
スタディポケットが、文科省の「N-E.X.T.ハイスクール構想」に関連した生成AI活用の相談窓口を開設したというプレスリリースが出ていた。
N-E.X.T.ハイスクール構想は、2040年を見据えた高校教育改革の事業で、探究学習の高度化や地域・社会とつながる学びの推進などを掲げている。
スタディポケットは学校向けの生成AIサービスを手がける企業で、今回の窓口ではキャリア教育、探究学習、英語教育、情報教育、校務支援と、テーマを問わず構想段階から無料で相談できるらしい。
人手不足の現場に「外部の窓口」が持つ意味
この取り組みで注目したいのは、相談窓口の中身そのものよりも、「学校の外に、気軽に聞ける先がある」ということだ。
学校現場の人手不足は深刻だ。
教員採用試験の倍率は下がり続け、臨時的任用の講師すら見つからないという声もある。年齢構成の偏りも目に見えて進んでいる。ベテランが大量退職し、中堅層が薄く、若手に負荷が集中する…という構造は、もう珍しくもない。
で、そうなると何が起きるかというと、「新しいことを検討する余力がない」のである。生成AIの活用に関心があっても、誰が調べて、誰が判断するのかという体制がそもそもない。
情報教育やICTに詳しい教員がいればまだいいが、そんな人材が校内にいない学校だって少なくない。
世の中にどんな選択肢があるのかという情報自体が届かないまま、時間だけが過ぎていく。
だからこそ、「とりあえず聞いてみる先」があるということには、それだけで意味があると思うのだ。
営利企業の取り組みであることを踏まえて
もちろん、窓口を設けているのは営利企業である。
究極的にはプロダクトの導入につなげたいという動機はゼロでは無いだろう。商談が全面にくることはないだろうけど。
ただ、その事情を差し引いても、構想段階から壁打ちに付き合ってくれる外部の窓口があるのは、現場にとって悪い話ではない。
特に「何から始めればいいか分からない」という段階の学校にとっては、頭の整理のきっかけにはなる。
自分がやや気になるのは、こういう情報が本当に届いてほしい学校に届くのかという点だ。生成AIの活用に前向きで、すでにアンテナを張っている学校なら、プレスリリースにも自然と目が行く。
しかし、そもそも情報収集の余裕がない学校、ICTの推進体制が手薄な学校ほど、窓口の存在を知らないまま終わってしまう。情報格差が取り組みの格差にそのままつながっていくのは、生成AIに限らず教育現場でずっと繰り返されてきたパターンだ。
「相談」の入口を増やすこと
生成AIをめぐる状況は変化が速い。
学校が自力で全部キャッチアップし続けるのは、正直なところ無理がある。だからこそ、外部に頼れる先が複数あることが大事なのだと思う。
今回のスタディポケットの窓口は、そういう「入口」のひとつとして見ればいいのだろうと思う。
人手が足りない、知見が足りない、時間が足りない。そういう学校にこそ、外部のリソースを使うという選択肢が開かれていてほしいと思うのである。




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