そんなわけでまとめの三回目です。あと二回くらいで終わりにしようと思いますが。
今回は、初日中止の影響をもろに受けて、一番、圧縮されてしまったプログラムの部分のまとめです。
高校の「これから」わたしたちが伝えたいこと
このプログラムは本来、一日目のメインプログラムになる部分でした。それを無理やり圧縮して二時間位で収めようという企画なので、相当に口惜しいことになりました。一つの発表につき10分くらいの持ち時間ですから……予告編でおしまいというもったいないことに…。
あぁ…台風よ、なぜこのタイミングでやってきたのか。
以下にセッションの様子を紹介しますが、メモの分量の違いは話し方の違い(トーク中心かスライド中心か)や自分が別の作業(示された資料の確認や調べ物)をしていたかということによってばらつきがあるのでご了承ください。
はじめに 中原淳先生
マナビフェスってなんだろう?
→「視線の上げ下げ」が大切。
- 目線を上げる、中長期的な視点で教育を見つめる目。
- 明日のアクションを考える。シャバを見つめよ。
桐蔭学園佐藤透先生 成蹊大学平野多恵先生 大学と高校をつなぎ実現するアクティブラーニング
佐藤先生 本質ってどこまで教えればよいのだろうか。授業でできることできないこと。
平野先生 日本文学アクティブラーニング研究会の取り組み
中原先生のコメント
→企業で言うところの「越境学習」と近いイメージ。既存の枠を超えていくことの意味。*1
大妻嵐山高校 真下峯子先生 義務教育を意識したカリキュラムマネジメント
今の状況にかなり大きな課題意識がある。教員が一生懸命面倒を見ていても生徒の学力が伸びない。なぜ、伸びないのかという事をちゃんと考える必要がある。
ある奨学金の選考委員で大学生を面接するが、学生が自分のことしか語らないということに対する違和感。
学習指導要領の改訂に伴って、新しい教育課程を作っているが、悪戦苦闘している。教員に対して学期末の成績会議で「コンピテンシー・リテラシーは育てられたか」という質問を投げた*2。
成績を伸ばしきれていないことを考えるためにも、小中でどのような能力が付けられてきているかをきちんと評価しなければいけない。また、企業の人事が「若者が育たなくなっている」ということを感じ始めているように、社会での若者が人材育成が機能不全に陥ってきているという現状がある。様々な取り組みが必要になってくるのではないか。
筆者注
ここだけ非常に分量が多くなっていますが、これは大妻嵐山さんに見学に行ったことがあるので自分の興味が強かったからです。
ここまで徹底して変わることを選んだ学校はどれくらいあるのだろう。勤務校と比べると絶望的な気分になりますが。先生方も苦労しているようですが、学び直そうとしている活気自体が羨ましい。
岡山県 林野高校校長 三浦隆志校長 探究学習について
教師もメタな立場に立って、学び全体を考える必要があるのではないか。
→問いを設定できない。適切に問いを設定できないので、課題解決できない。きちんとよい問いを立てるということを学ぶことが必要ではないか。
筆者注
こちらのコメントの量が非常に少ないのですが、実際のスライドの情報量が多いため、メモしにくかったということと、探究学習についてはPBL絡みのことがあり、自分自身の調べものがけっこうあったので、こういう結果に……。
鴎友学園女子中高校 吉野明先生 ルーブリックは入試に活かせるのか
中原先生のコメント
セルフコントロールはあらゆる面に影響を与える。一方でそのことを入試に位置づけようとするときに、何が起こるのかは問題である。
評価することにどれだけ金をかけるのかという事の社会的合意がない。真剣に考えるべき。
筆者注
これもスライドでの話が多かったのでメモが取れず。
岩手県花巻北高校 下町壽男校長 カリキュラム・学校改革を進めるためのマネジメント
本来のマネジメントはハッピー、楽しいものでなければならないのではないか。他の領域に転移するものではないか。本当に大切なものを大切にするものではないか。
筆者注
話が面白くて、メモするの忘れました。
印象深かったこと 中原淳先生
- 「つながり」 教育機関をつなげる・前と後を意識
- 「探究」や「アクティブラーニング」を評価 誰がどのていどコストをかけるのか。
- マナビを生み出す学校をいかにマネジメントしていくのか。
- やらされ感満載のマネジメントから教職員のハッピーを生み出すマネジメント
- 従業員満足は企業経営戦略が当然である。なぜか、学校は教職員の多忙感や満足度が低い。それは経営活動になっていない。
- 教員自身は「アクティブ」か「探究」しているのか。
ポスターセッションの部
午後は当初の予定通り、各学校の実践を発表するポスターセッションでした。会場が狭すぎると苦情を言いたくなるくらいの大盛況でした。例えるならコミケみたいな感じですね、はい。
このポスターセッション、非常によい試みですね。どうしても各学校の実践…もっと言うなら各個人の先生の取り組みというものは誰にも知られないうちに埋没しがちです。
しかし、ポスター発表という形で、しかも教科や校種を無関係に交流し合えるって非常に面白い機会でした。
また、企業も色々な取り組みを発表しているのも斬新でした。教育支援産業の技術やそれを導入している学校がどうなったかということを知れることもとても楽しい。
こういう形でのポスターセッションってもっと増えていっていいんじゃないかと心から思いました。溝上先生もオープニングセッションで、来年はもっとこのポスター発表の数が増えて欲しい(今年も相当な数がありましたが)と言っていたのもよくわかります。
来年は自分もここでポスター発表しようかなぁと思いました。教科関係に持っていくと雑なこと出来ないで息苦しいところもありますが、こういう場ならざっくばらんに思いつきというかまだ形になりきれていないアイデアなども話せそうですし。
何より新しく知り合いが増えるのがいいですね。
余談ですが、サイン本が売っていたので買ってみました。すでに持っていた本なので、図書室にでも置こうかなと。
アクティブ・ラーナーを育てる高校―アクティブ・ラーニングの実態と最新実践事例
- 作者: 中原淳,日本教育研究イノベーションセンター
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2016/12/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まとめ
この会のメインとも言える現場からの発信のプログラムでしたが、本当に台風で時間が短くなってしまったことが惜しまれます。
こういう距離感の近い会で意見交流してみることで、その学校がどうしてそれをやろうとしたのか、何をやりたかったのかというような願いが見えて非常によいですね。
理論と現場の実際を往還しながら、目の前の子どもの10年後を見据えて、きちんと伸ばしてあげたいという願いが共有できている会だからこその有意義な交流の場であったと感じます。