春めいている陽気にのぼせて、受験も一段落したことあって気が抜けている。
とりあえず、今まで取れていない有給休暇をちょこちょこと消化しながらのんびりと過ごしつつ、授業の下準備をしている。自分の配置がどこになるか分からないので、授業づくりではなく、授業づくりの手前の整理である。
高校の教科書の系統性を探る
中学校の教科書は、義務教育ということもあって教科書の素材も書きおろしは少なくなく、配列も非常に配慮されているように感じる。一方で、高校の教科書は(種類も膨大なので中学と一概に比較は出来ないが)、なんとなく配列に意図は感じるものの、中学校ほどには見えてこない。
だから、授業者の自由に考えてよいとも言えるし、自分の力量でかなりやれることが変わってしまうのではないかと思うのである。一応、指導書に各素材の狙いや系統性らしきものは書かれているものの、指導書に書かれている時間数で扱うことは難しいし、生徒の実態でもやれることが変わってくるので、結局は自分で考えるのがベターである。
そのため、一つ一つの文章を読み、それぞれの文章のテーマや文体的な特徴などをメモしながら、それぞれの素材がどの領域で使えそうかということを書き出している。書き出したこと全部を授業で扱うことはできないので、どのパターンがよいのかを絞っていく。
そうして、それぞれの素材の組み合わせを考え、系統性を自分なりに考えるという作業をしている。
……とてつもなく地味なうえ、手間である。
しかし、やってみて感じるが、いくつもの素材と何度も関連してくるようなものもあれば、ポツンと孤立してしまっているような素材も混ざっている。
とりあえず、教科書掲載の文章すべてについて系統性や関連性を整理しているが、実際、一年間の授業ではすべての文章は扱えないので、この中からさらに取捨選択しなければならない。
どういう基準で全体の中から一つの素材を選び、また一年間または二年、三年というスパンで配列していくか……。生徒の姿が見えてこないと難しいかな。
副教材をほじくり返す
次年度から副教材も変えるため、内容を吟味しているのである。
例えば、問題集に掲載されている文章がどこの大学で出題されたのかということを調べてみたり、教科書の素材との対応関係を表にして整理したり……など。
教科書の素材でカバーできないこともあれば、教科書の文章をカバーできないこともある。また、どの時期に何を扱うのかということを悩む羽目になる。せっかく持たせているのだから一番効果的な使い方をしたい。
集めた情報は捨てる
暇に任せてグダグダと書き出してみたり整理してみたりしているが、結局、こうして集めている情報は、四月になると直接的にはほどんと使うところがなくなる。
授業の時間は限られているのである。時間無制限に調べている情報を50分の授業に無計画に投げつけたら、消化不良でかえって生徒の学習を阻害する。
集めたものはほとんど使わないで、少しだけ使えるものを生徒に併せて使うだけ。どちらかと言えば、自由に生徒に読み書きして考えてもらう時に、自分が余裕をもって生徒の思考を見取るための下準備に過ぎない。
授業の50分は徹底的に生徒自身のために時間を使ってもらいたいのである。