リベラルアーツが最近話題になっていますね。どこかの何かのおかげで。
そんなこともあって、文系理系関係なく勉強をしようという意欲を持つ人が増えているらしい?
竹内薫さんの科学解説の本は安定感があるけど、今回の本もお手軽に読むにはよい一冊。
根本は理系文系の二項対立はヘン
アメリカのリベラルアーツの事情などを交えながら、理系と文系の二項対立が日本ではやたらと強調されていることに注意を促すことから本書を始めている。
本来のリベラルアーツの発想から言えば、自分は文系だから…といって理系を勉強しないこともおかしなことだし、バランスよくいろいろな学問を学ばなければいけない。
とはいうものの、今の日本の教育のシステムや社会の見方が「理系」と「文系」を分けてしまっている以上は、その枠組みを前提としてそれぞれの立場をお互いに理解することが大切だろうというのが本書の立場です。
考え方の違いは見える世界の違い
この本の面白いところは、「理系」と「文系」の違いを取り立てて解説するというよりは、「理系」的な考え方をしているとどんな風に物事を捉えようとしているのかということを説明していることだ。
まあ、本のタイトルというか想定する読者が「ど文系」であるせいか、「理系ってこんなに違う見方をしているんですよー」というような説明の仕方がステレオタイプ的な感じもする部分もないわけではない。
それでも「理系はまとめたがる」だとか「文系は入り口は入りやすくても出口は厳しい」などの簡にして要を得る説明はわかりやすい。
社会が変わるときに「理系」を学ぶ価値
この本が力点を置いて書き上げている話は「理系」的センスのトレーニング方法ではない。
もちろん、そういう数学や論理学、科学の話は出てくるのだけど、それ以上に重要なのが、「理系的なものの見方」というものが、どれだけ先の見えないこの現代社会の変化についていくために重要な視点なのかを説明していることだ。
だから、AIの話やIoTの話もあれば、最先端の科学の解説もある。そしてそれを華やかな夢のある未来の話とだけ話すのではなく、この科学の時代に科学が抱える問題点や難しさも説いている。
理系的な整合性だけではなく、文系的な知性からの判断も必要になることを説いているともいえます。
読みやすい本でありながら、ノウハウだけの話で終わらない本です。気軽に読んでみることをおススメします。