ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

年に200冊以上を消化する方法

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積読が増えているので、自棄になったネタです。

残念ながら、今回は「200冊を読む方法」ではないのである。

職業柄、年がら年中、本を手に取っている。ちゃんと読む本は月に10冊くらいなので、消化する本の量に比べると半分くらいである。

本に書いてあることを何となく把握して、必要な時に検討をつけるくらいの方法を以下に紹介する。決して、ちゃんと「読む」ではないので、内容の理解をしたり書評を書いたりは出来ない。

また、ここでの「本」はいわゆる評論系や論文である。小説には適用できない。小説は時間をかけて楽しむものですよ、割り切り大切。

下準備はブックマークレットで

倉下さん(@rashita2)のブックマークレットを活用してScrapboxに書誌データを取り込んでしまう。

rashita.net

基本的に自分は本をAmazonで買うことが多いので、これがかなり手っ取り早い。Amazonで手に入らないものは自分で残念ながら手打ちするか、他のサイトからコピペ。

Scrapboxにページを作ったら、ついでにリンクもつけておくと、あとから段々と便利になるのである。

実際の消化の仕方

これから実際にどうやって消化していくのかという話をするが……ぶっちゃけ、どこかで聞いたことのあるような話の再生産である。特に目新しいことはない。

ただ、自分が実際にやっていて色々と助かっているので、方法を紹介します。

まずは目次を眺める

定番と言えば定番であるが、本をとにかく効率的に消化したいのであれば、目次から入るのが良い。目次を眺めて、自分の欲しい情報が書いてありそうなところと、別に読み飛ばしても大丈夫そうなところを把握しつつ、その本の論立てを把握しておく。

後から読み返そうとして必要となる情報は

  • その本の問題意識
  • どんな提案をしているか
  • どんなリソースに基づいているか
  • どんな例を検証しているか
  • どんな個性があるか
  • どんな欠点があるか

くらいの情報である。

目次に出てくるキーワードを眺めると、これらの情報の大枠を掴むことができ、論の運びが何となく分かるので、だいぶすっきりと読めるのである。

読み方は雑誌と新聞と同じ

消化するために読むときに、逐一、隅から隅まで読んでいくことは不可能である。一文字一文字を丁寧に追っていてはどんなに速く読んでも、新書一冊2時間くらいはかかる。

だから、とにかく情報を消化しなければいけないときには、そんな読み方をしていられないのである。こちらは自分の趣味や勉強のみならず、その外側の題材も色々と目を通さないと授業が出来ない職種なのである。

そんなわけで、授業で丁寧に読むことを教えておきながら、実際に自分が日々のルーチンでこなす読み方はそうではない。

どのように目を通しているのかと言えば、新聞を読むのと同じ感覚である。

つまり、「見出し→小見出し→キーワードの拾い読み」でひたすら一冊目を通すのである。

新聞の朝刊はだいたい新書2冊くらいの文字数があるというが、大人が新聞を読むのに4時間もかけているなんて話は聞かない。だいたい30分くらいだろう。

だから、新書一冊であれば、だいたい15分くらいで一冊を目を通す感覚で消化するのである。

一周目は目につくものを見つける

かなりざっくりと目を通していく。あらかじめ目次に目を通しておくと、キーワードなどを予測して読むことが出来るので、さっさと飛ばして読んでいても、自分の欲しい情報は何となく目に入ってくるのである。

逆に、1冊15分くらいのペースで調子よく読み飛ばしていき、目に入ってこないものは自分がそれを読むにはアンテナが足りていないくらいで割り切ることも必要である。

そうして目についたもののうち、前後関係が気になったり話題として関心が惹かれるものがあったのであれば、本の角を折り曲げるか付箋を貼るかしておく。とりあえず、最後まで目を通すことを優先する。

運が良いと、自分が気になったようなことは本の中で繰り返し出てきて、そのページだけで熟読しなくてするもこもままある。

とりあえず、全体が見えるまではテンポよく見出しやキーワードを拾いつつ、斜め読みでぐんぐん進めていく。

二周目は印をつけたところを

そうして最初から最後まで目を通したら、再び最初に戻る。

二周目は、印をつけたところの前後を少しだけ丁寧に読む。…とはいえ、一文字ずつ追いかけるような精読ではなく少しペースを落として、段落ごとの内容を把握するくらいの読み方である。

また、全体を通して重複してくるようなところは端折って読まない。

ここでその本の骨組みをだいたいわかったつもりになるようなイメージである。

三週目は大切なところをいくつかだけ

そうして骨組みを把握したら、目次を眺めたり印をつけたところを見返しつつ、本当に自分にとって重要なところだけ、普通の読書のように何度か読む。

特に時間をかけるのは、他の本では見たことがない話や自分の必要に応じて使えそうな部分を吟味検証するのである。

場合によってはScrapboxに書き抜きを作り、リンクを作ってもいい。

ただ、10個も20個もやっていると詰むので、せいぜい5個以内と言ったところである。実際、書き抜きは自分はほとんどしない。書き抜きが必要となる本は、後から結局全てを精読することになる本である。消化しておけばいい本で書き抜きは作らない。

どうしてもすぐに使えるようにしたいのであれば、付箋を大きいのを貼っておいて、本棚から取りやすく置いておいた方が生産的である。

この三週目まででだいたい30分以内で終えるイメージ。休憩をはさんでも、空きコマ1コマの間で一冊を消化するというようなイメージ。

だから、空きコマが一日2コマあれば、放課後も含めると3冊くらいは消化できるイメージ。

精読ではない

繰り返すがこの方法は、何かを理解したり知的生産したりするための方法ではない。その下準備のために、大量に何がどこに情報として存在しているのかということを自分にインストールするための方法である。

いざ、実際にその本の情報を使おうとすると、結局、時間をかけて精読しなおすことになる。

とはいえ、一度、こうやって下準備をしておくと、精読のスピードもだいぶ上がるので、読む時間自体をショートカットは出来る。

何のために?

授業であれこれと参考文献などを紹介したり、生徒に急に進路相談で何か読んだほうが良い本があるかと聞かれたときに答えたりする時への備え、という面が自分には強い。

あとは考査や授業の資料としてゼロから探すより、予め色々と触れておくと、だいぶ楽に探すことが出来る。

結局、この消化の仕方は「いつか使うかもしれない情報」をいかに効率よく集めるかと考えた方法である。

まあ、本になっているものを飛ばし読みするのは気持ち悪い感覚はあるのだが、雑誌を精読しないでパラパラと読むのと同じである。そうやって読んでいる雑誌でも、結構、記憶に残るものでしょう?それと発想は同じである。

余談

やっていることは大雑把にレビューマトリクスを作っているようなものである。

readingmonkey.blog.fc2.com

雑に読んでいても、数が溜まってくると、それなりに身を助けてくれることは多い。

とはいえ、本当に何かをちゃんとやろうとしたら、机に身体を縛り付けても精読して唸って読まないとならないのですが…。

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