ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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大妻嵐山中学・高校の公開研究会に行ってきました

嵐山渓谷 Ranzan Keikoku

以前の予告通り、大妻嵐山中学高校の公開研究会に行ってきました。

www.otsuma-ranzan.ed.jp

今回のアクティブ・ラーニングを徹底した研究会はかなり大規模なものです。埼玉の私学でここまで徹底してALを前面に押し出した研究会は初めの試みだけに注目度は非常に高かったように思います。

力のある人が懸命に主導して

大妻嵐山という学校がここまで徹底して授業スタイルを転換して研究に取り組むとは、失礼ながら全く思っていなかった。埼玉という地域柄や大学もついている女子高という性質を考えたら、ある意味、ALのようなことをゼロから始めなくても済む部分はあったはず。

しかし、今回のこの「学校改革」はかなり徹底していたものであり、自分たちから「このままではダメだ」というような意識を持ち「本当に、今の子どもたちに必要なこと」を学校なりに考えて実現しようという強い意志を感じます。

例えば、校長先生の以下の挨拶文を見ていただくと、その勢いを感じます。

(校長室から)公開授業研究会「生徒達を自立した学習者に」 | ニュース・お知らせ,校長室から | 大妻嵐山中学校・高等学校

時代がどのように変わろうとも、生徒たち、特に女子中高生が、自分自身の能力を信じて自信を持って自分の人生を切り拓いていくためにはどんな力が必要なのかを、これまで学校として、考え続け実践してまいりました。そこで目指した大目標は「生徒たちを自立した学習者に変えること」。(中略)教員個人の意識や実践力にはまだまだ相当のばらつきがありますが、「生徒たちが自立した学習者となる」ために、それぞれが工夫して様々な要素を持った授業の開発を進めることができるようになりました。(2017年11月11日21時確認 強調下線は引用者)

かなり校長先生が強いリーダーシップを取って、現場の教員を説得し、鼓舞して、本日までたどり着いたということですが、何か大きな改革をするときにはやはりビジョンを持ったリーダーの必要性を感じます。

そして、それについていこうとする体力が残っていることも学校としては強みであったわけで……本当に一人一人の教員の方も苦労されたことだと思います。

本日の校長先生の学校の取り組みについての話で素晴らしいと思ったのが、現場の教員が個々人で好き勝手にイメージで教育談義をしているのではなく、学校を挙げて専門家に意見を伺いながらも「自分たちがこういう生徒を育てたい」ということや「こういう力が必要だ」ということを明確にビジョンとして組み立て、そこから一つ一つの取り組みを見直し、意味づけている。本日の配布資料の中に、そのビジョンが誰が見てもわかるような形でまとめられているのですが、これはぜひ色々な人に見てもらいたいなぁと思います……残念ながら学校のホームページにはまだ見当たりませんが。さすがに勝手にアップロードするわけにもいかないので残念です。

学校を挙げての取り組みを目指している

この手の学校改革で難しいのが、教員が一致して取り組めるかということだ。自分の勤務校では以下略なので、ここまで徹底しているのは校長のリーダーシップの強さもそうでしょうし、先生方の前向きな姿勢もきっとあるのだと思います。

そして、そうして新しいことに取り組む先生方を孤立させないための工夫もかなりされていたように感じます。

例えば、職員研修にしても月に1回以上で継続して行っているようですし、各先生方もご自身で色々と勉強されているようです。

また、「授業デザインシート」が以下に公開されています。

公開授業研究会 デザインシートのダウンロード | 大妻嵐山中学校・高等学校

見れば分かる通り、教科や学年を問わずに、ある程度統一した書式で書かれている。書式が統一されていれば、教科学年を問わずに、学校の目標に向かっているかどうかという観点でお互いに検討できる。教員同士で繋がるための条件が整っている。

また、本日の基調講演では、東京大学の中原淳先生が話されていました。

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中原先生のお話で何度も出てきた現代社会の問題やそれに対して学校が担わなければいけないこと、それらを自分たちの学校に合わせて考えているという姿勢がよく分かります。

問題を見える化して、具体的に対処する。イメージできないものはマネージできない。そんな言葉をしっかりと実践されていることに心強さを感じます。

さて、問題は何だろう?

さて、べた褒めしてきたのですが、実は今日の研究会で深く引っかかっていることがあります。

それは、改革の中心になるべき「教科の授業」についてです。

ICT機器もかなり整備されていますし、授業の型もALを意識して整ったものになっているし、パッとみるとかなりきちんとAL型の授業が実現できている……ように見えるのです。

ここまで全校を挙げて、全員の教員が実践できているってことは非常に高度なことだし素晴らしいことです。しかし、しかしです、それでも授業については言わなければいけないと思うのです。

一つ一つの授業を微に入り細を穿つように批判してもしょうがないので、根本的なことを言うならば、今の段階の授業のあり方はいわゆる「一斉アクティブ・ラーニング」になっていると強く感じるのです。

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全校を挙げて取り組むからこそ、まずは「型」からとなっている…のは間違いないのでしょうけど、やっぱり思うに、まだ授業観が「教員主導」になっている部分はあるんだろうと思う。もちろん、一斉授業、講義型が悪いわけではない。そして時間のバランスの問題でもない。単元の最後の成果にたどり着くのは教員の力量なのか、生徒自身の力だと思うのか、その違いを埋められていないような感じがする。厳しく言えば、授業の主役がまだ教員であって、本気で生徒に委ねられきれていないように思う部分ある。しかし……おそらくこの部分は過渡期的な問題だろうと思う。まず変わったということで、今後数年で大きくパラダイムシフトしていき、本質的に変わっていくことだと思う。

教科的な面を言えば……正直、かなり言いたいことはある。

しかし、問題としては根本的に様々な国語教育の実践の成果が、特に高校についてはほとんど現場の教員には伝わっていないのだろうなと感じる。例えば、日本国語教育学会などの学会や各種研究会などはありますが、そこでは非常に素晴らしい実践が蓄積されています。しかし、そういう成果について、なかなか現場の教員はアクセスできていないのだろうなと強く感じました。

繰り返しますが、特に高校の実践はやはりかなり「知ること」自体が困難なようですね……。古典の授業など訓詁注釈にならない優れたものはいっぱいあるのですけど…。

逆に言えば、こうしてブログでもいいから実践を共有していく意味はあるのかな。

きっと大きな変化が起こっていくはず

一つの学校が大きく変われば、それに伴って周辺も大きく変わるはず。

そうして、全体のレベルが底上げされていく。それはきっと教育という環境にとってとてもよいことだと思う。

こうして、初めに一歩踏み出していった大妻嵐山中学高校に敬意を表したいと思います。

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