ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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担任の仕事とは…?② ~受験にまつわるエトセトラ~

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前回に引き続き、高校3年から逆算して担任の仕事を整理していきます。

 【前回】

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調査書を書く

大学受験に絶対に必要となるもの。それが調査書である。

高校入試よりも調査書にかかる比重は軽いとはいえ、いい加減な仕事やミスをするのはあまりによろしいものではない。近年は、外部検定に関する記入などがあるので、そういう点でミスが起きやすい。

ミスがあるとご丁寧に先方から問い合わせが来まして、恐縮しきりになるのですよ……。

調査書の書き方の詳細はあまり述べることは難しいが、基本的には各学年で書いてきた指導要録の内容に基づいて、高3の担任が必要な事項をまとめなおして作成することになる。

書き方の文言などは学校でローカルルールがあるはずなので、要確認である。今後、新しい調査書の書式が大学入試で使われるようになった時に、また気を付けなければいけないことが増えるだろうと思われる。

新米の担任の場合は、二学期ごろになって調査書の作成で慌てる前に、ベテランの先生から過年度の生徒の調査書のデータなどを教えてもらうと、一年間の担任指導の間でどのような面を見ておこうかということに検討がつくだろう。

受験校を面談する

受験直前期の一番大事な仕事が、保護者と本人を交えた受験校を決める三者面談である。ここでの面談が上手くいくかどうかは、一年間の情報収集にかかっているといっても過言ではない。

あまり独断や経験則に走らずに、進路指導部の支援を受けながら、大学受験の情報を十分に打ち合わせておくことは必要である。

当然、ここでの面談で保護者と本人にどれだけ響くかということは、一年間の対応にかかっている。この面談でいきなり受験校についてはあれこれと指図するような形になってしまうと、当然ながら話がこじれる。

進路指導の情報などはこれも「進路」の話として別稿で書こうと思うので、ここでは省略しておくが、この最後の保護者面談で、絶対に確認するべき進路情報は「出願」と「金」についてである。

意外と、この時期になると思い込みと焦りで、とんでもないミスが出てくるものである。例えば、例年のあるあるであるのが、センター試験後の国公立大学の出願が、前期入試が終わった後に後期入試だと勘違いしているようなパターン。国公立を受けるなら前期と後期を同時に出願というのは常識のように思えるかもしれないが、そういう意外な「常識」に漏れや勘違いが起きやすいのでよくよく確認した方がいい。

また、お金の問題も失礼がない範囲でよく確認が必要でしょう。最低限、振込手続きの締め日や合格発表日の日付などを保護者と本人を前に、よくよく確認しておきましょう。

自信がない情報であれば、今であれば簡単にネットで調べられるので、ちゃんと調べた方がいいですよ。

自分は生徒の受験校については一年間かけてかなり計画的に戦略を練るが、もしそういうことが苦手でも、今は生徒のほうが塾でかなり指導されてきている印象はある。ただ、たまに酷い受験パターンを書いてくる場合もあるので、注意深く見ておきましょう。生徒の自主性を理由にあまり美味しくないパターンに陥っているのを指摘しないのはあまり良いことではないのではないかなあと思うのである。回りくどい言い方になるのは「色々な事情」があるからである。断罪はしにくい。

とはいえ、以下の点はよくよく確認した方がよいだろう

  • 入試日が3日以上連続しているパターン。受験のキャンパスの距離や時間割などを見て無理がないかの確認。
  • 合格発表日と入試日の順序の確認。第一志望の前に不合格をもらうとかなり落ち込むということや、合格が自分だけでないような入試になると精神的に堪えるということを配慮して受験日程を組んでいるか。
  • 手続き締め切りと合格発表日の関係。学部や大学を上手くやれば一円もかからないで合格を確保する可能性もある。
  • 同じレベルだけが並んでいるパターン。全滅で再チャレンジするのと、合格したけど再チャレンジを選ぶのでは、その後のメンタルが全然違う。

他にも色々とこまごまと確認はするが、上の四点くらいは注意してあげたいところだ。もちろん、三者面談でこのことをいきなり突きつけるとこじれる原因となるので、低学年から言い続けつつ、三年生に入ったら毎月面談で伝えるくらいのつもりで。

不合格が出た場合は…?

担任として気が重いのが、不合格の対応である。今の受験は私大が非常に厳しい状況にあるので、なかなか合格がでないということはざらにある。しかし、生徒には一つの不合格がすべての努力の否定のように響く。 

それだけに、いかに不合格が出たときに立て直せるかという声掛けや支援は必要であろう。ただし、当然ながら信頼関係がない状態で何を言っても無理なので、最悪を想定して、一年をかけてお互いの信頼関係を築いていきたいですね。

生徒の性格にもよるが、基本的にはその日のうちに次のことをどう考えればよいかということを生徒と話して、気持ちの切り替えの手助けができるとよいかと思う。特に入試が続く場合には、不合格を引きずらせないように……。

 

 

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