ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

リーダーシップを学ぶには

Festival del viento - Vicente Lopez

もうすぐ本校は文化祭。例年、クラスで何かしらの企画をするのが習わし。

自分のクラスも例に漏れずに、文化祭での企画をしています。

組織として機能できない

生徒たちの様子を見ていて思うのが、話し合いが話し合いとして機能せず、役割分担が役割分担として機能していないグダグダさである。

なかなか他人ごとに罵るようなことを言ってしまっているが、実際、自分が見ている光景そのものである。というか、生徒自身がそういう自覚がある。

個人的な愚痴を言えば、授業ではそれなりに分担なりして、話し合いもスムーズに進められるのに、こういう場面になると全くそれが活かされないのかい……。まあ、それだけ授業において、教員が掛けているプレッシャーというものが大きいのだろう。その意味では、自分が全く授業において生徒に委ねられていないのではないかと反省するべきなのだが……。

一体、教科の授業は何のためにやっているのかと自問自答したくなる、生徒の話し合いの風景である。授業とこういう特別活動は関係ない……?いやいや、それが分断されているから、生徒が大学や社会に出て問題に直面したときに学び直しという回り道をする羽目になってしまうのでしょう。回り道ならまだしも取り返しのつかないことにもなりかねない。教科で教える物が「教養」と強弁するような知識を与えるだけで、三年間で250時間以上の時間を使ってしまっていいのだろうか。その1割でも、2割でも、教科に限らない部分にコミットできないかと切実に思う。まあ、ただ話し合いさせてくるだけじゃ全然足りないと思い知っているところです……。

集団の難しさ

この手のイベントでなかなかつらい目に遭うのが、リーダーである。せっかくやりたいことがあって、クラスの代表をしているというのに、なかなか成果を上げることが出来ないどころか、そもそも思い描いていたビジョンも上手く伝えられないし、手伝いが少ないから雑用をやってしりぬぐいに回ることになりやすい。

それが非常にいびつなのだ。

担任として切々とそういういびつさについて語ることはできるかもしれない。ある意味、『学び合い』の要領である。こういう言い方はズルいが、特別活動に数日間くらいであれば、『学び合い』の入門書の語りを研究し、その語りをすることで、十分、短期的には生徒を納得させることは出来ると思う。

『学び合い』を成功させる教師の言葉かけ

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みんなで取り組む『学び合い』入門 (THE教師力ハンドブック)

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資質・能力を最大限に引き出す! 『学び合い』の手引き ルーツ&考え方編

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もちろん、これはズルである。『学び合い』で直面するはずの困難と向き合わないで、短期的な成果だけ得ようとするものである。だから、言うまでもなく本質的に子どもの成長に資するような語りではなく、むしろ、脅迫、強要にしかならないだろうと思う。そもそも、それで長期的な子どもの幸せという願いを語れるとは思えない。

いくらでも担任としてのカードはある。しかし、切り方を間違えたら、本当にただの強要でしかない。

予算も自分たちで用意し、企画も本部から了承もらえるように立てて、運営も自分たちでやるというものであり、学校の中で数少ない、本当の意味での「自由」である。プロジェクト……と呼ぶには忙しすぎて一週間の短期決戦のイベントだけど、自分たちが「自由」にしてよいという場面で、何をちゃんとできるのだろう。

現状では、先が見えなくて不安にもなるだろうなと思う。おそらくリーダーたちは本当に大丈夫かと思い、苦心しているのだろうと思う。

試される「自由」

話合い一つとっても上手く行かない。そもそもリーダーだって指示の仕方や投げかけ方が上手くない。フロアだって自分には関係ないという態度をとるのである。

教員からの強制はなく、参加すら自由なのだから、全員が全員積極的に参加したいとは思っていないのだろうと思う。しかし、クラスで出ると決めた以上は、そこに所属している以上、折り合いをつける責任はある。

担任の自分は口出ししないつもりだ。

ぎりぎりまで、自分たちの「自由」について引き受けてもらいたい。その自由が我儘にすぎないで空中分解するか、自分たちでそれぞれに納得できる形で終わりにできる「自由」となるか、それを試してもらいたい。

この最後の最後のイベントまで、大人に口を出されて、自分たちで折り合いをつけられないで終わったら、どこで他人と仕事をするということを、この子たちは学ぶのだ。

丁寧に、見守っていきたい。

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