ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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本当にこれでよいのか、大学入試英語試験

high brow

最近、また読売新聞で大学入試新テストの特集が始まりましたね。

読売新聞「教育ルネサンス」

本当にいいの?

本日(2017年7月7日)の朝刊ではそれに関連して10日に行われる有識者会議の見通しを紹介しています。

www.yomiuri.co.jp

大学入試センター試験に代わって2020年度から導入する「大学入学共通テスト(仮称)」の英語について、文部科学省は23年度まで大学入試センターが作成する従来型のマークシート式試験と実用英語技能検定(英検)などの民間試験を併存させる方針を固めた。
10日に開く有識者会議に提案し、了承される見通しだ。20年度から民間試験に全面移行する案も検討したが、高校や大学の反対もあり、当面は大学側がマークシート式か民間試験、またはその両方を選択できるようにする。

まあ、以前に報道された内容と大差があるわけではない。 

www.s-locarno.com

以前から言っているけど、自分は英語を外部試験に丸投げする入試改革には反対である。ここで実施が24年度まで併存が決定されれば、ある程度議論の余裕もできるのかもしれませんが、ここ数年のTEAPの優遇されっぷりやスーパーグローバル大学の縛りで四技能を試せとなったりと、形式的にセンター試験が残っても、結局、なし崩し的に外部試験を受けていないと不利になるという状況になることが恐ろしい。

反対する一番の理由

何度も繰り返し述べているけど、外部試験に頼ることを根本的に反対しているのは、受験料の高さと地方と都市の受験会場の格差だ。 

www.s-locarno.com

四技能を試すタイプの試験はとにかく受験料が高い。試験によって差があるので一概には言いにくいのだけど、1万円前後は当たり前にかかる。

また、読売新聞の記事でも出ているが、高度な面接試験になれば地方での受験は難しく、現状は都市に有利で地方に圧倒的に不利という構造ができている。

自分も奨学金で高校に通っていた人間なので強く思うが、入試のための外部試験で数万円も飛んでいくとなると、別のことができない。現金があるかないかって大きいんだよ……。参考書を買うのだってただではない。

いくら外部試験に補助を出すと言ったって、受験料の引き下げを求めるといったって、外部試験をやめればいいだけの話である。補助を出したって今までは要らなかった出費が負担として増えるのは変わらない。高3の本番2回に受けるだけの人と幼少期からバンバンと受けまくって試験慣れする人が公平なのか?

入試の模擬試験を引き合いに出すかもしれないが、料金の負担感と会場の数が違いすぎる。どうしても外部試験を使いたいなら「センター試験並み」の料金と規模で展開できるのが大前提である。

バカにされているんじゃないの?現場の英語教育

これも前から主張しているけど、「外部試験で英語力を測るのであれば学習指導要領も教員免許も必要ない」んじゃないかね?

検定教科書を作るコストや時間をその分、国語教育にでも回してくれるなら許せる*1が、そういう訳でもなく、学校の基準と外部試験の基準がいびつな形で並立することになる。

英語民間試験で実力向上 長崎・海星高、入試結果と相関性

こんな記事があるけど何だかなあ……タイトルでは「実力向上」と書いて、本文では「分析すると入試の結果と英検の合格率に相関性が見えてきた」なんて怪しい分析を紹介しているけど、もう色々めちゃくちゃだよなぁ…何のために英語を教えているのか。

そもそも外部試験で成果を測るというのは、自前の持っている人材や設備では自分の掲げている教育目標を評価できないと公言しているようなものである。

授業は好きにやるけど、生徒の実力は分からないから模擬試験を受験させて模擬試験で評定をつけますっていいだすのと同じだ。…やっている学校ありそうだな。

まあ、英語教育がやっていることも英語の教員もあてにならないから、世間受けのよい外部試験をやろうという魂胆が下品だ。

外部試験ではなく、自前で揃えるべきである。それができないでいる不備を受験者のコストに転嫁してくれるな。

とにかく反対を続ける

英語ができるようになることを反対なのではない。制度に反対すると英語そのものができることを反対しているような扱いをされるのも本意ではない。

今の制度設計がとにかく悪い。その悪さを機会あるたびに言い続けたい。

*1:冗談である

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