学期の節目は保護者と時間をとって話す時期である。
低年齢ほど保護者との協力は重要であるが、高校であっても保護者の理解を得ながら教育を進めることは重要だ。
時間を割いてきていただくという意識
学校は保護者に対して決して偉そうにお願いが出来る立場にはない。基本的には面談を行うというのは学校の都合である。
平日の昼間に来ていただくことになる場合が多いのだが、普通に有休を取るなどして学校にわざわざお越しいただくのは大ごとである。
そして、わざわざお越しいただくにもかかわらず、担任は一人で三十人以上は教えているものであるので、面談の時間は長くても30分程度で終わってしまうのである。下手すると移動時間の方が長い…なんてことになりやすい。
だからといって一人に対して一時間も面談は物理的に出来ないし、時間が長くても迷惑な場合だってある。
だからこそ、ちょうどよいバランスでお話をすることにいつも頭を悩まされる。
自分がお金を払っていただけるような超一流のコンサルのような能力を持っていれば、悩まなくても済むのだろうに……と毎回思う。
非常に大きなコストを割いてお越しいただく以上は、それに見合うだけの価値は提供したい。
せめて、何か自宅に持って帰る価値のあるものを渡したいと思うのである。
保護者にどのくらいお話しいただくか
色々な機会に面談のコツを先生方に聞くと、「保護者からの話を多く聞き、話したいことを話して帰っていただくのがよい」という話を聞くことがある。
これもまた確かに一理ある考え方だ。
しかし、前述の通り、大きなコストを割いて学校に来ていただいているというのに、学校として、担任として何も提供しないで帰らせてしまうのは、問題があるのではないかと感じる。
確かに保護者にとってみれば、家では子どもに言いたいことを言えないというケースもあるため、担任が話を聞き取っておくことには一定の価値はあるだろう。
しかし、それでもなお、しっかりと保護者に何かをお渡ししないといけないだろうと思うのである。
仮に20分の面談で10分以上を相手に話させていたらいけないような気がする。
もちろん、話を聞いて欲しいというケースもあるので、なかなかこちらばかりが話しても居られないのだけど。
前向きに終わりたい
面談は気をつけないとダメだしばかりになりやすい。
どうしても考査のデータや模試のデータを並べてしまうと、出来ていないことの方に目が行きがちになるし、生徒に現状認識を尋ねるとだいたいは反省の弁が返ってきてしまう。別に誘導尋問で反省させたいわけではないのだが、どうしても反省を口にしがちである。
しかし、結局、保護者の前で生徒を辱めても、生徒の行動変容にはつながらない。
もちろん、耳の痛い話をきちんと伝えることも責任であるので、それは必要なことであるが、行動を変えるのは変えたいという前向きな意志だけである。
せめて、保護者にもポジティブな面を伝えて、家庭でも前向きな話をしてもらいたいと思うのである。