ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

高校におけるリーディング・ワークショップ実践~振り返りその4・カンファランスの仕方~

Conference Room Dreaming

しばらく間が空きましたが、だいぶ引っ張ったリーディング・ワークショップのカンファランスについての振り返りです。

一番、頭を悩ませ、終わってみてもイマイチまだまだ手応えが分からないのがカンファランスでした。たぶん、継続した期間が短いというのが大きいとは思うけど……。

とりあえず、どんなことをしたのかと併せて紹介していきます。

今回も参考にして、実際に行ったのは"Reading zone"の内容(ただし、この本の中だとカンファランスではなく、チェックインと言っている)です。 

The Reading Zone, Second Edition: How to Help Kids Become Skilled, Passionate, Habitual, Critical Readers

The Reading Zone, Second Edition: How to Help Kids Become Skilled, Passionate, Habitual, Critical Readers

 

断りがなければ、この本を参考にしていると考えてください。

何のためのカンファランス?

正直、一生懸命に本を読ませることだけを考えるのであれば、集中しているときに声をかけなくてもいいんじゃないかという気持ちはあった。

例えば、「プロジェクト・ワークショップ」シリーズのカンファランスはかなり手の込んだものが紹介されているので、授業で実践する側としてもかなり心理的なハードルが高かった。 

読書家の時間: 自立した読み手を育てる教え方・学び方【実践編】 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

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リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)

リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)

  • 作者: ルーシー・カルキンズ,吉田新一郎・小坂敦子
  • 出版社/メーカー: 新評論
  • 発売日: 2010/07/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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生徒のことをよく理解していないと難しいなぁと感じるし、生徒の読んでいる本や生徒にあっている本について非常に幅広く知っていないと無理だなぁと思ってしまう。

そういう勉強をして、しっかりと準備していかないといけないのも事実なのだけど、あまり本を読まない自分には、それはハードルが高かった……。授業準備として間に合わないという問題もあったし、たぶん、名人のようなカンファランスはできないと思って、やらないほうがいいかなぁ…と思っていた。

しかし、”Reading zone”を読むと、もちろん、非常に生徒のことを理解して的確に話をしている様子などが分かるので、すごい大変なことだなぁ…という思うを抱くことにもなるのだけど、そんな教員の心配についても紹介している。

教員たちは生徒がそれぞれバラバラな本を読んでいるときになんて声をかけたらいいかに困っていると言います。彼らは自分たちが読んだことのない本についてどうやって話し合えばいいか困惑しているのです。とりわけ、それぞれの読書する子どもたちと十分に何度も話せないのではないかと心配しているのです(P.66 引用者意訳)

 思わず読んでいて「わかるわかる!!」と言ってしまうところだ。

これについて、この本では「カンファランス」という言い方が重々しく感じさせているんじゃないかといったことを指摘しており、「チェックイン」という言い方の方が自分たちが読書する子どもたちとやっていることを正確に表しているし、そんなに恐れの多いものではないと言っている。

そして、その「チェックイン」、つまり従来の語句でいうところのカンファランスの目的を

全員に「大丈夫だよ」と確信させること

 だと述べている。

この述べ方に思わず目から鱗が落ちた。

自分は曲がりなりにも国語の教員なんてことやっているので、本を読むのは呼吸のようなものだから、「大丈夫かどうか」なんて考えたりはしなかったのだけど、自分の生徒の様子を思い浮かべたときに「本当にこんな読書でいいの…?」というような態度に見える生徒は少なくない。「この本を読んでいいですか?」と聞く生徒が本当に多い。

自分としては「好きな本を選んで、好きなように読む」ということが重要な権利だと思っているので、その手の質問に対しては「別にいいよー」と気軽に答えていたけど、確かに視点を変えると、その「大丈夫だよ、いいね」という励ましは、読書の習慣のない子どもには重要な気がしてきた。

重要なのは「内容についての口頭でのテストではない」という指摘の通り、本を「一緒に」楽しんでいるという場所づくりが重要なのだろうなぁと感じる。

カンファランスの内容

そんなことを思ってから、カンファランスの内容についてはあまり肩肘張らずにやろうと思った。そのため、自分が生徒とカンファランスした内容としては以下の通り、あまり多くない。

  • 今、何を読んでいる?
  • どのくらい、その本を読んでいる?
  • その本の著者について知っていることは?
  • どんなきっかけで読もうと思ったの?
  • どんなあらすじなの?
  • どんなところが面白そう?面白かった?
  • 難易度はどう?自分にあっていると思う?
  • 同じ著者の他の作品やシリーズの続きを読んでみる?
  • 次に読む本は決まっている?
  • 前に読んでいた本と比べてどう?
  • その本は今日、借りていく?
  • 家で本を読む時間はありそう?
  • どんなところがおススメ?
  • 同じ本を読んでいる人は……だけど、話してみた?
  • 集中できていないけど、本がつまらない?

