色々な書類を書く機会の多いこの頃です。
自分が書き手になると改めて感じることも多いのです。
自分で悩むより何倍もいい
色々な書類を書くことになった新年度ですが、色々な都合があって自分一人では完結できない書類を書いたり、自分がアドバイスをしてもらいたいことがあったりと、誰かと一緒に一つの書類を仕上げるという経験をしていました。
こう言っては、身も蓋もないが、別にただの事務手続きの書類であれば、自分一人でそれほど苦労しないのである。いやしくも国語科の教員であるので、それなりに形式を整えて、おかしくない日本語でまとめることは、落ち着いてやるならば難しくない。
しかし、今回は、ちゃんと誰かに読んでもらいたいというタイプの書類であったので、自分勝手に突っ走ることができなかったのです。
だから色々と人に読んでもらい、確認しながら書類を仕上げるという仕事をしていました。
これは、よく考えてみると自分が生徒によく行わせている作業である。
自分が体験してみると、なかなかどうして、こういう活動の面白さが分かってくる。
特に関心が自分と異なる領域の人との話がとても面白い。自分が書きたくて逡巡しているところに、ちょうどいい考え方を見せてくれたり、別の角度からの提案をしてくれたりと面白い。
自分の作文はどうも冗長になりがちである。と、いうのも一つ一つの事例について言いたいことはキッチリと盛り込みたいので、抽象化して大まかに書くということがどうも出来ない。どこまで諦めて、ざっくりとまとめられるか……という作業が苦手である。無駄な表現は書かないけど余白も残せないのである。
だから、字数制限が出てくると途端に書くことに窮するのだが……。
自分で煮詰まっているときに、他者の視点が入ると、自分にとっては重要でも、読み手に取ってはどうでもよいところなどがはっきりと浮き彫りになる。そういう意見を聞くと、どこまで書いたらいいかという踏ん切りがついて、かなり気持ちとしてもラクになるのである。
よほど自分で正解かどうかも分からずに唸っているのはきついのである。
切実な課題ほど協働がいい
また、色々な書類を書いていましたが、協働で取り組んで楽しかったのは、やはり自分にとって重要な問題となる書類でした。
別にそこそこでいいやと思っているものについては、意見を交換しながら自分の文章の癖やらよくないところやらが見えてきたのは楽しいものの、表現を工夫したりどうしても伝わってほしいというモチベーションを得たりは出来なかった。
自分にとって切実な問題は、裏を返すと自分がどうも自信が持てないものでもある。自分が自信がないからこそ、切実に助力を求めたい。
でも、自信がないからこそ自分から相手を頼りにくいとも言える。
この精神的なハードルをひょいと乗り越えられると、得られる見返りが大きいのだが、なかなか簡単にはいかないだろう。本人の性格や頼み方をどうしたらいいかなど、逡巡させられることは多い。
だからこその高校授業
自分の文章を読んでもらうのは色々と精神的なハードルは高い。
しかし、それでも文章を誰かに支援を受けながら書くという経験はしてもらったほうがいい。得られるものが大きいのだ。
だからこそ、高校の教室の中で「相手に頼る/頼られる」という場を作りたいと感じる。
この本の中にはピアでの活動のために便利な表現やパターンが載せられているし、タイトルの通り「プロセス」を学ぶことが実感できる本である。
一回一回の活動での完成よりも、年間で何度もこういうプロセスを踏ませるような構想を練っていきたいところだなぁ。
生徒たちが大学生になったときに、初めて文章が自分だけでは書けないのだと気づくのはきっと不幸なことだと思う。誰かの助力を得るための、そういうアプローチも含め、教室で相互交流をちゃんと経験させたい。