仕事を納めて休日1日目。
散髪の後にスタバで読みたかった本を次々と読んでいます。本日は目下の積ん読であったこの本。
中学校 国語授業づくりの基礎・基本 学びに向かう力を育む環境づくり (シリーズ国語授業づくり)
- 作者: 安居 總子,甲斐 利恵子,日本国語教育学会
- 出版社/メーカー: 東洋館出版社
- 発売日: 2018/08/09
- メディア: 単行本
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ページ数は多くないのに、圧倒的なボリューム感を感じました。
入門書であり必携書であり
この本は若い先生方がよりよい授業を作るための手がかりとなるような考え方や観点をQ&A方式でまとめたものである。
基本的には「国語の授業づくり入門」として位置づけられるような本である。敬体で書かれているのも、読みやすく、わかりやすく、初学者への配慮なのだと思うし、実際、複雑な話題は出てこない。研究に関する引用も、分かりやすく、重要な観点に絞られているし、生徒のノートや実際の授業の配布物の見本などが載せられており、すぐに授業の様子がイメージできるものになっている。
本格的に自分で何か資料を探して……という使い方をするには、参考文献などはあまり書かれていないので難しいかもしれないが、すぐに形を真似してやってみようという使い方のできる本である。
しかし、この本の真価はそれだけではない。
確かに、引用や参考文献は少ないのだが、百戦錬磨の著者が、自らの授業づくりの手の内や価値観を惜しげもなく披露しているのだ。その内容のブレのなさに、授業づくりに慣れてきた教員の視点からすると、畏敬の念を抱かざるを得ないのである。
いや、自分がブレているから反省しながら読むことになっているのだろうと思う。
例えば「学習の手引き」の作り方に対するコメントとして、「まずは自分でやってみる」ということがかなり強調して述べられているが、授業づくりとして当たり前にやらなければいけないことだとわかっているのだが、いざ、自分の立場になるとそれを曖昧にしてしまいがちである。そんな甘さに対してピシャリと釘を刺されるような、そんな感覚を持たざるを得ない記述が書かれているのである。
プロフェッショナルとして心構えとは何か、指導するとはどういうことか、子どもを評価するには何が必要か、一つ一つの当たり前を当たり前に出来ているのかということを突きつけられるような本なのである。
だから、初学者にとっては手本として丁寧に学び、授業に慣れた気になっている教員は初心を取り戻すべく、姿勢を正して読み直さなければいけない一冊である。
精選されているからこそ何度でも読み直す
情報としては非常に精選されている。もっと色々な観点や色々な工夫の方法はあるはずだし、そうでなければそもそもこの「授業づくりシリーズ」がシリーズで刊行されている意味がない(笑)。
この「授業づくりシリーズ」の中の一冊として「授業づくりの基礎・基本」と銘打たれたことの意味を感じるのである。
「基礎・基本」として何を考えるか、非常に難しい問いである。その一つの答えが述べられている。
そして「基礎・基本」だからこそ何度も立ち返らなければ行けない場所である。「基礎・基本」とは容易であるという意味ではないのである。