ようやく少しずつ体力が戻ってきたので、自分の授業のための勉強を再開しようとしてます。やっぱり、勉強してきたことをちゃんと活かさないと外に出ていったことに意味がないですからね。
ただ、そんな中でKindle Unlimitedに引っかかって先に中々な進まないという体たらく……。光文社の本が読み放題なので、ついつい読みたくなってしまうんですよね…。「三文オペラ」とか読もうと思っていたので、タダで読めるのであればついつい…。
しかし、そんなことを言ってもいられないので今後の読書予定を並べておきます。
国語教育のアクティブラーニング
この前の国語教育学会の販売されていたので、適当に買ってきた本をそろそろ読まないとなぁと思っています。
本当は、ブックトークや作文教育関係の本を買ってはいるのですが、頭がまだちゃんと働かないので楽して読めそうな方から手を付けようというわけです。
主体的・協働的に学ぶ力を育てる! 中学校国語科アクティブ・ラーニングGUIDE BOOK
- 作者: 冨山哲也
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 2016/06/30
- メディア: 単行本
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明治図書から出ている現場向きの二冊。
中1から中3までの定番教材についての実践例が載っているので、授業作りのヒントにしやすいでしょう。
もしくは、そのままコピーして同じことをやっても、ある程度は成果がでるように意識しているのだろうと思います*1。
一冊目のほうは、「論点整理」の観点を意識した、単元で授業方式や学習活動の対応表がある辺りが親切。
つまり、「この単元ではこういう学びを達成することを狙っている」ということと「学びを達成するためにこの言語活動を設定しる」ということの二点を明示しているので、授業の構造をとらえやすいのです。
したがって、自分の教材が違っても、自分の授業にアレンジするときに「ものまね」にならないで済むためのヒントがあります。
二冊目のほうも、指導案の形式に則って、単元の狙いや観点別の評価規準が記述されているので、現場の教員にとってはわかりやすいかと思います。
また、各単元ごとに「ALの視点での授業改善のポイント」という形で、「今までの授業の問題点をどのような授業設計で乗り越えようとしているのか」が明示されているのがやはり親切。
「実践書」について思うこと
と、上記二冊について「実践」についての内容が「わかりやすくていいですよ」というような書き方をしましたが、実際、しっかり読むべきは個々の「実践」の内容ではないんだろうなぁという気がしています。
教員の立場としては、すぐに授業につながる実践例が豊富にあることや、どんなことを目標にすればいいかわかることや、今までとの違いがわかることは非常に親切でわかりやすいので、それだけで満足度は高いのです。
しかし、そういう気持ちは分かっても、本当に丁寧に読むべきは実践ではないとしておきたいのです。
前者の吉川芳則先生の本では、第一章に改定の経緯やアクティブ・ラーニングの定義などを簡単に説明しており、国語科の言語活動との関係などを簡単に解説しています。
後者の冨山哲也の本では、Chapter1では「アクティブ・ラーニングの視点」がどのようなものかということについて解説されており、Chapter2ではその視点を実現する指導技術についての解説がされています。
理屈について厳密に考えるような時間がなかなか取れないからこそ、実践例が多いことを「親切」に思うわけだけど、やはり、実践例をなぞるだけに終始しないためには、こういう本の序章で述べられていることをそれなりに理解しようとすることは必要だろうと思う。
たとえば吉川先生の本では、松下佳代先生の『ディープアクティブラーニング』についても触れながら説明をしてくれています。
この本を真っ向から取り組んで読むのは相当に骨が折れますし、直接的にどのように教科につながるかは見えてきません。
その意味では、研究者がかみ砕いて教科とのつながりを示してくれていることを読まない手はないわけです。
どうしてこんなに理屈にこだわるのか
自分が理屈っぽい性格をしているというのは否定できませんが、今の子どもたちの様子を見ていると、経験や勘でなにか言えるような単純な状況にはないと感じていることが大きいです。
たとえば、元気なようにしていても、びっくりするほど自己肯定感が低く、話すことができなかったり、まじめに活用しているようで教師の顔色を窺うだけで思考をしていなかったりするなど、「見た目」だけではわからない部分に色々な問題があると感じているのです。
さらに言えば、この一連の教育改革の中で、百家争鳴で好き放題に言っている人が多いことにも危機感がある訳です。
真面目に考えて意見が対立するならいいが、自分のやりたくないことをやらないための言い訳としてこの改革の流れが使われるのには危機感があるのです。
研究者ではないからこそ、アクセスしやすいところからきちんと学ぶべきだろうと思っています。
*1:もちろん、コピーして持ってきた枠組みをやらせることが、「アクティブ」という言葉と対極にあるという問題はあるのだけど。