昨日、Twitterつぶやいたことの転載と補足。
型の洗練されている実践についての意見
いきなり高度な哲学対話は無理だろうけど、哲学対話に至るまでの手法ですぐに使えるものは幾らでもあるよなぁと思う。コミュティボールとか哲学者の道具箱とか。洗練されている技法はそれを素直に受け入れることで、その思想も自然にインストールできる部分はあると思うの。
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
逆に言えば、ある程度、洗練されて型が出来ているものについては、素直にアレンジなんてしないで受容すべきとも思うのです。本を読んだり話を聞いたりしただけで、その実践の中身や肌触りまで理解した気になって、いきなりアレンジして出来た気になるのは、かなり危険でないかなぁと思うわけです。
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
型の問題というよりは、その型なり方法論なりが生み出された背景や文脈への理解は必要かと。例えば、ジグソー法はそもそものルーツは言語の壁のある多様なバックグラウンドを持った子どもがいる教室で、いかに民主的な学びの可能性を保証できるかというところにあるけどそこへの理解はどうなっているか
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
もちろん、今、日本で流行っているジグゾー法はCoREFの知識構成ジグソー法なので、本家のジグソー法とは少し趣旨は違う。でも、本質的なところで「誰にでも平等に発言できて学びの機会保証を作る」という考えは共通している。でも、その「平等の保証」の感覚を重視している実践はどれくらいあるか?
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日

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協調学習とは: 対話を通して理解を深めるアクティブラーニング型授業
- 作者: 三宅なほみ,東京大学CoREF,河合塾
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2016/04/10
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なんとなーく、今のジグソー法の実践を見ると「エキスパート活動しているからみんな仲良く話せましたー」って、結果的に「発言できたからよし」みたいなコメントが多いんだが、逆だよなぁと思う。徹底的に平等を担保しようと素材を練るから、生徒が安心して発言できて学びを担保できるものでしょう?
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
この主客転倒はかなり致命的だと思うんだけど、見た目がそもそも複雑なので、形を実践できるととても華やかで力量のある授業のように見えるし、生徒にだって目新しいからよく食いつく。でも、そんなのは永続しないし、結局、教室の文化として平等であることは育たないよ。
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
あと「型」を受け入れるという意味で怪しいと思うのが『たったひとつを変えるだけ』の「質問づくり」ね。あれもただ質問を作らせればいいっていうブレーンストーミングの変形程度にしか考えてない人が多すぎているように見える。本を読めば分かるけど、あれも本質は「民主的であること」の保証にある。
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日

たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」
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詳しくは本を読んでもらうとしても、例えば「質問づくり」の最初に何をするべきかということは、間違いなく「質問づくりのルール」について生徒たちが話し合うことなのだが、このルールについて話し合う過程を飛ばす人が多い。ダメだよルールを吟味することを飛ばしたら完全に押し付けただけじゃないか
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
「質問づくり」のルーツが市民活動や民主的な学びを作ることにあるからこそ、ルールについて話し合うことで納得して「質問づくり」をする空気や関係性を作るのにね。教員が与える「質問の焦点」にしても、教員が自分で質問を作ってみたりして試行錯誤せよと書かれているのに、やってないような例が多い
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
なんの話をしているかよく分からなくなってきたからこの辺でやめますが、「型」を猿マネするのもよくないのも確かなんだけど、それなりに洗練されたものを、ちゃんとそのまま受け入れて実践するのも大切でっせって話です。
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
というか、もっと本質的には、ちゃんと自分の実践の参考にしたものや模倣したものの出典を明らかにして、どんな点を引き継いだのか、参考にしたものの何を本質として見ているのかを明らかにした上で、自分の先行研究に対する理解やその理解から生み出した実践が正しいかを批評されるべきでしょう。
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
何を参考にしたんだか分からない状態で、とりあえず思いついたものを形にしてみるのもそりゃあ大切です。しかし、それはある意味で這いずり回っているだけでもある。思いつく程度のことは先行研究あるはず。そこを探し当てて、きちんと体系立てて考えるから、また、一段掘り下げられる可能性があるはず
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
反感を覚悟というか、反感を買ってもいいんだけど、今の自分が新しいことをやっているつもりなら、やはりそれは傲慢なのさ。そんなに新しいものは簡単に出てこない。どこかの劣化コピーさ。劣化コピーが本物になるためには本物を探して、本物になる可能性を探らにゃあかんよ
— ロカルノ (@s_locarno) 2018年4月23日
似たようなものには思考ツールもある。

子どもの思考が見える21のルーチン: アクティブな学びをつくる
- 作者: ロンリチャート,カーリンモリソン,マークチャーチ,Ron Ritchhart,Karin Morrison,Mark Church,黒上晴夫,小島亜華里
- 出版社/メーカー: 北大路書房
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これも一部を食い散らかしてもなかなか効果が上がらない。我慢強く何度も繰り返し使うだけの覚悟がなければできない。一回使ったくらいで分かったつもりになってしまうのが、やはり本質的に這いずり回っているのです。
一方で、そう簡単にオリジナルも生まれない。思いつくようなことはどこかで検証されている可能性が高い。丁寧に発掘するしかないのです。
そのために、どれだけの情報にアクセスできるかが勝負なのだろうけど、もう、これは身銭を切るしかないものかね。難しいものです。