まあ、こんな感じです。これも”Reading zone”のP.68の「質問一覧」を参考にしています(実際、本書の中の質問の数はこれよりもはるかに多い)。

心がけたこととしては「読んだ本や読み方について良し悪しを言わないこと」だ。特に、読んでいる本に対しての反応についてはかなり神経を使った。

どうしたって人間だからね……好き嫌いはある。でも、嫌いだからと言って自分が嫌な顔をしたら絶対に生徒の気持ちを挫く。それだけは避けたかった。

比較的、マンネリとしたなぁ……という印象はあるけど、話をできた教員の方からすれば生徒がどんな本に興味があるのかを知れたのはかなり大きい財産だ。自分が知らなかった本を発見したのも大きい。 

s-locarno.hatenablog.com

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来年以降の学級文庫や読書案内作成に活かしていきたいなぁと思う。

また、こういった軽いカンファランスであっても「いつか読みたい本リスト」の作成や「次に読む本」の決定には結構影響があったんじゃないかなあとは思う。生徒の様子を見ていると「次に読む本」があまり決まっていないということは多いので、次に読む本の話をカンファランスで振っておくと、読書に切れ目がなくなっている印象。結果的に、こういうフリが生徒が書店で本を買ってきたり…ということにつながったような気はする。

また、「つまらない本をやめること」については、意識的に話をした。例えば、読んでいて眠そうにしていたら「自分にあっている?やめてもいいんだよ」という話をしたり、難しい本を読んでいる生徒には「分かるところの読み飛ばしでまずはいいよ」と話したりすることで、精読だけが読書ではないことは話したつもりだ。

カンファランスの進め方

実際にカンファランスは1,2分で終了。だいたいクラスの半分くらいを一回の授業でやれたかなぁという感じ。

ちなみに、何を話すかということは授業前に大福帳のコメントなどの資料を読み、結構、山を張っている。 

s-locarno.hatenablog.com

どの生徒から話すかということについては、特に決めていない。図書室が狭いので声かけやすいところから適当に……。

カンファランスの記録の取り方は、初めはクリップボードに生徒の名簿を片手にやっていたけど、管理と一覧性が悪いのですぐにやめる。

最終的に自分がたどり着いたのは「ポストイット」と「Evernote」による管理だ。 

ポスト・イット ノート 超徳用 75x75mm 450枚 パステル CP-33SE

ポスト・イット ノート 超徳用 75x75mm 450枚 パステル CP-33SE

 

要するに、一枚の紙で管理するのを放棄して、デジタルに頼ったということだ。

持ち運びという点で行けばポメラでいけないかなぁ…とも考えたけど、タイピングの音がうるさいのと「整理」にはあまり向いていないので断念。

自分のカンファランスの記録と整理の手順は以下の通り。

  1. ポストイットは一人一枚。
  2. ポストイットの一行目に日付と生徒指名を書く
  3. カンファレンスで生徒から聞いた重要な情報(読んでいる本、読書についての生徒の自己評価、好きな著者やジャンル、次に読む本、どうやって本を見つけたのか、普段の読書の様子など)のキーワードをメモする。
  4. カンファレンスを終えて、次の生徒に行く前にポストイットの余白に今のカンファレンスの内容で重要な点を文章でまとめる。(3と併せても4行程度)
  5. 記録したポストイットをクリップボードに貼っておく。(授業で20人やれば20枚のポストイットが溜まることになる)
  6. 授業終了後、ポストイットをスマホからEvernoteに取り込んでいく。ご存知の通り、Evernoteはポストイットを補正して自動的に読み込む機能がある。
  7. Evernoteのノートに必要があれば、大福帳の写真を添付したりメモ書きを残す。
  8. 次回、カンファレンスするときは、名前で検索すると過去の一覧が並ぶ。(名前をタグにしてもいいけど…面倒だった(笑))

Evernoteはクラスごとにノートブックを作り、ノートには…

  • ノートタイトル…日付+生徒指名(例:20170219山田太郎)

というルールだけ設定し、あとは比較的自由に使ってみた。生徒の読んでいる本の表紙を取り込んでみたり、次に勧めようかと思った本をメモしてみたり……。

Evernoteのクライアントの動きが緩慢なことを除けば、見やすいし、時系列にも管理しやすいし、追記などもしやすいので非常に便利。もし、容量に余裕があるなら、音声データを取り込むという手もあるかもしれない。

ポストイットを使わないで、Evernoteに直接書いたらどうか…という意見もあるかもしれないが、クライアントの反応が鈍いことや、カンファレンスが「生徒とのやり取りに意味がある」ことを考えると、スマフォを打ちながら…というのはやや見た目がよくないと感じたのでやりませんでした。

ノートの枚数が多くなってきたら生徒ごとにマージしても時系列に並ぶので問題ないのもいいところですね。

Evernoteで学習のポートフォリオを作るというのはちょっと今後も色々なところで試してみてもいいかなあと思っています。

まだまだ難しいカンファランス

最初にも書いたけど、カンファランスは継続してこそ意味がある。特に、できることなら毎日、毎日でなくても二日に一度くらいはやりたいなぁという感覚がある。

でも、今の自分のやりかたではまだまだ引き出しが少ないし、必然性がないように感じる。

大きな課題があるところであるので、ぜひ、色々な意見をお聞かせください。

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