心配で心配で始めた羅生門であるが、動き出してみるとギリギリ、何とかなりそうである。
羅生門 蜘蛛の糸 杜子春外十八篇 (文春文庫―現代日本文学館)
- 作者: 芥川龍之介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1997/02/07
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「問う」に値する「問い」を持てるかどうか……時代背景も語彙も異なる近代小説に向き合うのには、必ず必要になるのだなあ…。
言葉にしなければ分からないということが分からない
今、教えている生徒の様子を見ていると、真面目で人もいいのだけど、読んだり書いたりする段になると途端に面倒くさがりになって見える。もう少し我慢強くあれば、きっと面白くなるだろうし、自分の力にもなるだろうに、あまりそこまで粘れないのである。最近、流行のグリットがないとでもいうのだろうか。
やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
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別に話合ったりということにも、それほど苦手意識があるようには見えないのだが、書くということや答えが出るまで粘るということには、途端に粘れなくなるのである。
先人はよく言ったものだが、テレビ番組と同じで15分ごとに別のことをやらせないと集中力が持ちそうもないのである。
どうも、言葉で伝えたりしっかりと論証したりということを面倒がり、雰囲気や空気を読まれることに過度に期待している節があるように見える。相手に察してもらいたいという、厳しく言えば、甘ったれた部分が見え隠れする。
だから、少しでもハードルを下げながら、自分の言葉で書けるようにフォローを入れながら少しずつ前に進めている。初発の感想を上手く編集して生徒が自分で何かを気づけるようにしたり、大福帳で先に手を入れたり……。
正直、時間がいくらあっても足りないくらいに、生徒の感想を読んでいる。
少しずつ楽しくなってきた
生徒の今の考え方や思考の動きを見なければ、とてもじゃないけど前に進まない気がしている。だから、生徒からイチイチ書かせたものを集めるし、それにコメントをつけるし、どうやって生徒を組み合わせるかを考える。
めちゃくちゃ時間が掛かる。
だけど、これほど楽しいことはないなと思うのである。生徒の思考の変化が少しずつ見えてきて、自分の最初の絶望的な「どうしよこれ」というところからすると、びっくりするくらい、速いスピードで面白いところまでたどり着いているので、面白くなってきたのである。
生徒も生徒で、自分の話したことが思った以上に、他人に受け入れられたり違いが明らかになったりと、プチ読書会のようなことをやっていると、意外と難しくて嫌になりがちな小説でも面白く読めそうだという気持ちが出てきているようである。
まさにこんな感じである。
やっぱり授業の根幹は、自分でちゃんと読んだ上で、生徒の書いてくるものを面白がって、一緒に読んでいくことだなぁ。