明日からいよいよ授業です。今年度も無事、一年間過ごせるように努力していきます。
昨年度はリーディング・ワークショップに取り組み、少しずつ生徒に読書に親しんでもらいました。
今年もまとまって継続的に…とはいかなくても、定期的にリーディングワークショップの時間を取れるようにはしていきたいなぁと思っています。
そんな中、「読書」を定着させると謳った本があったので読んでみました。
リーディング・ワークショップを通して「読書習慣の定着」ということの難しさを感じただけに内容が気になりました。
読書を難しく考えないことの大切さ
この本の著者は「フローリーディング」を提唱している方で、以前、このブログでも書評を紹介しました。
印南さんの主張としては、上の記事と同じく「読書に対して気難しく構えないこと」だ。
どうしても僕たちは読書を「勉強の一種」「難しい行為」としてとらえてしまいがちです。そしてその結果、「読み逃しがあってはいけない」「すべてを理解できなければ意味がない」というように、まるで修行かなにかのように難しく考えてしまいがちなのです。(PP.8-9)
この意見はリーディング・ワークショップの際の生徒からの感想としても非常に多かった。自分で買った本や図書館で借りた本は最後まで読み切らなければいけないというプレッシャーがあるから、あまり本を持ちたくない……という思考をしている人はとても多い。
本書でもそのような考え方のことを「無駄なmust」と呼び、次の二つを挙げ、そのようなものを頭の中から排除することを提案している。
(P.32)
- 熟読し、書かれていることのすべてを頭に叩き込まなくてはならない
- 時間を効率的に使うため、速読しなければならない
特に1については普通の「国語の授業」が生徒にやらせているようなことだからこそ、生徒が読書に対して抱きやすいイメージだ。
このイメージを排除することから始めようというのだ。
誰のための読書なのか?
そのような強迫観念に対して「自由であることが読書の本質」だと主張する。
「読書は自分のためだ」ということを強調してきました。そう、誰のものでもなく、読書は自分のためのものなのです。これはとても大切な考え方です。(中略)少なくとも読書だけに関していえば、ワガママは正しいことなのだと考えましょう。(P.42)
このあたりの話はペナックの「奔放な読書」の読者の権利でもお馴染ですね。
- 作者: ダニエルペナック,Daniel Pennac,浜名優美,浜名エレーヌ,木村宣子
- 出版社/メーカー: 藤原書店
- 発売日: 1993/03
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 11回
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このブログでも何度も取り上げているのでお馴染ですね。
第一条 読まない権利
第二条 飛ばし読みする権利
第三条 最後まで読まない権利
第四条 読み返す権利
第五条 手当たり次第なんでも読む権利
第六条 ボヴァリズム(小説に書いてあることに染まりやすい病気)の権利
第七条 どこで読んでもいい権利
第八条 あちこち拾い読みする権利
第九条 声を出して読む権利
第十条 黙っている権利
生徒の中でも圧倒的に人気だったのはこの読者の権利でした。
読書を習慣づける工夫は面白いかも
ちなみにこんな記事を書かなくても著者本人の書評があります。
上のサイトを見てもらうと「読書習慣が身につく「お預け読書」」を図表入りで紹介している。
上のお預け読書は読書に限らず、苦手なことを続けようとしている人が他のことにも応用できるかもしれないですね。
読書を続けてもらうというのは難しい
”Reading Zone”の中で高校になると生徒がアトウェルの学校を卒業した後、高校で読書を続けられないことを問題視していることが書かれていた。
The Reading Zone: How to Help Kids Become Passionate, Skilled, Habitual, Critical Readers
- 作者: Nancie Atwell,Ann Atwell Merkel
- 出版社/メーカー: Scholastic Prof Book Div
- 発売日: 2016/11/16
- メディア: ペーパーバック
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自分もリーディング・ワークショップをやってみて感じたが、とにかく時間をまとまって時間を取れない生徒が読書を続けていくことは難しい。
アトウェルでさえもそうなんだから況や凡人をや…。
できるだけ、生徒にとって面白いものとして読書が定着すればいいなぁと、今年も悪戦苦闘していくのだろうなぁ…。