昨日の記事では自分が校内研修で何を使って輪読したらいいのかなあという話を書きました。
昨日の記事は「自分の職場で」という縛りがあったので、今日はその縛りを放って、今まで自分が読んだ本で他の人と感想をシェアしたいと思う本のリストを挙げてみます。
好きな本は自分自身である
ここに挙げていく本は、結局自分自身の価値観に大きく影響を与えている本たちだと思う。ある意味、自分の履いているパンツをさらすようなものであるけど、一体、自分がどんな人なのかを知ってもらうのにもいいかもしれない。
教員としてのスタートライン
教員養成課程なんてけったいな大学の出身なものですから、二十歳そこそこのころに読んだ本にも教育関係の本は多く、それに影響を受けて育った自覚はある。
どうしても、はま。まずはここからにならざるを得ない。いかにしてはまを乗り越えるか……。はまに限らず、多くの先達たちの紹介はこの本を共有したい。
この本のおかげで教科を超えて、本質的によいものを求めようとすると似たような方向があるんだなぁと何となくイメージをもって生きています。
続・教育言説をどう読むか―教育を語ることばから教育を問いなおす
- 作者: 今津孝次郎,樋田大二郎
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2010/01/15
- メディア: 単行本
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もうこの本も随分昔の本になりました。いい本だと思っていたのですが、さすがにもうちょっと古いかな。「言説」だけにナマモノである。でも、テーマや分析はちょっとずれてきても、結局、教育をめぐる言説の「いいかげんさ」は今も同じような気はする。
この本は自分にとっては革命的。学校嫌いなのに教員養成課程にいた自分にとって、「生徒に全部任せればいい」という発想は本当に革命的。自分の教員養成課程のスタートはまさにここから始まっているので、特にミネソタニューカントリースクール型のプロジェクト・ベース学習についてはこだわりがあるし、いつか実現したいと思う。
だからこそ、苫野一徳先生の『教育の力』が出たときには「いよいよプロジェクトという発想が日本に広がるぞ!」と心が躍ったのです。
色々なものが今につながっているなあと思う。
教科教育として
国語科の教員であるというアイデンティティは失っていない。たぶん。
あまりに数が多すぎるので、話してみたいのに限ると……
いや、話してみたいし一からすべて輪読したいと思うけどね!でも、これは反則か(笑)。
変化球を投げるならこの本が個人的には好き。児童向けになっていますけど、作文を書くという過程が物語として語られているので、色々な作文についての指導観の話ができそうで面白そうという興味。ライティング・ワークショップなどの現代的な実践と比較したり繋げてみたり考えると絶対に面白いと思う。
最近出たこの本。高校の実践の共有が少ないという話はたまに愚痴っていますが、この本は珍しく高校に焦点を当てた本である。見落としていたので最近まで知らなかったのだけど……。正直、どう書評を書いたらいいか悩んでいることもあり、読書会で意見交流してみたい気もする。
何度も話しているけど、わたくし、日本語学と文法教育を大学、大学院とやっていまして、本当はそっちのほうが好き。特に文法教育をやりたいのだけど、高校にいると機会もなく……。上の本は日本語学や文法教育という訳ではないけど、中高生でも読める言葉に関する本。こういう素材を授業に投げ込むと何ができるかなあとか話してみたい。
リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)
- 作者: ルーシー・カルキンズ,吉田新一郎・小坂敦子
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2010/07/10
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ライティング・ワークショップ―「書く」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)
- 作者: ラルフ・フレッチャー,ジョアン・ポータルピ,小坂敦子,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2007/03/01
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最近の授業の構想でこの二つは大切だよなあと思っている。だからこそ、読書会や勉強会で意見交換をしてみたい。もちろん
In the Middle: A Lifetime of Learning About Writing, Reading, and Adolescents
- 作者: Nancie Atwell
- 出版社/メーカー: Heinemann (Txt)
- 発売日: 2014/11/05
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も、しっかり読みたい。現在、半年かけて二分の一くらい。うーん…もう少し頑張ろう。2018の夏に訳が出るそうです*1し、早く読まないと!
自分が文法だとかに興味のある人なのでこういう方面についての教員の議論の弱さはつくづく感じる。読解力だとか読み深めという話がとても経験的な印象論になっていることだとか、再現性や反証可能性がないようなことを言いがちなのはやっぱり気になる。こういうアプローチがよいかどうかも含めて意見交換してみたい本だ。
たとえば、こういう方面であれば
読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)
- 作者: 秋田喜代美
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2002/11/01
- メディア: 単行本
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秋田先生のこういう方面の著書などもぜひ話してみたいところ。メタ認知だとか簡単に言われすぎですよねーっという気持ちは実はちょっとある。自分も簡単に言いがちだけど、メタ認知って何となく振り返りましたということでもないですよね。
教育全般として
最近はどうしても教育改革の流れを受けて、アクティブ・ラーニングだとかICTだとかの本ばかり読んでいる気はする。
- 作者: 福島真人,ジーンレイヴ,エティエンヌウェンガー,Jean Lave,Etienne Wenger,佐伯胖
- 出版社/メーカー: 産業図書
- 発売日: 1993/11/01
- メディア: 単行本
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最近と言いながら挙げる本が古いのは、上の二冊はやっぱり自分が教育を勉強し始めたころに読んだ本だから印象深く残っているということが大きい。でも、こうしてみると今のアクティブ・ラーニングの必要性を語る言葉に共通するものは感じますよね。
高校・大学から仕事へのトランジション―変容する能力・アイデンティティと教育
- 作者: 溝上慎一,松下佳代
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2014/05/01
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アクティブ・ラーニングをやらなければいけないよなあと思ったのがこの本。アクティブ・ラーニングと言わないとしても「トランジション」ということの重さを感じた一冊。
21世紀型スキルとは何か――コンピテンシーに基づく教育改革の国際比較
- 作者: 松尾知明
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2015/02/25
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この本は国際比較という点が面白い。しかし、自分が海外の教育に疎いので理解が半分くらいしか追いつかない。だから、色々な人から話を聞いて、実際の実践のイメージなども含めて考えていきたいなあと。
これは単純に内容が難しいので意見交換したい。また、省察的な教員になるためのモデルやヨーロッパの実践などが紹介されているため、実践のための一冊にもなる。それだけに誰かと共同して取り組んでみたいという気持ちがある本だ。
失敗事例から学ぶ大学でのアクティブラーニング (アクティブラーニング・シリーズ)
- 作者: 亀倉正彦,溝上慎一
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2016/03/01
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学校ではウケないけど勉強なら失敗事例よね。
プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち―日米18人の学びの履歴
- 作者: 上杉賢士,市川洋子
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2005/07
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十年も前にアクティブ・ラーニングなんて言わなくても、生徒主体の学びがあったんだと思う。
ざっくばらんに書いてみました
そろそろ飽きたのでおしまい。
何か気になる本はあったでしょうか。なんか忘れている本も多そうです。
*1:『「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる』の参考文献リストに書いてありました