九月に入り、多くの学校で二学期が始まる。
色々な不安を感じながら、そして慣れないことに挑戦しながらの二学期がスタートしようとしているのである。多くの学校が本当に厳しい挑戦が強いられている状況であると言える。厳しいと思いながらも、しぶとく挑戦するのはそれが職業倫理だからである。
感染対策としてのICT
GIGAスクール構想の前倒しもあり、多くの学校では感染対策としてICTを使おうという話が出てきている。GIGAスクール構想の対象ではない高校であっても、オンラインを活用して何とか人流を減らして、感染拡大防止を図ろうという動向が見られる。
しかし、自分の周囲でもそうだし聞こえ伝わってくる「オンライン活用」というのが、オンライン会議システムに授業を「垂れ流す」レベルの話が大半を占めている点に厳しさを感じるのだ。
仮に、ライブ配信をすることで授業を家庭に届けようというのであれば、最低限、配信に耐えうるような設備投資として、マイクとカメラは高性能なものを各クラスに1台ずつ程度は準備すべきである(きっと、まともに配信に耐えうる性能を期待するのであれば2~3万円くらいするだろう)。
パソコンに付属しているマイクやカメラはオンライン会議は出来ても、教室を移しだして配信するには全く性能は足りていないのである。1~3回くらいの授業を急場でしのぐというのであれば、それも手段としてはありだろうが、ゴールが現状見えない状況で、長期戦を覚悟しなければいけない状況で、ライブ配信を見切りで始めることは、かなりの負担を生徒にかける可能性があるということには注意しておきたい。
もっというのであれば、1学期の段階で過程のインターネット環境の調査などを行っていることは大前提だし、インターネット環境が弱い家庭に対して明確な支援も言えないでライブ配信をスタートして良い理由がない。去年の4月の段階であれば、緊急事態でまさにやれるところからやれることをやるというスタンスで良かったが、それから一年以上の時間が経っているのである。家庭のネット環境の確認や支援の方法の検討が土壇場までされていないことの責任は免れないのである。
また、ライブ配信以外の形式でもやれることは数多くある。せっかく共有されてきているオンライン上の協働的な学びを活かさないのは勿体ないのである。
ライブ配信よりも準備すべきことが多くあるとこの事例集を見ても伝わらないものだろうか?
普段の力が試される
当たり前の話だが、普段の授業でICTを使っていなければこの緊急事態に取って付けたように使うのは不可能である。
ライブ配信だけにこだわっていると、こういう本が実は教室から離れていても使える可能性があることを見落としますよ。