新年度に向けて授業を考えているのは昨日の通り。
「聞くこと」から始めないといけないかなぁという気分である。
なかなか宛はない
「聞くこと」の指導を本格的に考えたことがないので、ゼロから実践や論文探しである。手元の資料がそれほど多くない。
自分も悩ましいところなのですが、まずは『倉沢栄吉国語教育全集10』や『大村はま国語教室2』を読み直してます。斎藤美津子『きき方の理論』は手元に置いてますが未読。村松賢一『対話能力を育む話すこと・聞くことの学習』は実践として参考になるかと。あとは紀要論文を漁り始めているところです。
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年3月12日
とりあえず、倉沢栄吉と大村はまというビッグネームに頼るという体たらくである。
Amazonで異常な高値になっているが……。
対話能力を育む話すこと・聞くことの学習―理論と実践 (21世紀型授業づくり)
- 作者: 村松賢一
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 2001/03
- メディア: 単行本
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比較的、有名なこの二冊をとりあえず読む。
本当にほとんど勉強してこなかったから、ゼロから始める感じが満載である。
昔読んだことを思い出し…
昔、『実践国語研究』で何か連載しているなぁと思い出し、もやもやしていたが、思い出したのです。
「聞くこと」の指導が必要だろうと思って、ネタを発掘しているんだが、ふと昔、読んだ「聞き方」のリストを思い出す。懸命に思い出した結果、『実戦国語教育研究』NO.276の井上一郎先生の連載(pp.112-116)と思い出してスッキリ。
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年3月13日
Amazonでこれは1円かよ!
この号で井上一郎先生の連載として「聞くこと」の話が載っていたのです。
「やさしい聞き方」としてチャート化とリスト化しているのです。問題意識としては「従来、話す力の基本の指導はよく行われているが、聞く力の基本はあまりまとめて指導されていない。聞く力についても、表現様式を明確にするとともに、話し手に配慮することが重要となる。」(p.115)とある。
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年3月13日
チャートを写すのはさすがに憚れるので、リストの項目を挙げるだけに留めるが、以下に紹介しよう。
- 相手の顔を見て
- にこやかな顔で
- うなずいたり、相づちを打って
- 途中でさまたげないで
- 目的を立てて
- メモを取りながら
- 質問する気で
- 要点を押さえて
- 事実と意見を聞き分けて
- 相手と自分の考えを比べて
- 相手の求めていることを思いやって
- 分からないことは質問して
それぞれの項目の意図は記事を読めば書いているので、そちらを参照していただきたい。
「やさしい聞き方」という表現には「ポイントを明確にすることで容易になるという易しさと、話し手に対して優しく」(P.115)という意図が込められているそうだ。
このリストは簡素にまとめられているので、もしかすると一つ一つの指導が丁寧に行われている小中学校の先生からは「当たり前」と思われるかもしれないが、高校でこういう指導を雑にしてきた人間としては、ちゃんとリスト化してそれぞれの言語行為の射程を考えないといけないと感じさせられるのである。
高校生は「きけない」か?
職員室の高齢化が著しい昨今、「最近の生徒は話が聞けなくなった」という小言を聞くことが多くなったように感じるが、本当に高校生は聞けなくなっているのだろうか。
まあ…量的に検証するのは難しい。
自分が「聞くこと」をちゃんと指導しようと思っているのは、どちらかと言えば、聞くことで何か知的な学力に繋がることを期待してというよりは、「聞くこと」をきちんとすることで、授業で行いたい言語活動を骨太で揺るぎないものにしたいという気持ちがある。
言葉が空中戦になってしまって、空回りするようなことにならないためにも、そして、教室を安心で安全の場所にするためにも、「聞くこと」から始めるべきなのだろうと、感覚的に思っているのである。
これは勤務校の言語文化として足りていないことなんじゃないかという自分の問題意識が大きいのである。
ま…子どもが話を聞けないというけど、大人の方がろくに話し合いのお作法ができていないじゃないかと国語科の教員としては会議を見ていて思うのである(嫌み)。