ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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ジグソー法あれこれ

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授業でジグソー活動をやったりやらなかったりという話。

ジグソー法とは

ジグソー法の元々の理論は

この本であり、余裕があるならば何故ジグソー法が出てきたのかという背景は知っておきたい。ただ、そういう時間も無いだろうから、日本向けのジグソー法を分かりやすく理論立てて解説している本と言えばこれ。

あぁ…発売して四年半も経ちますか…。これは東京大学CoREFが中心に理論立てて実践もしているので、誰でも比較的ハードルを低くして取り組むことが出来る。

coref.u-tokyo.ac.jp

最近ではちょっとした記事や探究学習の方法としても紹介されるジグソー法であるので、CoREFが紹介されることが少なくなったような印象がある。それだけ、ジグソー法という方法が授業の一手法として根付いたのだろうという印象を受ける。

これは去年出たCoREFの取り組みを中心にまとめた本だけど、やはり文字からも上手く話合いが成立しているのだろうなという印象を受ける。

生徒の話合いを質の高いものへと誘導していく仕掛けとして、ジグソー法はかなり強力なシステムなのだ。

狙いをよく考える

自分も折に触れてジグソー法を取り入れた授業を行うことがある。手法としては上のハンドブックを読んでもらえば分かるように非常に使いやすいのだ。

ただ、やはり使いやすいものほど罠があるわけで、ジグソー法も何でもかんでもやろうとしてしまうと、あまりよい結果にはならない。

例えば、時配の問題は簡単に思いつくだろう。エキスパート活動、ジグソー活動と二段階の話合いを仕組もうと思うと、ちゃんと手綱を握っておかないと時間が湯水のごとくに消えていくことになる。また、ジグソー法の構造上、自分が担当したエキスパート活動以外の内容については深く考える余裕はない。そのため、エキスパート活動で何をそれぞれ割り振るのかということを考えないと、ある分野を丸っと理解しないままに単元が終わってしまうというような怖れもある。

生徒が協同して取り組むべき問いとは何かということについて、普段の授業の発問以上に問いを磨く必要がある。しかも、その問いが教員としては上手いものだと考えても、生徒にとって考えてみたいという問いにはならないこともある。

もし、ジグソー法を実践しようというのであれば、よくよく生徒の実態を理解し、どういう思考の流れが起こるのかということをシミュレーションが出来ていないと、結構、苦しいことになるだろうと思う。

個人的に、ジグソー法を用いるときには、「人間関係作り」という側面に割り切って、振り切ってしまうこともままある。その後の、話合いを自力で運営していくために、話合いの風土を作るための手段として使うという割り切り方。もちろん、思考をするためにどのような問いをするかということも考えるが、ハードルとしては確実に飛べるものを考えるなどする。

初心に戻って

そんなジグソー法だからこそ、今こそかつて三宅なほみ先生が書いた、「強調学習授業デザインハンドブック」の序文を読み直したい。

coref.u-tokyo.ac.jp

生徒が自立した学習者として自力で学び、学びに本気になっていくことを信じ抜くからこそ書くことが出来る、強い思いを感じるこの序文。熱意を持ちながらも、理論によって仕組みが説明される。

根本に戻って「なぜ、ジグソー法をやろうと考えるのか」ということを大切にして、取り組みたいところだ。

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