ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

評価が分かると指導に余裕が出ると思う

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昨日、評価の話を唐突にしていたのは、オンラインで西岡加奈恵先生の講座があったからである。

校内の先生にもかなり強く言って、視聴してもらいましたが、やっぱりとても分かりやすい話なので、評判がとてもよかったです。やっと、評価について校内でも話が始められそうです。

昨日の講座とほぼ同じ内容が、ベネッセの雑誌で特集されています。

berd.benesse.jp

本文はこちら

昨日の講座の内容についての感想戦を色々としていました。

パフォーマンス評価は仕事を増やさない

大きな誤解として受け止められているのが、「パフォーマンス評価をするとなると、仕事が増えすぎて多忙化する!」ということである。

この言説で判断が難しいのは、一面は正しいだろうし、一面では誤解があるということである。

一人一人のパフォーマンスを確認していくと言うことは、ペーパーテストで採点するのとは訳が違って、それなりに時間と手間はかかる。例えば、1分の動画で学習成果をまとめさせるみたいな課題を出したとすると、たとえ1分の課題だとしても40人を指導していれば、40分以上の時間が物理的にかかってしまう。

だから、これまでのペーパーテストにパフォーマンス評価までむやみに重ねてしまうようなことをすると、仕事量は際限なくインフレしていく。だから、パフォーマンス評価では仕事が増えるという意見は一面では正しい。

しかし、もう少し踏み込んで評価を考えると、ペーパーテストとパフォーマンス評価で重なる部分はあるし、それぞれの評価の方法で得意不得意なものはある。例えば、前掲の特集号でも

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(西岡加名恵「新学習指導要領で求められる学習評価の本質とその実践の要諦」『VIEW next』高校版 2021年度 10月号PP.18-23より)

このような整理が示されている。この整理は西岡先生の本には必ず掲載されていますね。

 

 

目的に合わせて、評価を整理することで、もっと時間の使い方が上手くなるのだろうと思う。

今までペーパーテストで回り道をして評価していたことを、パフォーマンス評価で複合的、総合的に効率的に評価する方法はあると思うし、工夫すべき所だと思われる。

時間の使い方を考える

デジタル採点の利用やGoogleフォームなどの利用も単純な知識の確認を効率化するツールとして機能するはずである。逆に言えば、パフォーマンス型の課題を無理してデジタル採点やフォームでやろうとすると、とてつもなく手間をかけることになり得る。

そして、デジタル採点などを使って採点の手間だけを減らしていると、実際一枚一枚の答案を手で採点しているときよりも、答案から受け取る生徒の状態に対する見取りは鈍くなるような感覚があるので、そういうことを考えると、単に手間を減らすだけでは今までの指導と評価で実現していたことがたた単純に目減りするだけになりかねないように感じる。

だからこそ、単純に評価を出せてしまうものは、機械の力を使って削減しつつ、本当に手間のかかることに対してエネルギーをかけることを考えたい。

そのことを突き詰めていくと、実はそれほど評価の回数は多くなくて良いような気がしてくる。

パフォーマンス評価が複雑で複合的なものを評価するのに向いている以上は、細切れに課題を出すのではなく、ある程度のまとまりを意識して、回数を精選して取り組むのがよいだろうと何となく考えている。

パフォーマンス評価は心の余裕から

パフォーマンス課題に取り組ませてみると分かるが、生徒の成果物はそう簡単にレベルの高いものは出てこない。むしろ、色々と複雑な要素が絡んでいるからこそ、稚拙さの方が気になってしまう可能性がある。

だからこそ、「目標に準拠した評価」すなわち「何を目標としているのか」ということを教える側がブレないことが重要である。

また、評価するべきは生徒の成長なのである。出来ないことをどう今後アプローチしていくのかということを見取りつつ、出来るようになったことを喜ぶ。

そういう仕事なのだ。

だから、心に余裕がなくて、少しのことにイラッとしてしまう状況では厳しい気はする。

余裕をもって仕事したいのです…本当。

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