ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

結局、基礎を学んだほうが早いのでは?

日本初の「バイブコーディング検定」なるものが登場した。一般社団法人日本AIスキル認定協会が提供する無料のオンライン検定で、生成AIを使って非エンジニアがアプリを作る「バイブコーディング」のスキルを認定するものだという。

newscast.jp

バイブコーディングの可能性

バイブコーディングという言葉自体は、2025年2月にOpenAI共同創設者のアンドレイ・カルパシーが提唱したもので、Collins辞典の2025年のWord of the Yearにも選ばれている。自然言語でAIに指示を出し、コードを書かずにアプリを作るという開発スタイルだ。(AIに調べてもらいました。)

自分自身、この一年でかなり色々な校務用のアプリやツールをGASやClaudeを使って作ってきた。

プログラミングの専門教育を受けていない自分でも、生成AIの力を借りれば実用的なツールが作れる。これは紛れもない事実であり、教育現場にとっても大きな可能性だと思う。

だから、バイブコーディングにはとてもお世話になっております。

検定の中身を見て思ったこと

ただ、今回の検定の試験範囲を見ていて、ちょっと思うところがあった。

試験範囲には「要件定義とプロンプト設計」「UIとUXの基本理解」「データ管理とセキュリティ基礎」「デプロイ・公開・運用」「AIとの共同作業における品質管理」といった項目が並んでいる。

要するに、コードは書かないけれど、ソフトウェア開発に必要な知識体系はちゃんと問いますよ、という建付けなのである。

これを見て率直に思ったのは、「ここまできちんと体系的に学ぶなら、プログラミングの基礎そのものを勉強したほうが回り道なようで結局は近道なのではないか」ということだ。

素人考えで申し訳ないのだけど、要件定義ができて、UIの基本が分かって、データ管理やセキュリティの考え方も押さえていて、デプロイの手順も理解している…という人が、コードを「読めない」ままでいるのかなぁ…なんて思う。

そこまでの素養があるなら、基礎を少しかじるだけで、AIが書いたコードの意味が分かるようになるし、エラーが出たときに自分で対処できる幅がぐっと広がる気がする。

「バイブコーディング」と「AI支援プログラミング」は違う

この点について、著名なプログラマーであるSimon Willisonが興味深い指摘をしている。

彼はバイブコーディングの定義を厳密に捉え、「LLMがすべてのコードを書いたとしても、それをレビューし、テストし、理解しているなら、それはバイブコーディングではない。LLMをタイピングアシスタントとして使っているだけだ」と述べている。

simonwillison.net

If an LLM wrote the code for you, and you then reviewed it, tested it thoroughly and made sure you could explain how it works to someone else that's not vibe coding, it's software development.

https://simonwillison.net/2025/Mar/19/vibe-coding/ より。2026/03/21 最終確認)

つまり、コードを理解せずにAIの出力をそのまま受け入れるのが「バイブコーディング」で、AIの力を借りつつも中身を理解しようとするのは「AI支援プログラミング」だということだ。

2025年にMETRという組織が行ったランダム化比較試験では、経験豊富なオープンソース開発者がAIコーディングツールを使うと、自己認識では20%速くなったと感じているにもかかわらず、実際には19%遅くなっていたという結果が出ている。

metr.org

(自分は素人なので、この論文の妥当性は評価できない。あくまで調査してきて、出てきた情報として紹介しているので注意してください)

AIが生成したコードの検証や修正に想像以上の時間がかかるのだろうなと。基礎知識がない状態でこの検証コストに向き合うのは、なかなか厳しいだろう。

何がいいかが見えづらい時期

自分はGASやPythonを少しかじった程度の知識しかないので、プロのエンジニアから見たらまったく的外れなことを言っているかもしれない。そこは正直に留保しておきたい。

バイブコーディングは、プログラミングの学習プロセスを飛ばして「動くもの」を作れるようにする技術である。それ自体は素晴らしいのだけど、「動くもの」を作ることと「それがなぜ動くか分かること」の間には、深い溝がある。

検定という形でスキルを可視化しようとする試みは、その溝を埋めようとする方向性として結構、ありなんじゃないかなと思う。でも、要件定義やセキュリティの知識を体系的に問うところまでやるならば…もう少し足を伸ばしてプログラミングの初歩を学ぶほうが、結果的には「使える人材」に近づくのではないかなぁと思ったりもする。

このあたりはAIの性能にも左右されるんだろうけど。

もちろん、これは詳しい人の意見をぜひ聞いてみたいところだ。

バイブコーディングのスキルセットとプログラミングの基礎学習は、本当に別の道なのか、それとも途中で合流するものなのか。素人には全くわからん。

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