語」で10~20時間、「言語文化」で40~45(そのうち、20時間は近代以降の文学を実施)、「論理国語」で80~90時間(「古典探究」は「読むこと」のみなので、時間の明治は無し。)とされています。
○「読むこと」しか指導しない国語に対して明確なレッドカードですね
【各科目の特色】
現代の国語
○「言語感覚」や「情報」に関わる事項がかなり強調されている。実際に社会の中で十分に表現して、活かしていくことを意識した科目である。
○「推論」などかなり論理を意識したものとなっている。しかも、「読めます」程度の話ではなく、かなり実生活や社会を意識。
○「読むこと」で扱う素材は「実用的な文章」や「評論」を意図していると思われる。文学は記述されていない。
○言語活動例がかなり「技術的なもの」が含まれる。
言語文化
○今までの「古典」にあたる科目だが、「古典」だけではなく、現代語の文章もバランス良く取り扱わなければならない。もしかすると分かりやすく言えば、「羅生門」などはこちらの配当になるのではないか?
○「言語文化」でも「書くこと」を扱うことを求めている。つまり、古典で何か表現をしろということである。言語活動例としては「本歌取りや折句などを用いて感じたことや発見したことを短歌や俳句で表したり、伝統行事や風物詩などの文化に関する題材を選んで、随筆などを書いたりする活動。」が挙げられている。なかなかハード。
○「読むこと」の中で「他の作品との関係などを踏まえて指導」ということが述べられており、これは、プレセンターの問題が参考になる。精読しろとはいっていない。
○「読むこと」の言語活動例の中に「和歌や俳句などを読み、書き換えたり外国語に訳したりすることなどを通してお互いの解釈の違いについて話し合ったり、テーマを立ててまとめたりする活動」がある。教科横断でやるか英語を自分で勉強するか。また、精読ではダメだという念押しとも感じる。
選択科目は……ちょっと思うこともあり、後日と言うことで。
【全体を通じて】
○ドラスッティックな改訂である。教科書も大幅に変更されるはず。
○教材ベースではなく、能力に注目してカリキュラムを論じないと意味不明になる。