考査の採点である。記述問題がそこそこ多いので、ブレをなくしながら採点するには一気呵成にやるしかない。ためらうとブレ幅が大きくなるのでとにかく始めたら終わるまで脇目を振らないことがコツである。
採点は合理化できるか
つけている枚数が多いので、採点の時期になると気が重くなる。もうマークシートにしてくれよ……という心の叫びがあるのだが、費用面以外の理由からもマークシートでOK!とはしにくい理由はある。
簡単に言えば、答案の雰囲気から生徒がどのように考え、どこを得意として、何が苦手なのか、何を指導しきれていないのかということを見取るために、答案と向き合うという時間が必要なのである。
確かに採点をして、点数で差をつけている…という面も否定できないが、一面では、ノートチェックのように、生徒の思考の跡を読み解いて、次の授業からどうするかということを考えている。
だから、マークシートで点数をすぐにつけるような採点の仕方にしてしまうと、そこの過程がすっ飛ばされてしまうので、生徒の実態をなかなかつかみにくい。
模試の成績データが返ってきたときに、数字だけを見ても生徒の課題がまったく把握できないのと事情は同じである。
ただ、現在の模試の採点のように、データ採点にしていくことはできないか、とは思うのである。
例えば、フリーソフトで有名なのが「採点斬り!」なのだけど……
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学校の「考査」で使うにはちょっと厳しい。ただ、公立高校でデジタル化する流れは少しずつ出てきているようである。
間違いなく、費用対効果という面ではデジタル化は慣れさえすれば強力だろう。実際の答案全体を眺めることが出来るという意味では、マークシートのような断片的な情報の捉え方とは違うし……。
次の単元を考えながら採点する
結局、生徒を理解するにはある程度のコストをかけて、情報を集めなければならないのである。
単なるマルバツだけをつけて採点するのであれば、もう少し手間は減らせる作問だってできる。バカにならないのが、答案の雰囲気なのである。迷い無く書いているのか、淀みながら書いているのか。何度も消して迷った跡があったり、書き途中で終わってしまったものがあったり……答案から受ける印象で、その答案の向こう側にいる生徒の様子を考える。
悪戦苦闘して終わらないのと、全面降伏して終わっていないのでは、意味が違うし声のかけ方も変わってくる。
出来ないことにばかり目が行きがちであるが、出来ていることも少なからずある。単元でどんなことを学んだのか、生徒の頭の中に何が残っているのか。そんなことを推測しながら、採点を進める。
出来ていないことを次の単元でどうフォローしたら良いか、出来ていることを活かしてどう単元を面白くするか……色々なことを考えて採点をする。
勢いだけで採点するのはそれほど難しいことではない。でも、機械的に飛ばしながらやっていると、まったく考査が授業に役に立たないのである。妙な採点の工夫に拘泥するくらいならば、まっとうに時間をかけて採点するほうが、よほど一貫生のある学びが実現できるのである。