「【事務連絡】「GIGAスクール構想の実現」及びICTを活用した取組事例に関する資料(情報提供)(令和2年5月26日)」の資料から引用の上のグラフ。
さて、コロナ禍において、これがどのように動いているかを本気で向き合うべきなのだろうと思うのである。このような恐ろしいほどにICTを疎外してきた学校が、今となってオンラインに頼ろうとして七転八倒している訳であるが、学校が再開されると再びICTを学校から排除しようという気配を感じることもあり……本当にそれでいいの?などと思いながら過ごしている。
ICTを使いたくない…?
学校が始まれば、ICTを使わないで済むならば使わないで終わらせたいという気配を感じるようになり始めた。学校の再開が現実的に近づいているから、一層に、そのような気配を感じるようになっている。
本当に、コロナ前のような授業が成立するのだろうか。
散々に、ネット上のコンテンツによって生徒の学びを支えてきたというのに、学校が始まった瞬間に「授業では使うな」なんて指導が成立するのだろうか。シンプルに「先生の授業を聞くよりスタサプの方が効率が良い」と反論された時に、どのように授業の意義を生徒に説くことが出来るだろうか……。一斉授業をやるならば、コロナ前よりも一層、この問が難しくなってしまっている。
名人のように、クラス全体の様子を見取り、上手に一斉授業をする先生はいるので、そういう先生は生き残るかもしれないが、それが大多数だと思い込んで良いものか。恐ろしいことに、授業している自分だけが「自分の授業は生徒に支持されている」という裸の王様になってしまうのではないか……そんな恐ろしさを感じるのである。
あきれた上位層は何をするか……学校にくることを拒否すれば良いのである。いくらでも正当な理由をつけられるような状況にある。
自分は基本的にネガティブである。学校が再開された後に、生徒や保護者が無条件でコロナに感染するリスクを負ってまで、自分が受けたくない授業を受けに来るだろうか?という問いを捨てきれないのである。
もっと露骨なことも起こるかもしれない。「この先生の授業は受けたいけど、この先生の授業は不愉快だから登校しない」なんてことも……。そういう悪い想像をするのである。なぜなら、自分がそういう高校生だったから(笑)。
どこでも学べるようにしたい
生徒のことを思い通りに動かそうということに諦めがある。そして、熱意で説いたところで、感染のリスクを犯せない生徒は一定数いるだろうし、授業は受けたくても学校を拒絶する生徒もいるかもしれない。
そんなことを考えると、自分はやはりどれだけこのコロナが下火になっている時期に、学びのためのインフラとしてICTの使い方を生徒と共に教室で学べるかが大切だと思っている。
ZoomでもGoogleでもMicrosoftでも何でもよいけど、IDだけ取って渡せば、生徒が使えるようになると思ったら大間違いである。学校に最適化?されているはずのClassiでさえもまともにログイン出来ない*1、つまりはアカウントやパスワードの概念を理解していない生徒は一定数いる中で、オンラインで課題をやりとりしていこうというのは厳しい。
危機感はあるが、一歩ずつ使えることを広げていくしかない。最初は単純なテキストのやりとりでいいと思っている。ひたすらに反復を増やしていく。
そんなことをやっていると、授業の中で自分の席に座って授業してもらう必要が無い。スマホ一つ持って、床に座るもよし(いや、コロナ的にはダメか)、窓際にもたれかかりながらやるのもよし……なんてことをイメージしている。よそから授業を除いたら、先生がいるのに生徒はスマホを凝視して立ち歩いている……学級崩壊に見えるかな?(笑)
でも、このイメージがわいてくるのはある言葉が頭にあるからである。
ブレンディッド・ラーニングの衝撃 「個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準」を実現したアメリカの教育革命
- 作者:マイケル・B・ホーン,ヘザー・ステイカー
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この本の中の
破壊的なブレンディッド・ラーニングの簡単な見分け方が一つあります。ブレンディッド・ラーニング環境で学習している教室に入って、どちらが前か見分けがつかなければ、多分それは破壊的なモデルです。…(中略)…教師の役割が重要であることに変わりはありませんが、理想としては「教壇の賢人」から助手、議論の進行役、プロジェクトのリーダー、カウンセラーなど、別の役割に変わることです。(PP.80-81)
この言葉である。この言葉は以前紹介したことがある。
ここで書いたときよりも、もっとドラスティックに教室の「前と後ろ」が分からなくなる。そもそも、教室にだってこだわらなくたっていいのだから……。
いつでもどこでも学べるだけのスキルを、学びのインフラとして築きたいのだ。
*1:Bad Gateway的な意味ではなく