教育ICTリサーチ ブログの為田さんがTwitterでなさっている「ひとり読書会」を自分もやってみようと思い、夏の休みを使ってダラダラと本日に挑戦してみました。
夏休みの気分転換に、為田さん@Hiroyuki_Tameda の「一人読書会」の方法に倣って、『#授業づくりネットワークno33』をしばらくゆるゆるとツイートしていきます。
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
授業づくりネットワークNo.33―あなたの授業を変える12のポイント (授業づくりネットワーク No. 33)
- 作者: ネットワーク編集委員会
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2019/08/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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取り合えず厚い本でやるといつまで経っても終わらない(笑)ので、比較的さくさく読めて、毎回、勉強になることが多い『授業づくりネットワーク』でやってみました。
巻頭対談「アクティブ・ラーニングの前に考えたい 知識を学習するとはどういうことか」
慶応大学の今井むつみ先生と東京学芸大学の渡辺貴裕先生の対談です。
今号のテーマは「2020目前!あなたの授業を変える12のポイント」です。巻頭対談は今井むつみ先生と渡辺貴裕先生の「アクティブ・ラーニングの前に考えたい 知識を学習くるとはどういうことか〜問いと知識の関係〜」である。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
「あなたの授業を変える」というテーマの時に「知識を学習する」ということ自体から考えるのは婉曲なようで最も本質的なことだろうと思う。いい加減、這いずり回る経験主義から脱却するべきだし、アクティブ・ラーニングは浅薄になるという批判からも脱却するべきだろうと思うのです。同じところで逡巡しすぎている感はある。
知識のない学生たちが無闇に話し合っても良い問いや新しい知識は得られないという学生のコメントからスタート。今井先生「ある程度の知識がないと、何がいい問いなのかもわからないということはあると思います。」p.2 ここからただの詰め込みとの違いの話へ。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
今井先生「知識というのは、そもそも外から入れられるものではないんです。大事なのは、思考の過程であって、どんな知識でも、その説明を聞いただけで理解できるというのはあり得ません」p.3 『学びとは何か』は必読書ですよね。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
この本に限らず、今井先生の新書は気軽に分かりやすく読めるのに、ググっとちゃんと考えたらどうなるの?ということと向き合わされるような面もあり、授業づくりに色々とヒントがあります。
p.4渡辺先生「実践知が実践知になっていない」という学校の例として「子どものコントロール術は、上手くなって」も「子どもの学びは意味のあるものになっていない」あるいは「技術自体が全然上達しない、コントロールすら上達しない、経験から全く学べない」 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
ここからリフレクションの話へ。pp.4-5 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
p.5 今井先生「私たちがする経験は、情報過多」これはなかなか重いな。この後に続く「子どものわかったに騙されない」という話に繋がる。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
リフレクションがやらされるものというレベルである限り、授業者にとっても子どもにとってもなかなかしんどい授業が続いてしまうだろうなと思う。授業者には「子どもがわかったと言っている」と見えれば、自分の責任が終わったような逃げ道があるけど、ここに逃げ込んでしまうと、やはり授業として深まっていかない。
p.5熟達の過程についての話題。渡辺「今までのやり方でとりあえず現状はなんとかなっていたとしても、どこか限界があるなと気づいたとき、やり方を変えてすぐは、上手くいかない時期があると思うんですよね」今井「熟達の過程で避けられないこと」 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
現状の限界に向き合うことと、何とか変えようとするときに苦しみがあるということについての話。自分のやり方を手放すことはしんどいし、見えている行き詰まりをそのままにすることもしんどい。
こうして言われると授業づくりって自分の積み重ねてきたことを、どこかで捨てなければいけない営みであり、直線的に成長できないのがもどかしい。
今井先生の研究室への受験生の話。p.6「学問をほんとうにしたいのであれば、まずその分野の古典的名著を読むことです(中略)それを読んでふつふつと問いが湧いてくるかどうかで、ほんとうにその学問を自分がしたいかと思っているかを考えればいい」耳が痛い。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
授業者なので研究者ではないけど、これは耳が痛い。何をテーマに自分が生徒と向き合うべきなのかという問題に類比できる。授業をする場合、学習指導要領もあり学校の教育方針もあり、自分の個人的な価値観で好き勝手出来るものではないが、最後、限られた時間で何を伝えるのかを決めるのは、教える者のこだわりである。
p.7今井「学者や研究者にとって、最終的に大事なものは、いかに世界の見方を発見するか、ということです。」渡辺「問いを得るための知識といった場合に…自分自身がまずは動いてみる、やってみることで、問いが湧くということも必要」。授業につながってくるなぁ。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
p.7今井「学校の学習の中で一番学ぶべきものは、知識の断片ではなく「考え方」です。」知識と経験と問いと、どんなバランスが理想なのか、どんなことがやれるのか、授業づくりの苦しくて楽しいところにつながった! #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
ここだけ取り出してしまうと、抽象的で何も言っていないように見えてしまうのだけど、本文を読んでもらうと自分のような感想になるかと思うのです。
知識の断片を教えるのではなく、「考え方」。この「考え方」にはただの活動だけではなく、必要なことはちゃんと教えるというニュアンスもあれば、実際に子どもたち自身がどう知識と格闘して経験を知識にしていくのかということも含まれる。
マニュアル化できない、実際のそれぞれの教室で起こっていることを、授業者が見極めて、自分の授業を作る……教えることの醍醐味であり、困難点である。
p.8 本質的な問いとそうではないといの区別。教師が子どもに対して専門性を持った人間として立ちはだかること。揺さぶること。現状に満足せずに次を考えられるように育てることの大切さ。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
対談はここまで。タイトルの通り「アクティブ・ラーニングの前に考えたい」ことですね。本質的なものとそうでないものの区別をつけられるように、教える側の専門性や見取りは大切です。そのためには、結果的に表現させる活動にならなければいけないこともありますね。 #授業づくりネットワークno33
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年8月5日
教える人間の専門性とは何だろうか。色々な議論がされるが、やはりこれということは難しい。教科に対する深い見識ももちろん必要だし、子どもの様子から何をするべきか考えられる見立ての良さも必要である。
ここではあまり深入りしないけど、この教えることの専門性についての認識の齟齬が、むやみな議論の空転を招いている気はする。
アクティブ・ラーニングの前にというタイトルにふさわしい
この対談はまさに「アクティブ・ラーニングの前に」というタイトルがふさわしいなあと感じます。猫も杓子も活動になっているからこそ、もっと教える側の専門性や知識とは何か、何を教えるのかということを考える必要性を感じるのです。