各クラスの今年度の授業が終わる。今年度の最終課題は「こころ」のリテラチャー・サークルのレポートだ。
一年間を振り返ると、今年も各学期に数度は書いてもらったけど、指導としては不十分だなぁ……と悔いが残る。カリキュラムのバランスと抱えている人数と…まあ、言い訳になってしまうのだけど、色々と作戦を立てないとダメだなと思うのです。
てびきは何度も出しているけど…
どうしても、自分のこだわりとして、5000字を超えるくらいの記述を定期的に取り組んで欲しいと思っているし、しっかりと引用や参照を自分の記述に活かしてほしいという思いがある。
高校生には決して軽くない字数を課すことの意図は、日常の授業では結局、知識が細切れになってしまっており、知識が構造化できない生徒が多いことが問題だと思っているので、長い文章を課すことで情報の構造化に悪戦苦闘させたいという意図がある。
まあ、構造化できるから長文が書けるのか、長文が書けるくらいの理解力があるから構造化できるのかは……どっちがどっちなのか分かりませんが。
引用や参照をきちんとできるようにしてほしいというのは、大学に進学してからのことを考えているのはもちろんですが、他人の表現をお作法を守って取り入れられるようになることで、生徒の表現の幅、思考の幅が広がるはずだという思いがあります。
いずれにしても、普段の生徒の日常の140字な生活からは少しずつ離陸させて、知的な生産にまでたどり着かせたいという思いがあるのです。
それが一番難しいのですが…。
結局、そうなるとアカデミックライティングに近いことを指導することになるのだけど、授業数も学力もぜんぜん異なるクラスに、そして個別指導することも難しい人数がいる……と、まあ、言い訳なんだけど。
だから、妥協案として詳細なてびきを作って、一斉に指導することになるんだけど……まあ、てびきが詳細になるほど読まれなくなりますし、一斉指導では全く執筆の経験のない人には伝わらない。
結局、てびきだけ渡して一斉指導しても、まったく原稿には反映されない。当たり前である。
ちなみにレポートの書き方のガイドとしては関西大学の「レポートの書き方ガイド」が上手くまとまっていて、教材化のお手本になる。
このガイドは40ページあるけど……授業で40ページも配れないですね、うん。
結局、必要最低限の情報でも、40ページくらいかかる話であるわけで、その手間を惜しめば惜しむほど、クオリティは下がるのは仕方ないところ。
何度も繰り返すしかないかな
色々と思うことはあります。
そもそも国語の授業だけだから時間も人でも足りない訳で、総合学習が機能していれば必然的に書くことも伴っていくことになるのかなぁなんて思いますけど、ないものねだりは思考停止なので止めておきます。
やはり、現実的にはしつこく何度も繰り返して段々と生徒になじませていくしかないのかなと思う。そもそもとして文章を書くという体験自体が圧倒的に不足している。
次の学習指導要領でも「書くこと」は強調させていますが、授業時間自体は現行と変わらず、3年間で100時間程度である。35週間計算が基本なので、イメージとしては週に1度、書くことの指導をする……というくらいの割合である。
あまり大きな声では言えないけど、100時間をちゃんと確保して書くことを指導している学校がどれだけあるか怪しいので……現実的には週1以下の割合でしか指導されないし、できない。そもそも週1の割合じゃ、部活動などで公欠されたら一発アウトですし。
しかし、そんな数少ない時間であってもしつこく繰り返し、挑戦させていくしかないのかなと思う。
その意味では単元のまとめとしてしかレポートの指導をしていないのは失敗なんだろうと思う。もっと頻繁に何度も書いてもらうべきなんだろうなと。
本気で書くことを考え出したら、やっぱり本気で学校全体のカリキュラムも考えていかないといけなんだろうと思う。
いや、その前に、何を教えるべきか自分の整理の方が先か。
知的生産にはICTだろうと
突き詰めて考えていくと、こうした知的生産を行うとしたらICTの活用は欠かせないと思う。単純に手書きでやるのが手間である。
例えば、アウトラインを考えるにしても、別に情報カードや付箋でやってもいいのだけど、ScrapboxやWorkflowyを使えば済む話であるし、Wordだって簡単なアウトラインは作れる。
そして文章量が増えれば増えるほど、手書きでは推敲から生徒を遠ざけてしまう。せっかく量をこなせるようになっても、推敲の癖がなくなってしまっては文章の質を下げてしまう。そんな粗製乱造はよろしくない。
環境がないので生徒の個人差をフォローできない苦しさはある。しかし、環境を待つのではなく、ある環境でできることをやる、そして、できたことで周りにアピールしていき、環境を作るしかないかな。
もっとちゃんとバランスと時間をとっていきたいなぁ…難しい。