ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

【書籍紹介】探究学習・プロジェクト学習のために参考になる書籍

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久々にプロジェクトベース学習関係の書籍の紹介。

何度も言いますが、自分はプロジェクトベース学習を日常的に取り入れたいと思っているのです。

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そんなプロジェクトベース学習の魅力などが伝わる書籍を紹介していきます。

最近発売のものから

年末に発売になったものの紹介から。

一冊目は、以前にも書評記事を書いたこの本。

福井発 プロジェクト型学習

福井発 プロジェクト型学習

  • 作者: 福井大学教育学部附属義務教育学校研究会,秋田喜代美
  • 出版社/メーカー: 東洋館出版社
  • 発売日: 2018/12/06
  • メディア: 単行本
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これはノウハウというよりもプロジェクト学習で生徒がどのように育っていくのかということを追体験するための本だ。

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どうしても「こういう附属だからできるのでしょう」という言葉が二言目に出てきやすいけれども、そういう諦念ではなく「こういう姿に生徒をさせたい」という願いを共有するために読んでもらいたい一冊である。

二冊目は大学のPBLの取り組みを詳細に解説したこの本。

未来を創る「プロジェクト学習」のデザイン

未来を創る「プロジェクト学習」のデザイン

 

よくPBLはアクティブラーニングの技法として語られがちなのであるけど、本書で述べられるPBLは、アクティブラーニングのために考え出されたものではなく、大学のカリキュラムとして、どのような学生を育てたいのかということから作り出されたものである。単なる技法の換骨奪胎ではない。

およそ二十年におよぶカリキュラムとしてのプロジェクト学習への取り組みの結果、どのように洗練されてきたかが述べられている。

さすが…というのも変だが、大学の取り組みを述べているということもあって、初等中等教育のこの手の本よりも論理編が手厚い。プロジェクト学習に知らない人も、デューイやキルパトリックからレイヴとウェンガーの話まで概観を押さえながら勉強できるようになっています……が、その分だけ、理論編を読むのは前提知識が必要かも。

確かに、本書には実践の紹介も述べられているのですが、この本の良さはどのような理論に基づいて、どのような合理的なカリキュラムを作るのかということにあるので、この辺りの理論編を実際に引用されている論文などに戻りながら勉強したいところ。

ちなみに、本書は振り返り(リフレクション)については、さらっとしか触れていないが、「振り返りは反省ではない」という指摘など、結構、示唆に富む観点がある。リフレクションについては、以下の書籍を併せて読んでおきたい。

授業づくりネットワークNo.31―リフレクション大全

授業づくりネットワークNo.31―リフレクション大全

 

この本は具体的なプロジェクトの場面を想定しながら読むと非常に刺激的である。PBLの本と併せて読んでいろいろ考えてみたいところである。

ノウハウと理論と

自分が想定しているPBLはミネソタニューカントリースクール型のPBLである。

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それとは少し毛色の違うプロジェクト学習についての本も少し紹介しておこう。

プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく

プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく

 

良くも悪くも「日本的」である。「基本と手法」とあるように、丁寧にプロジェクト学習の段階に分けて、どのようなコーチングが必要なのか、どのように評価したらいいかなどを詳細に解説している。

ただ、良くも悪くも「日本的」である。例えばPBLの効果などの説明に、良くも悪くも反論しにくい美麗字句が並ぶので……もう少し、理屈に寄ってくれた方が好みではある。

この本で「おっ」と思ったがの、Project-BasedとProblem-Basedの違いの説明が明確だった点である。厳密にツッコんでいくときりがないけど、「ああ、こういうことなのか!」と分かりやすいので、二つの概念が混乱しているなら確認しておきたい記述だ。

もっと徹底的に史的な展開や理論を確認したいなら以下の本を読むとよい。

プロジェクト活動―知と生を結ぶ学び

プロジェクト活動―知と生を結ぶ学び

 

これは完全に理論編である。

デューイの話から日本での展開まで徹底的に学術ベースで書かれているので、ノウハウ本ではない。どちらかと言えば、理論から勉強をしたい人が芋づる式に文献を見つけていくために読みたい一冊である。

余談であるけど、どちらも2012年の出版である。

偶然かどうかは分からないところだが、2012年ごろと言えば、現行の学習指導要領に切り替わるタイミングである。現行の学習指導要領も「脱ゆとり」と言われつつ、「詰め込みには戻らない」というような議論がなされていた時期であり、「習得・活用・探究」なんて用語が出てきた時期である。

二冊目は別に初等・中等教育を意図はしていないけどね。

総合学習が探究にならないで、オンライン英会話だとか教科の補習だとかで誤魔化されているような現状……なかなか厳しい。

過去のPBL参考記事

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ぜひ、こちらも併せてごらんください。

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