ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

【スポンサーリンク】

使っている言葉が表している

words

教育実習のシーズンも終わりましたね。自分がこの勤務校に来て初めて教えた学年の生徒が実習に来ていたので、少し感慨を覚えることもあり……。

実習生の授業を見て、実習生に助言をするというのは、とても大切な仕事のように思う。何を話すのかは難しいのだけど。

実習生の言葉遣いが変わる

2週間なり3週間なりの短い期間であるので、いよいよ学校やクラスの雰囲気が分かってきて楽しくなってきたところで実習は終わる(自分は死にそうになっていましたが)。

本人はあまり実習期間で成長した手応えはないかもしれないけど、傍目八目というか指導教員でもなく遠くから見ていると明らかに成長が見える。3週間という長さが、精神的にダレてくることもなく、成長だけを見てあげられる期間なのかもしれない。

明らかに成長しているなぁということを、実習生の言葉遣いから感じるのである。なかなか定量的に「これだ」という特徴を示せないところだけど*1、同業者のにおいというか、雰囲気が言葉遣いに感じるのである。

実習が始まったばかりは生徒との距離感がよく分からないで、見えている範囲も狭いのでなんだかちぐはぐしたコメントを聞くことが多い。しかし、実習の最後の方になると、目立たたない生徒にまで目が行くようになっているし、自分がこうしたいということをちゃんと語れるようになっている。

こういう変化をみると、自分が生徒を語る言葉がどのように変化してきたのかということは気になるけど……なかなか確かめようがない。

最近、こんな論文を読んだけれども、なるほどなぁ…あるあるだなぁ……としみじみ思うところである。

ci.nii.ac.jp

授業計画段階における「実践的思考様式」については 、教師が一方向的に教えることにのみに偏った思考様式を脱却させ、学びを促す思考様式に導くことは可能である。(P.13)

まさにこの部分だなぁと最近思った。実習前にいくら授業計画を実習生自身が頑張って考えてきても、そこの生きた生徒が存在しない。だから、結局、生徒の実態に併せて計画を何度も作り直すのである。

その過程において、自分が教えたいことを教える、中身ではなく形のきれいさだけに目が奪われた授業から徐々に脱却していき、どうすれば自分の教えている生徒が関心を持つのか、考えを深められるのか、授業に前向きになってくれるのかということを考えるようになる。

省察的実践家という言葉はもはや使い古されている感もあるけど、とても重要な概念だよなぁと実習生の成長を見るとしみじみ思うのです。

省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考

省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考

 

年を取った言うのにはまだまだ5年くらいの若手なのですが…。

学校を表す鏡としての実習生のコトバ

そんなのんきなことも言えない場合もある。

前々から気になっていたのだが、本校の実習生が口をそろえて言うようになるのが「あのクラスの子は出来るから…」「あの子はできないから…」ということや「できる子に頑張ってもらった」とか「できない子を頑張らせられなかった」という言い方をする。

これが非常に耳障りなのだ。

実習生がこういう言い回しを研究授業のあとの検討会で行うのは、要するに普段、指導教員や周囲の学年団の教員がそういう言い方で生徒を断罪しているのだろう。

つまり、自分たち専任たちがそういう見方で生徒に接しているのだ。

これは完全に自分たちの悪癖であろう。実習生を通して突き付けられているに過ぎない。

実習生にそんな悪癖を持ち帰ってほしくはないので、そのことについては指摘しておいたが……固定化して見えなくなった自分たちの態度の危うさを思い知ったのである。

言葉で学校は変わるか

以前にこんな本を紹介している。

言葉を選ぶ、授業が変わる!

言葉を選ぶ、授業が変わる!

  • 作者: ピーター・H・ジョンストン,長田友紀,迎勝彦,吉田新一郎
  • 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
  • 発売日: 2018/03/31
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

  

www.s-locarno.com

上の記事でも問題に思ったことであるけど、日常的に投げかける言葉で、どれだけ子どもを無力にしてしまうのかということを重く受け止めたい。

美しい日本語だとか言論を戦わせるだとかそんなことにはあまり興味はないのだけど、言葉によって関係性が変わってしまうということについては自分は関心がある。だからこそ大学院時代はポライトネス理論をやっていたということもあるし……。

生徒にかける言葉を少し変えるだけで、学校の日常が前向きになってくれるなら……どれほど利益が大きいことだろうか。

*1:実はこのようなことを定量的に示そうとしている研究もある。以前に紹介した記事があるのでご覧いただければ…。

Copyright © 2017 ならずものになろう All rights reserved.