ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

三年間を振り返るにはまだ早い

Rob's Return

次々と高校三年間の最後の授業が終わっていくので、そのたびに生徒に何だか学校辞めるかのように挨拶されるのだけど、学校はやめません。

というか、まだこれからが入試の本番であり、これから七転八倒、艱難辛苦を共にしていくのである。

なぜ、どのクラスも俺をやめるみたいな扱いで送り出そうとするのだ……。

あまりゆっくりとふり返る暇もなく

時期が時期だけに、色々と振り返りたいこともあるのだけど、生徒にその時間を求めるには、ちょっと余裕がない。

きちんと三年間に何をやったのかをリストにして生徒に見せて、それぞれどんなことを学んできたのかを振り返って言語化してほしいという気持ちもあるが……まあ、野暮というものでもあるし、そういう気持ちになれる時期でもない。

今日だって一クラス単位の人数で合格発表があって、落ちた受かったとやっているのだから……まあ、時期が適切ではない。

どこかで思い出話でもできればいいと思うけど、そんな感傷は卒業した後に、彼らが成人したときに酒でも飲みながらやればいいかと思う。

少しだけ、ほんの少しだけ、どんなことを今思うのか聞いてみたけど、「背伸び」をしてみようという気持ちを持てるようになってくれたようであり、もう、役目は済んだかなとも思う。

無謀に思えるような「背伸び」に対して、自分から手を伸ばそうとする、そんな姿勢が見られるので、とりあえず、おおざっぱに見るのであれば、三年間の責任は果たしたかな、と思いたい。

生徒が自分に対して気を遣うような言葉を書いてこなくなったのも三年間の大きな変化だろう。

最後に読んでもらった文章は、高校の国語の範囲では届かない。読み手を選ぶ、必要に迫られなければ読む機会すらない、そんな文章を読んでもらったが、その文章に対して「今の自分には理解のしようがない」ということや「自分にとってこの文章は今は意味をなさない」ということを述べてくれる。その一方で、「意味は分かり切れないけど、直感的に自分に必要な文章だと思った」という生徒もいて、そういう生徒の言葉をちゃんと聞こうとする様子もあり、自分たちの場を作っているのである。

高校までは用意されたものがあった。この先、何を選んでいくのか、どう読んでいくのか、彼らの修業は続く。

渡し舟の船頭のように、次の岸までたどり着いたのであれば、一つ、肩の荷を下ろしてもいいのだろうか。

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