ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

法教育のデジタル副読本

法務省が高校生向け法教育リーフレット「18歳を迎える君へ」をデジタル副読本として刷新・公開したとのこと。

www.kyoiku-press.com

www.moj.go.jp

従来の解説動画等とも連携しているとのことで、教員が限られた授業時間内で活用しやすいように工夫されているらしい。

授業での活用だけでなく、生徒の自主学習での活用も想定されている点も気になるところだ。

大事だけど手が届きにくい領域

法教育が大事だということに異論がある人は少ないだろう。18歳で成年になり、契約やさまざまな法的行為の主体となる。

しかし、だからといって、これを正規の授業の中でがっつり時間を確保して取り組めるかというと…なかなか難しい。

教科の中に法教育を組み込もうとすれば、公民科が中心的な担い手にはなるだろうが、それでも教科書の内容を扱う時間の中でどこまで踏み込めるかは悩ましい。国語科でも契約書を読む、法的な文章を扱うといった展開は考えられるが、常時取り組めるものではない。

大事なのは分かっている。

だけどカリキュラムの中に場所を確保するのが難しい。法教育に限った話ではなく、金融教育やキャリア教育、消費者教育なども似たような構造を抱えている。

「副教材」として存在することの意味

だからこそ、こうした内容が副教材やデジタルコンテンツとして手軽にアクセスできる形で準備されていること自体に価値があると思う。

正規の授業の中で体系的に扱うことは難しくても、たとえばLHRや総合的な探究の時間の一部で紹介したり、生徒に自主的に目を通すよう案内したりすることは、それほどハードルが高くない。

「授業でしっかり教える」か「何もしない」かの二択ではなく、その間を埋める選択肢としてアクセスしやすい資料がある。これが地味に効くのだ。

法教育のような領域では、教員自身が専門家ではないことがほとんどだ。自分も国語科の教員であって、法律の専門家ではない。そういう状況で「具体的にどう使えばいいか」のイメージが湧きやすい形で資料が出てくると、手を伸ばしやすくなる。

学校教育は教員だけで担うものではない

こうした教材は、学校教育を社会と連携しながら進めていくことの具体例でもある。

法務省が法教育のコンテンツを作り、学校現場がそれを活用する。専門機関が教材を作り、教員が教育の文脈に位置づけて生徒に届ける。この分業は理にかなっていると思う。

しかもデジタルだからコストがほとんどかからない。紙のリーフレットを全国に配布するとなれば印刷・物流の手間があるが、ウェブサイトに掲載すればどこからでもアクセスできる。

こういう形で専門機関のコンテンツが流通するのは、デジタルならではだろう。

探究学習やキャリア教育では、教科書だけではカバーしきれない多様なテーマに生徒が向き合うことになる。

そのとき、各分野の専門家が作った質の高いコンテンツが参照できる状態にあるかどうかで、探究の深まり方がだいぶ変わってくる。

「全部を授業で教える」のではなく、「学びのための資源を整えておく」。

こうしたデジタル副読本はまさにその環境づくりの一つだ。今後もっと増えてほしいなぁと素朴に思う。

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