
中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会の「教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループ」第7回(4月30日開催)の配布資料に、なかなか良い資料が出ている。「【資料1-1】初等中等教育局参事官(デジタル学習基盤担当)提出資料」、タイトルは「学校教育におけるAI活用に関するこれまでの取組」というもの。
教職課程の議論のための説明資料という位置づけなのだろうが、これまでの文部科学省の生成AI関連の取り組みが見開きで一望できる作りになっていて、現場の教員にとっても使いやすい資料だと思うのである。
何がコンパクトにまとまっているか
R4年11月のChatGPT公表からR7年7月までの取り組みが、年表形式で整理されている。
ガイドラインVer.1.0(R5.7)からVer.2.0(R6.12)への改訂、研修動画シリーズ、生成AIパイロット校の指定(R6:66校→R7:281校)など、自分のような人間でも「あれ、いつだったっけ…」と忘れがちな経緯が、見開き1枚で確認できる。
ガイドラインVer.2.0の概要も再録されているので、まだ読んだことがないという人は、この資料から入って、必要を感じたら本文に進むという読み方もできる。
パイロット校の事例が思った以上に具体的
自分が一番面白いと思ったのは、パイロット校の事例紹介である。
校務利用のところを見ると、霞ケ浦南小学校の学校HP記事作成では、生成AI活用前の月6件から13.88件まで増えたとある。八丈町立富士中の時間割作成、沖縄市立諸見小のミニテスト自動化、奈良市鼓阪小の多言語対応(学級通信・学校だよりの翻訳)など、「うちでも使えそうかも」と思える話が並んでいる。
業務時間の削減事例も具体的だ。
学習指導案の作成が90分から30分に、所見の素案が1ヶ月から1週間に、研修報告書が5〜6時間から1時間に、というデータが挙がっている。これだけ削減できるなら……と思うところだが、まあ業務の性質や学校の状況によるという但し書きはある。
学習場面の事例も4校載っている。情報科でPythonアプリ作成、英語科で英作文の添削、国語科の話し合い活動での視点提供、情報モラル教育での生成AIの基本知識といった具合で、教科横断的に並んでいる。
どこから手をつけるか、と悩んでいる人へ
「うちの学校でも生成AIに手をつけたいんだけど、何から始めたらいいか分からない」という相談を、最近わりとよく受けるのである。
そういう人には、まずこの13ページの資料に目を通してみてほしいなぁと思う。
派手なAI活用本を読むより早いし、何より公的な資料なので「どこの誰がやっている話か」が明確である。校内で稟議を通すときも、根拠資料として使いやすい。
特に校務利用の事例は、「自分の学校のあの業務に当てはめるなら…」と読み替えがしやすい。
削減時間の数字も出ているから、管理職に説明するときの材料にもなる。
ただ、数字に踊らされないように
OECD TALIS(2024)のデータも紹介されていて、日本の中学校教員のAI使用率はOECD平均より低い、という散布図がある。これを見ると焦りを感じる人もいるかもしれない。
ただ、同じ資料で引用されているOECDの『Digital Education Outlook 2026』は、生成AIを「学習のショートカットではなく、学習のパートナーに」と釘を刺している。
教員の専門的判断を強化する方向に使うのか、単にタスクを自動化するだけで終わるのか。ここは進め方次第なのだろう。
数字だけ見れば「日本は遅れている、急げ」となりがちだが、現場としては「どう急ぐか」をきちんと考えたいところである。
ともあれ、まずは資料を一読してみることをおすすめしたい。13ページなので、放課後のちょっとした時間で読み終わるはずだ。




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